ウェザーニューズ、2機目の気象・海象観測衛星「WNISAT-1R」打ち上げ成功!
© Weathernews Inc.
株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は18日、気象・海象を観測する独自の超小型衛星「WNISAT-1R」の打ち上げが成功したことを発表しました。
「WNISAT-1R」は、7月14日の日本時間15時36分、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から、ソユーズに搭載されて宇宙へ打ち上げられ、最初の日本上空通過時(日本時間14日22時24分~36分)に信号の受信に成功。
現在の通信状況は良好で、搭載機器の状況を確認する初期運用を実施している。
7月14日打ち上げ当日の運用状況
15:36 カザフスタン・バイコヌール宇宙基地より打ち上げ
18:05 ロケットから「WNISAT-1R」が分離され、軌道に投入
19:07 衛星の分離を確認
22:13 衛星分離時の軌道情報がロケット側より提供
22:24 「WNISAT-1R」から最初の信号を受信、軌道上での正常な動作を確認
「WNISAT-1R」のミッション
「WNISAT-1R」は、北極海の海氷観測を目的に2013年11月に打ち上げた「WNISAT-1」に続く、当社の2機目の衛星になる。
2014年からアクセルスペース社とともに開発を進め、2015年9月に開発を完了し、2年ほど打ち上げの機会を待ってようやく打ち上げになった。
LNG輸送のため北極海航路の活用が期待
「WNISAT-1R」は搭載された計6台の光学カメラを用いて、船舶の安全運航に影響を及ぼす夏期の北極海や、冬期の渤海・セントローレンス湾などの海氷の観測に取り組み、近年はロシアのLNG開発プロジェクトが活発化しており、極東からの建設資材やモジュール輸送ならびに生産開始後のLNG輸送のため北極海航路の活用が期待され、安全航海のために高精度な海氷情報のニーズが高まっている。
しかし、北極海に関するデータは非常に少なく、「WNISAT-1R」を打ち上げることで、航海のタイミングに合わせて必要なエリアの実況データを取得し、現在観測に使っている気象衛星と組み合わせることで、よりきめ細やかな情報を提供できるという。
海氷の分布状況の評価実験
日照条件や天候に左右されない観測方法を確立するため、GNSS衛星からの反射波を用いて地球表面の状態を観測するGNSS-R(注1)試験観測も行う。
この手法を用いて海氷や陸地からの反射波を受信、解析し、海氷と海水面の判別や海氷の分布状況の評価実験を行い、手法が確立できれば、曇りの日や夜間でも海氷の分布を把握できるようになる。
台風や火山の噴煙観測も
台風の広がりや火山灰の拡散状況の撮影だけでなく、移動しながら撮影するステレオ撮影によって雲頂高度や噴煙の到達高度を割り出す立体観測に挑戦している。
これらの観測情報は、気象・海象の予測精度向上および、ウェザーニューズの船舶・航空機向けの運航支援サービスに活用していきます。
(注1)GNSS-R:Global Navigation Satellite System-Reflectometryの略。
GPS衛星などのGNSS衛星からの反射波を用いて地球表面の状態を観測する手法。
WNISAT-1R基本情報
【サイズ】524 x 524 x 507mm (突起部含まず)
【質量】43kg
【主要搭載機器】光学カメラ計6台
−可視光3台(赤・緑・パンクロ)
−近赤外1台
-予備2台
GNSS-R受信システム
【撮影画像の地表分解能】400m(近赤外/赤)、200m(緑/パンクロ)
【ロケット】ソユーズ
【射場】カザフスタン共和国バイコヌール宇宙基地
【軌道】太陽同期軌道(昇交点地方時11:30)、高度600km
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