男性必読!資生堂による被災者支援活動について<大地震へのソナエ レポート>
2月18日に池袋のサンシャインシティにおいて気象庁主催の体験型防災イベント「大地震へのソナエ」が開催され取材を行い、いくつかの出展ブースを回って担当者からご説明いただきました。
ご対応いただきました各ご担当者の皆さま、ありがとうございました。
ご説明いただいた話を総合し、筆者が思う事を記したいと思います。
体験型防災イベント「大地震へのソナエ」
~あなたの「たいせつ」を守るために~
1.日時:平成29年2月18日(土)10時~16時 (出入り自由)
2.場所:サンシャインシティ 文化会館2階 展示ホールD
3.主催:気象庁
共催:日本赤十字社、内閣府、文部科学省、豊島区
後援:消防庁、東京都、東京消防庁
協力:資生堂ジャパン㈱、日本損害保険協会、豊島消防署、NPO法人日本トイレ研究所
資生堂の被災者支援って何するの?
「資生堂」と聞いて思い浮かぶものは何ですか?
筆者はまず化粧品、次にTSUBAKIのシャンプーを思い浮かべ、これらの商品提供が被災者支援に繋がっているのだろうか。そう思いました。
救援物資と言ったら食料や衣料など、生きるためや生活のために必要なものが当たり前で化粧品なんかは無くても困らないはず!
そう思ってました。ちなみに筆者は男性です。
女性にとって「化粧品も日用品」
資生堂の松田佳重子さんによるトークショー「化粧のちから」を拝聴しました。
目から鱗でした。
筆者が震災として初めて記憶したのは阪神淡路大震災だと思います。
その後にも日本各地で災害が発生してしまい、その度に救援活動が行われている様子をニュースで見ていました。
東日本大震災あたりからはSNSが普及し、個人レベルで要望を発信することが出来るようになりました。
すると「おむつが無い」「生理用品が無い」「メガネが無い」など、これまでニュースであまり取り上げられなかったと品名が明らかになってきたように思います。
昨年、熊本地震がありました。
この時も全国からたくさんの救援物資が届いていたと思います。
また、何が足りないなど、不足している物資についても拡散されていた気がします。
その中に「化粧品」って文字は見なかったように思います。
もしかしたら、見ていても気に止めていなかっただけなのかもしれません。
松田さんは東日本大震災当時、東北エリアに就任し仙台で被災されたそうです。
それで被災者への救援を行ったと語りました。
ビューティーボランティア活動を行っていても男性からの冷ややかな目と、気持ちが伏せてしまっている女性たちの様子から活動するのが大変だったと話していました。
「眉が無くて顔を上げられない」と話した被災者の女性。
この言葉を聞き、眉墨ペンシルを配布したところ徐々に明るくなっていったと言います。
また、サンプルではあるが口紅を3色セットで配布したところ「選べる喜び」を感じたと言います。
救援物資では着る服など選ぶことがままならず、自分好みの状態にはなれない。
「何色にしようかな?」と自分に合ったものを自ら選べる事がとても嬉しかったと、ある女性が語ったそうです。
筆者は感じたことが無い感覚でした。
これまでの人生、被災で命に関わるような、生活に関わるような経験をしたことがなく、知る情報はニュースがほとんどです。
松田さんは実際に被災者支援活動を行い、経験したことをトークショーで話してくれました。
筆者は東日本大震災について関心を持っていたつもりでしたが、支援活動をされた方々それぞれにお話を伺うと、それぞれの思いと内容を伝えていただけ感銘を受けています。
化粧は60年やってる当たり前のもの
トークショーの後、松田さんと支援活動を担当されていた藤原さんにインタビューをお願いすると、快くお受けいただきました。
左:藤原宏司さん【資生堂ジャパン株式会社 コンプライアンス部 支援活動担当】
熊本地震支援では仮設住宅に手渡しで化粧品セットを配布など、現在の資生堂の復興支援をけん引している。
右:松田佳重子さん【資生堂ジャパン株式会社 中四国支社 美容部長】
東北エリアに就任時、仙台で被災。スキンケア用品セットを避難所で手渡すなど、資生堂のビューティーボランティア活動をけん引している。
男の人には分からないですよね
■トークショーをお聞きして初めて気が付く事が多かったです
(松田さん)
化粧をしないと引っ込み思案になったり、顔を上げられなくなったりするんです。
これって男の人には分からないですよね。
(藤原さん)
私も最初は分からなかったです。
■男性からすると「眉ぐらいなんだよ」って気がしてしまいますが
(松田さん)
そう!男性からすると「ぐらい」なんですよ。でも違うんです。
だって60年も眉を書いてるんですから。
■男性は眉を書くことがないから化粧が特別な事として写る?
(松田さん)
そうかもしれません。
でも女性は「化粧は日常で当たり前」で毎日繰り返してることなんです。
ですので、当たり前をやる事で日常を取り戻しやすいと思うんです。
そんな日常の取り戻し方も良いでしょ!
乾いたものを潤すというか、マイナスをゼロに戻すような、そんなスイッチの役割になれればと思ってます。
■資生堂がこのような活動をされていることを知りませんでした
(松田さん)
そうですよね。いつもこのようなイベントに出展してると「なんで資生堂がいるんだ?」って言われます。
まわりの出展ブースとまったく色が違いますでしょ。
全国のビューティーコンサルタントの力のおかげ
(松田さん)
資生堂は東京だけに社員がいるのではなく、全国に現地採用のビューティーコンサルタントがたくさん居るんですね。
彼女たちの力もあるよね?
(藤原さん)
そうだね。それは大きいね。
(松田さん)
被災地では彼女たちも被災者なのに友達や周りの人たちにサポートをしてあげたいって思ってましたから。
ですので、それを支えるのが本社の役割だなって思ってます。
■ビューティーコンサルタントは消費者に一番近いところに居ますしね
(松田さん)
そうですね。昨日まで「あら、こんにちわ」って言っていたお客様が被災してしまったら、行かなきゃって気持ちになるんですよ。
本業なので、傷ついている人がいるとどうしてもケアをしてあげたくなっちゃう。
DNAって言うんですかね。
体が勝手に動いちゃった
■資生堂の支援活動は、私が知っていた支援方法とは違った活動内容でした
(松田さん)
支援をやろうと思ってやった感じでは無いですね。なんか体が勝手に動いちゃったって言うか笑
(藤原さん)
松田さんが避難所にすぐ行っちゃったんですよ。すごいなって思いました。
でもそれがどんどん拡散していって仮設住宅が出来たって聞いたらそこに支援セットを持って届けに行こうって発想になっていったんですね。
それが良い遺伝子となって今に繋がってます。
本社として出来ること
(藤原さん)
本社に居ると現場の状況が分からないから、どうしても現地の社員に「こうしろ、ああしろ」と言いがちになってしまうんです。
でもそうならないようにと、心掛けてましたね。
去年の熊本地震でもそうでしたが、現地の社員たちが自ら被災しているのに頑張ってくれてました。
けれど、疲れているはずなのでそれはとても心配でした。
その点を本社としてはどのようにアプローチしていけるか、非常に気を使いましたね。
--貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。
この想いを風化させたにために
東日本大震災にて被災者支援活動を行ったことをまとめ、書籍として形に残したのがこの2冊。
左:そのとき、あたなは何を考え、何をしましたか ~東日本大震災 資生堂社員たちの記録~
右:希望Ⅱ ~今、私たちが想うこと、伝えたい事~ 資生堂販売株式会社 ビューティーコンサルタントの記録
あの時の気持ちを忘れず、これからの繋げていきたいと藤原さんは話をされていました。
東日本大震災における資生堂の取り組み
資生堂のコーポレートサイトには東日本大震災における資生堂の取り組みが残されています。
東日本大震災における資生堂の取り組み
資生堂がこのような活動をされていたことを多くの方が知らないのではないでしょうか。
特に男性の方には是非ともご一読頂きたいと思います。
気仙地区の「椿」の認知向上に向けた取り組み「椿の夢」
被災された方に、よい香りで心地よい眠りをお届けしたい・・・そのような思いから、当社のアロマコロジー研究を活かした商品開発に取り組みました。
大船渡市末崎町「中森 熊野神社」にある樹齢1400 年の日本最古のヤブツバキ「三面椿」の香り成分を配合し、性別・年代を問わず、安らぎを感じていただける新しい香りを開発しました。
香りは気持ちを和らげたり、リラックス感をもたらします。
大船渡の方々にもご協力いただき、就寝前にボディーだけでなく、空間や寝具にも使用できるフレグランスウォーター「資生堂 リラクシングナイトミスト 椿の夢」を開発しました。
売上げの一部は、「椿の里 大船渡」の街づくりに活かされます。
2012~2016年で累計440本の苗木を植樹。
(資生堂ホームページより抜粋)
声の大きい人の意見が通りやすい。何も不自由していない、その経験をしていないと、わからない。
被災地に限らず平時日常でも起こっている事なのでしょう。
日常ではなくなってしまった時に、どれだけ気が付けるだろうかと考えてみました。
正常で居られているだろうか、自分の事で精いっぱいになってしまっていないだろうか。
今現在、まわりのサポートをしてあげたいと思っていても実際に行動出来るだろうか。
生でお話を伺い資生堂の支援活動は素晴らしいものだと思います。
最初に記した、自分が資生堂と聞いて思い出すもの=化粧品。
男性的発想だとは思うのですが、その化粧品会社による被災者支援活動があることを初めて知りました。
自分にはここまで大きい事は出来ないでしょう。
それならば、周りの人たちの声に耳を傾け、困っていることを少しずつ解決していく。
これも支援活動を言えるのだと思います。
「自分にはできない」と諦めるのではなく、たとえ小さなことでも出来ることからやってみようと思います。
松田さんが仰ってました。
「私に出来ること」は手を握ってハンドクリームを塗る事でした、と。
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