<制作発表>渡辺えり&高畑淳子ダブル主演で34万部突破した垣谷美雨の大ベストセラー小説を初舞台化!『喜劇 老後の資金がありません』8月より東京・大阪にて上演
「老後の資金がありません」は、2015年に刊行された垣谷美雨の小説で、老後の資金をめぐり主人公が様々な問題に直面する物語は読者の共感を呼び、34万部突破の大ベストセラーになっている。
今回は『喜劇 有頂天団地』で演出を手掛け、コメディに定評のあるマギーの脚色・演出のもと、初の舞台化となる。
“老後の資金”という誰もが避けることのできない身近な問題を題材にしながらも、大いに笑って泣いて共感できる喜劇作品だ。
渡辺えり・高畑淳子 舞台初共演! 最強タッグが実現
主演をつとめるのは、新橋演舞場や大阪松竹座での『有頂天シリーズ』を始め、『三婆』などのヒット作品に主演している渡辺えり。
そして、舞台・映画・テレビドラマ・バラエティと多方面で大活躍している高畑淳子。
同い年の演劇人の2人ですが、意外にも舞台は初共演になるという。
渡辺は主婦の後藤篤子を、高畑は夫とベーカリーを営む神田サツキを演じる。
豪華実力派出演者が集結
“老後の資金”を巡って右往左往する人々には豪華実力派の出演者が集結した。
渡辺演じる篤子の夫・後藤章に羽場裕一。
義母の後藤芳子に長谷川稀世。
長女の後藤さやかに多岐川華子。
長男の後藤勇人に原嘉孝。
義妹の櫻堂志々子に一色采子。
高畑演じるサツキの夫・神田克也に宇梶剛士。
篤子とサツキが通う生花教室の教師・城ケ崎快斗に松本幸大(ジャニーズ Jr.)。
生徒の関根文乃に明星真由美が扮する。
製作発表
6月29日に都内にて、新橋演舞場8月・大阪松竹座9月『喜劇 老後の資金がありません』に出演する渡辺えり、高畑淳子、そして演出・脚色のマギーが出席し、製作発表記者会見が行われた。
マギー(脚色・演出)
今日、緊張しながら会場に来たのですが、ちょうど(渡辺)えりさんと高畑さんがご挨拶をされているタイミングで、お二人が「あ~!!!」「いや~~!!!」とご挨拶されているのが本当に明るく、大きな花が 2 輪そこに咲いている雰囲気があり、緊張もなくなりました。
原作がとても面白く、誰もが抱える問題を描いており、そこに具体的な数字、身につまされる数字があります。これを舞台化するにはどうしていこうかと。
「老後の資金がありません」と、内向きな独り言が書かれているセリフを、「老後の資金がありませ~~~ん!!!」と明るく歌い上げることで、お客様に表現していければと思います。
生活感あふれるこの作品を、歌や踊りや笑いでエンターテインメントにしていきたいと思っています。
渡辺えり
本当に「老後の資金がない」んですね。
今66歳で、「老後の資金がない」なと思いながら、この芝居をやるということが興味深いですし、楽しみです。
老後の資金がないのだけれど、もっと必要なことがあるな、ということをこの一年間考えていて。
それは友情関係や愛情関係、家族との関係など、目に見えないものが大きいんだなというのを考えた一年でした。
資金だけではなくて、何か足りないものがある、それをマギーさんが本当に面白く脚色してくださったと思うのですが、長年暮らしていて信頼関係があると思っていた夫婦に、資金がないと分かった時に亀裂が走っていく。
そして、信頼していたものがそうでないのではと疑いを持ち、乗り越えていく話だととらえています。
私は、高畑さんとずっと共演したいと思っていたのですが、1回も共演がなくて。30年ほど前、『女たちの十二夜』という作品で高畑さんがサー・トービーという酔っぱらいの男役をなさっていて、いつかご一緒したいと思っていました。
今回、歌もあって、踊りもあって、夢のように明るく演じたいと思います。だって、「老後の資金がない」んですから(笑)。
こういう時代だからこそ、みんなが触れたくなるような、楽しい芝居を目指して、皆で力を合わせて頑張っていきたいと思います。
高畑淳子
(渡辺)えりさんはエネルギッシュな方で、演舞場の公演日程も私にとっては中々エネルギッシュ。
私はこうみえて意外にか細くて、お芝居の中日くらいには無声映画のようになってしまって、千穐楽には声も出なくなってしまった・・・というのが前に演舞場に出演したときにございました(笑)。
自分の体力を帳尻を合わせつつ、最後まできちんとお客様に満足していただけるようと思っております。
今、枯渇しているのは心の滋養だと思っております。私自身もそうですが、心が不安なんですよね。
この間、映画館の客席に座ってスクリーンを見た時点で号泣してしまって。
こういう場所に来ること自体、魂が震えるというか、「あー、来てなかったな」と。
劇場には不思議な力があって、何かを強くして帰ってもらえるという、魔法のような場所だと思います。
演舞場という劇場自体もお芝居小屋らしいので、お客様の何かを満たして帰っていただける、そんな作品になればと思っております。
質疑応答
渡辺さんと高畑さんに、お互いの印象を教えていただけませんでしょうか。
渡辺)高畑さんの舞台は、井上ひさしさん、明治座、青年座など様々な作品で拝見していますが、全部違う、というのが好きです。
役を演じるときに心根を変えてらっしゃる。
黙っているときの表情が面白い。
具体的に役として感じることのできる、稀有な役者さんの中のおひとりだと思っています。
高畑)20、25年前くらいでしょうか、パルコであるお芝居をやっておりました。
その中で出演者の一人に「ちょっといけてないな」と思う方がいたんですが、えりさんがお客さんとしていらした際に、ドドドドと楽屋に来てその俳優さんを捕まえて「あんた、あの役わかってる!?」と言い出して、「すごいなぁ、この人は」と。
それが焼き付いていて、その人と今回、お芝居をするのかと(笑)。
渡辺)演出家ですので、若い時に友達に関しては、持ちつ持たれつで本当のことを言って高め合わないといけないと思っていたので、本当にそういうことをやっていたんですよ。
今はそんなことはやっていません(笑)。
若い頃は亡くなった(中村)勘三郎さんとも、彼が「おかしいよ」といえば、私も「(役として)嘘ついたでしょ!?」というやり取りをして高め合っていく、という時代にやっていたのだと思います(笑)。今では絶対そういうことはやりません(笑)。
高畑)物を作るというのは刺激をしあってのことで、自分で気が付いていないことを教えてもらえるからこその芝居なのに、だんだんそれから年齢を含めて遠ざかっていく、裸の王様になりつつある年代ですので、お芝居を久々につくれるという楽しみにあふれています。
歌あり、踊りありの作品ですが、どう取り組もうと思っていらっしゃいますか?
渡辺)歌があることで時間が飛べるというか、小説そのままですとかなり長いお芝居になりますので、その部分を歌で解説できる、そして、気持ちも切り替えることができるんですね。
歌うことで 1 週間後になって、解決したつもりで別の悩みに取り組めるような。
踊りは、実生活ではなかなか踊れないじゃないですか。踊りには、気持ちを発散するようなシュールな部分があると思います。
気持ちの説明を端的にできる歌と踊りが好きです。
高畑)今、「渡辺えりは演出家なんだな、私はのほほんとやれるぞ」と感動してしまいました。歌と踊りは苦手です。
私、声は意外とか細いんです・・・頑張ります。
マギー)心象風景や自分の中の独り言を歌と踊りで明るく、時にはバカバカしくさえ伝えることができれば良いなと思い、そのような脚色にしております。
それをえりさんがここまでわかってくださっているなら僕は「どうぞ!」と言っていれば良いかなと思っています。
そして、高畑さんの歌が楽しみです。
ご自身の役柄について教えてください。
渡辺)普通の主婦が何をしでかすか分からない世の中ですが、その中でも普通の主婦という設定です。
契約社員で働いていて、夫もきちっとした会社に勤めていますが、娘が結婚したり、お葬式代が必要だったりして出ていくお金が多くなっていく。
主婦が誰でも経験するような事柄が繰り返されていきます。
夫の気持ちを尊重しながら我慢していく、自分を殺して夫や娘の為に尽くしていく。
今、コロナ禍で孤立している主婦の方も大勢おられると思います。一般の主婦の皆さんとともに考えながら演じていければと思っております。
高畑)私は節約家で、美容院に行かずに自分で切る、節約はサバイバルであるという、パン屋を夫と経営している役です。
基本、たくましそうな人に見えて、そうなりたかったんだという一節もあって、そこに胸を打たれて。
えりさん演じる篤子さんといるときは「なりたい自分になっていたかった」というのが胸に染みる役です。
このような状況で劇場に立つことについて教えていただけますでしょうか。
マギー)コロナ禍前に脚色した作品です。コロナになる前の世界として描くつもりでいます。
閉塞感のある世の中ですが、マスクをしていてもゲラゲラと解放感をもって笑ってもらって、そのような気持ちで劇場の外に出てもらうことが、我々がお客様に届けるべきことかなと思っています。
渡辺)大笑いして、泣いていただきたいと思います。
今、自分が孤独で辛いんです。Zoomの打ち合わせでもマスクで意思の疎通が上手くできなくて落ち込んだり。
皆さんもそのような生活を送っていらっしゃると思うのですが、その中で生の演劇を観ると本当に救われます。
劇場の中にいるときだけはホッとする、落ち着くというか。ここが自分の居場所だな、と穏やかな気持ちになります。
この芝居を観ていただいたお客様には私と同じようにホッとできるような舞台にしたいです。とにかく思いっきり演じさせていただいて、お客様を笑顔にしたいです。
高畑)今回、特にご高齢の方のお申し込みが多いんです。「ずっと家にいるのが苦しくて、今回はお芝居行こうと思うの」と。
何か心が枯れているではないですが、欲しているんでしょうね。
舞台の物語というのは安穏なことばかりではないですが、色々あるのが人生ですし、思いもかけないことにぶち当たるのが生きているということですし、観ていただくことで心が強くなって帰っていただけると思います。
えりさんもおっしゃいましたが、私もこの世界が好きで、小説・映画・舞台が心を強くする存在であり、お客様にもそうなっていただけることを信じて、心を込めて演じていきたいと思います。
ものがたり
普通の主婦・後藤篤子(渡辺えり)は、家計に無頓着な夫の章(羽場裕一)、大人しく頼りない長女・さやか(多岐川華子)、優秀な息子・勇人(原嘉孝)と平凡な4人家族です。子育ても落ち着き、契約社員として働きながらコツコツと老後の資金を貯めていました。
篤子の月1回の楽しみは生花教室。教室の若い教師・城ケ崎快斗(松本幸大)は皆の憧れの的で、生徒の関根文乃(明星真由美)も彼に夢中です。
その生花教室で一番仲の良い友達・神田サツキ(高畑淳子)との喫茶店でのおしゃべりはストレス解消の大切なひと時。
サツキは夫・克也(宇梶剛士)と小さなベーカリーを営んでいました。
そんな中、次々と篤子の“老後の資金”が減っていく事態が起きます・・・。
長女・さやかの派手な結婚資金、舅・英明と姑・芳子(長谷川稀世)への仕送り資金、篤子の職場からの突然の解雇、さらには舅が亡くなったことで義妹の櫻堂志々子(一色采子)に約束させられた葬式資金、夫の会社が倒産・・・。
一方サツキは、実は認知症の姑・竹乃の年金を当てにしていました。しかし姑は失踪しており、サツキは役所の家庭訪問の際、芳子に身代わりになってほしいと頼みます。
これはもしかして年金詐欺になるのでは・・・!?
篤子とサツキ、ふたりの行く末は?果たして幸せな老後を過ごすことができるのか!?
私たち、「老後の資金がありません」!
『喜劇 老後の資金がありません』
原作
垣谷美雨
脚色・演出
マギー
キャスト
後藤篤子 役:渡辺 えり
後藤章 役:羽場 裕一
後藤芳子 役:長谷川稀世
後藤さやか 役:多岐川華子
後藤勇人 役:原 嘉孝
城ケ崎快斗 役:松本 幸大(ジャニーズ Jr.)
関根文乃 役:明星真由美
櫻堂志々子 役:一色 采子
神田克也 役:宇梶 剛士
神田サツキ 役:高畑 淳子
東京公演
会場:新橋演舞場
公演日程:2021年8月13日(金)~26日(木)
ご観劇料(税込):一等席 12,000 円 二等席 8,500 円 三階A席 4,500 円 三階B席 3,000 円 桟敷席 13,000 円
チケット
・チケットホン松竹(10:00~17:00):0570-000-489 または 03-6745-0888
・チケットWeb松竹(24 時間受付):チケット Web 松竹 🔍
・チケットぴあ
・イープラス
・ローソンチケット
・CN プレイガイド
大阪公演
会場:大阪松竹座
公演日程:2021年9月1日(水)~15日(水)
ご観劇料(税込):一等席 12,000 円 二等席 7,000 円 三等席 4,000 円
チケット
・チケットホン松竹(10:00~17:00):0570-000-489 または 03-6745-0888
・チケットWeb松竹(24 時間受付):チケット Web 松竹 🔍
・チケットぴあ
・イープラス
・ローソンチケット
スタッフ
美術:松井るみ
照明:北内隆志
音楽:割田康彦
音響:尾林真理
振付:神在ひろみ
衣裳:神波憲人
ヘアメイク:河村陽子
映像:ムーチョ村松
歌唱指導:塩谷翔
演出助手:瀬尾健児
舞台監督:中島幸則
演出部:大野敏之、長井咲花、市村友里江
制作事務:桐ヶ谷香
制作助手:上村幸穂
プロフィール
渡辺 えり (わたなべ・えり)
山形県出身。1978年に劇団2○○(その後劇団3○○に改名)を結成、20年間主宰。
作・演出・出演の三役を担い、1983年『ゲゲゲのげ~逢魔が時に揺れるブランコ』で岸田國士戯曲賞、1987年『瞼の女―まだ見ぬ海からの手紙』で紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。
NHK連続テレビ小説「おしん」への出演で世間に知られるようになり、2004年『今昔桃太郎』、2009年『新版 舌切雀』で歌舞伎の作・演出も手がけた。
松竹の舞台ではミュージカル『狸御殿』、『三婆』や有頂天シリーズ『喜劇 有頂天旅館』、『喜劇 有頂天一座』、『喜劇 有頂天団地』、『喜劇 お染与太郎珍道中』などで客席を大いに沸かせた。
2020年は『ひとよ』に出演、オフィス3○○で自作の新作『さるすべり』、別役実作『消えなさいローラ』に出演・演出、『片づけたい女たち』演出、そして『喜劇 お染与太郎珍道中』とコロナ禍に5本の舞台に関わった。
近年歌手活動も盛んに行っている。
2019年より日本劇作家協会会長を務めており、2021年4月には個人事務所を立ち上げ再スタートを切った。
高畑 淳子 (たかはた・あつこ)
香川県出身。1976年に劇団青年座に入団。
舞台、映画、テレビドラマ、バラエティと多方面で活躍している。
2013年読売演劇大賞最優秀女優賞、菊田一夫演劇賞演劇大賞受賞。2014年紫綬褒章受章。
その他にも文化庁芸術祭個人賞、紀伊國屋演劇賞個人賞など受賞多数。
松竹の舞台には『もとの黙阿弥』、『越路吹雪物語』に出演している。
近作に、舞台『ええから加減』、『をんな善哉』、『土佐堀川 近代ニッポン―女性を花咲かせた女 広岡浅子の生涯』、『チルドレン』、『雪まろげ』、『組曲虐殺』、『恋、燃ゆる』、『チョコレートドーナツ』。
映画「終わった人」、「バイプレイヤーズ」、「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」、「女たち」。
テレビドラマでは NHK 大河ドラマ「篤姫」、「真田丸」、NHK連続テレビ小説「なつぞら」、「アライブ」、「黒革の手帖」などがある。