<コラム>地元のおばちゃん達の温かさに触れる毎日 ~とある妙高高原の風景~
2016年7月13日。
「今日からお世話になります斉藤です。よろしくお願いします。」
震えた声で始まった勤務初日。
友人も知人も誰1人いない土地でした。
右も左も分からなくて、ただただ黙々と仕事をしてきました。
自分の為だけに、ただ黙々と。
人と目を合わせられなかった私は、いつも下をむいていました。
でも、お部屋の清掃をするにはそれが丁度よかったんです。
そんなある日、地元のおばちゃんから言われた言葉。
「おまんは私の息子だから。」
その言葉が耳に入った時。
思わず上を見上げました。
そこには、優しさで満ちたおばちゃんの笑顔がありました。
自然と目を合わせられました。
何の不安もなく、まっすぐに。
ただただ、嬉しかった。
涙が溢れそうになるのを堪えて、誰もいない場所で泣いていました。
ここから見える朝を、iPhone越しで撮る時だけは、まっすぐに前を見つめていられた自分。
あの日以来、私の中で何かが変わりました。
自分の為だけに生きようとしていた私が、誰かの事を考えられるようになっていきました。
いつも挨拶を返してくれてありがとう。
それだけで、素敵な1日が始まって。
いつも心配してくれてありがとう。
それだけで、また頑張ろうって。
こんな自分を、温かく受け入れてくれた新潟のおばちゃん達へ。
言葉で直接伝える事が苦手だから、文章にして贈ります。
お母さん。
そんな風にいつも思ってます。
ありがとう。
私の素直な気持ちです。
2016年7月10日の深夜。
山形から東京へ向かう夜行バスの中。
ずっと眠れずに、固くまぶたを閉じていました。
強く強く、片道切符を握りしめながら。
あれからもうすぐ1年が経とうとしています。
私はここで、今を幸せに生きています。
どうかどうか、あなたの今日1日も幸せでありますように。
Write & Photo by @saito2japan