劇団スーパー・エキセントリック・シアター第59回本公演『太秦ラプソディ~看板女優と七人の名無し~』主役の栗原功平&岡山玲奈にインタビュー!「座長の方針でSETは何でも出来る役者を育てる劇団にしてくれている」
今年70歳になった三宅裕司が主宰の劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)第59回本公演「太秦ラプソディ~看板女優と七人の名無し~」が、池袋にあるサンシャイン劇場にて10月22日より上演される。
昨年の公演「世界中がフォーリンラブ」では入団2年目の富山バラハス、そしてヒロインには入団5年目で実力を着々と付けてきた山城屋理紗が主役となり、ファンの間では驚きがあった。
今回の本公演も入団2年目の岡山 玲奈(おかやま れな)がヒロインを担い、中堅の栗原 功平が支えるという。
昨年同様、コロナ禍での稽古や上演になってしまい、去年との変化や、2年目にしてヒロインを演じる岡山の心境、そして座長の三宅裕司と小倉久寛に対する思いなどをインタビューした。
栗原功平&岡山玲奈 インタビュー
入団2年目でヒロインに選ばれた率直なお気持ちをお聞かせください
岡山)劇団創立42年目という長く続いている劇団で、こんなに早くヒロインをやらせていただけるのはもちろん嬉しいんですけど、やっぱりそれ以上に不安やプレッシャーがあります。
先輩方に支えていただいてここまで稽古をやってこられている感じです。
栗原さんは最近の本公演で、物語を引っ張る役も多いですが、メインを任されていかがですか?
栗原)大役をいただて役者冥利につきます。
太秦の撮影所が設定なので、それをどれだけリアリティーを出しながら、劇団SETのコメディーを出せるかというバランスだと思っています。
そのリアリティーをどれだけ出せるかを引っ張っていければと思っています。
岡山さんとのペアはいかがですか?
栗原)僕で良いのかな?って感じです。
玲奈は入団した時からナチュラルな芝居が良いなと思っていたので、いずれはヒロインになるんじゃないかと思っていました。
本公演を観ていただいたらわかるんですけど、カップルとは違ったヒロインの形なので、その辺りも楽しんでもらえたらと思います。
前回公演も富山バラハスさんが入団2年目でメインに選ばれ、若手の山城屋さんがヒロインに選ばれていました。
今回の公演も同じようにフレッシュなメンバーがメインに選ばれ、劇団の変化などは感じていらっしゃいますか?
栗原)若い力がすごく育ってきていると感じてます。
僕は年数でいうと、中堅どころになると思うので、若手に負けないようにしたいのと、背中で見せれたらなと思います。
先日、座長にインタビューを行いまして、「三宅、小倉に頼っていると、居なくなった時にSETは無くなりますよ。ですので、頼らず今のうちに新たに引っ張れる若い劇団員がたくさんいるといいなって気持ちはあります。」と仰っていました。
今回の公演では栗原さんへの期待も高いと思いますが、座長の言葉を受けていかがでしょうか?
栗原)座長と小倉さんの凄さを稽古場で見てて、稽古をやればやるほどどんどん離されている気がして必死で喰らいつこうとしてます。
自分が無知な時は凄さが分からなかったんですけど、芝居を知ってくるとどんどん凄さが分かってくるから不安でいっぱいですよね。
座長の期待のなかに、この本公演で岡山さんも含まれていると思いますが、いかがでしょうか?
岡山)お笑いに関しては狙いに行くと面白くなくなってしまいますけど、狙いに行くのではなくて、笑いを誘う自然さがお二人は凄いですよね。
何より、お芝居されている姿がお二人楽しそうで、そこをどんどん取り入れていきたいです。
栗原)お二人が凄いのって、僕らはバカ素直にストーリーを追うから真面目なお芝居をするんですけど、お二人はそれだけではなくて、ちゃんと笑いの方にも展開できるお芝居をされている技術は凄いと思います。
真面目にやると笑いにならないところでも、お二人が演ると笑いになるそのさじ加減が難しいですね。
インタビューではさらに「だからといって、三宅、小倉が引くかと言うと、舞台上で出来るうちは「絶対に俺たちが一番面白いぞ」っていうチャレンジは続けたいという気持ちもあります。」とも仰っていました。
三宅さん、小倉さんをはじめ、今回のベテランたちはいかがですか?
栗原)いやもう凄いですよ!
座長は今年古希(70歳)を迎えられたんですけど、70歳であれだけのパワーを舞台上で出すのは尊敬してます。
座長が稽古場で喋っていると、小声でも稽古場に響くんですよね。
あの声量とでもナチュラルで化け物かと思いますよね。
自分が70歳になった時にあのパワフルさがあるのかって。
岡山)小倉さんって普段から演技している時と変わらなくないですか?
栗原)劇団員と喋っている時と「はい始めまーす」って言われた後のテンションがまったく一緒なんですよ(笑)
岡山)今回の役どころは大部屋の重鎮なので、より普段と似たような感じはあると思うんですけど、自然体なのに面白いのが存在感違いますね。
入団2年目だと、2年前はお二人はテレビの中の人だったのに今は先輩として関わっていますが、ギャップなどは感じましたか?
岡山)正直、まだ不思議な感じは抜けてないです。
一緒に作品を作り上げている今の状況が不思議でなりません。
夢の中にいるような感じがずっと続いていながら、いま一緒にお芝居をしているとめちゃくちゃカッコいいって思ってます。
テレビで見るより、お芝居を作り上げて行く実際のお姿はカッコいいです。
でもすごくお茶目ですよね。
岡山さんは去年の本公演が初舞台でしたが、コロナ禍での公演となってしまいました。
コロナ前と比べると制限がたくさんあったのですが、初舞台なので比較するものがないと思います。
前回はどんな感じでしたか?
岡山)去年は私が1年目なので手探りで色々と学んでいくのは当たり前なんですけど、本来学べるべきお稽古の進め方が違うんですよね。
例年だと出番がなくてもずっと稽古場に居て先輩の様子を見て学ぶんですけど、去年は出番の人しか稽古場に行けなかったので難しかったです。
稽古場でやってても見ている人がいないと反応が無いので、不安はずっとありました。
栗原さんはコロナ前も経験されていますけど、去年の稽古、実際には今年も同じ状況になってしまいましたが、いかがでしょうか?
栗原)徹底した感染対策をしている劇場でさえ、お客さん自身が客席で笑うこと、息を吐くことをためらっているその雰囲気は、去年なんて真っ只中だったし、やっぱり違いましたよね。
僕らはお客さんの雰囲気を感じながら演るんですけど、お客さんが息を止めているから、客席と舞台上で呼吸が合わせられないんです。
その違和感がすごかったです。
お客さんと一緒に作ろうとするんですけど、それを感じることが出来ないからとても難しかったです。
お客さんが「笑ってもいいんだ」って理解してもらえるのに時間が掛かりましたね。
座長は、舞台のどのあたりからお客さんの心が解けていって、この辺りで大笑いが出来てって構成を考えていたと思うんですけど、それが後ろ倒ししてしまっていたのでどうしようかって悩んでいたと思います。
大きくすればいいというものでも無いですし、お客さんの壊し方が分からなかったですね。
こんな状態になるなんて、想像したことがなかったので、座長と小倉さんに甘えていたんだなって気付けました。
今まで座長と小倉さんが最初からお客さんを解いてくれていたんだなって。
僕らではまだ解けないんだって。
そして、座長と小倉さんを観にきてくれていたお客さんに甘えていたんだって改めて感じました。
去年は何もかもが初めてのことばかりでしたが、今年の稽古場の雰囲気はどうですか?
岡山)コロナが1年以上続いて制作さんも徹底した対策を行っていただいているので、稽古場の中では気を付けながらもコミュニケーションがしっかり取れてやれているかなって感じます。
だけど、稽古場には出番が無いと行けないので、とても久しぶりにお会いする先輩がいらっしゃるんだなって今年も感じます。
栗原)通し稽古で初めて全員集合するもんね。
ということは、今年も去年と同じ対策をとっているんですね?
栗原)そうですね。
緊急事態宣言が解除して、観にきていただけるお客様の心が緩和されったとしても、僕らは緩めてはいけないと思うので、なるべく私語もしないし集まらないし最低限の人数でやることを徹底してます。