<単独インタビュー後編>劇団SET野添義弘「歌って踊ってアクションして劇団員として何かひとつでも見せるものを提供する人間の集団がSETじゃないですか。SETだから俺37年居ると思うんですよ」還暦記念一人ミュージカル・アクション・コメディー 『その夜、カレーライスができるまで』6月27日からOFF・OFFシアターにて上演
還暦になった野添義弘とは
還暦を迎えられましたが、今の野添さんにはとても赤いちゃんちゃんこが似合わないですよね
ジッとしていたら似合うんですよ(笑)
最近、白髪も増えてきたのでボーっとしてたりジッとしてると、ただのおじいちゃんにしか見えないですよ。
三宅さんとねツーショットで座ってると、2人を知らない人が見ると三宅さんより僕の方が年上に見られるんです。
三宅さんが凄いのは、三宅さんは自分の7つ上なんですけど白髪がないでしょ。
本人に聞いたら「染めてないよ!」って。
結構、座長と一緒に居ると僕の方が歳上に見られちゃうんです(笑)
動き出すとね、今でもアクションをやったりしているので、年のわりには動けるんじゃないかなと思うんですけど。
ジッとしてると相応の年に見えるただのオッサンです(笑)でも、この前テレビで市村正親さんを密着していたんですけど、あの方は70歳ですよ!
それであの体でしょ。
だからまだまだ動ける方はいっぱいいるし、お会いしたことはないですけど、「THE CONVOY SHOW」の今村ねずみさんも僕と同じ歳なんですけど、そういう方々がいっぱいいらっしゃるので、60で還暦になったからって動けないだろうって、、、ダメでしょ!(笑)
動けなくなったら引退しますよ。
ひとり芝居は今回が初めてとの事ですが、あえて還暦祝いでひとり芝居をやろうと思ったのは?
もう一度、一から始めてみようと思ったんです。
劇団スーパー・エキセントリック・シアターも元々は小劇団で、小劇場から始まって、そこで色々と鍛えられて今に至っている訳です。
いまは映像もやらせていただいて、舞台なんかも商業演劇が多くて、明治座だったり新橋演舞場だったり、小さい劇場でやることがなかなか無いんです。
なので原点回帰では無いですが、もう一度やってみたいなっていう気持ちになりました。
ひとり芝居については、これまでも色んな人のひとり芝居を観てきたんですけど、誰にも頼る事が出来ないじゃないですか、共演者は居ないし。
自分の力試しみたいなもので、どれだけできるんだろうって。
これまで役者を37年間やってきて、人生一回りして、「野添義弘」ひとりで出来ないかもしれないけど、とりあえずひとりでやってみようかと。
「野添義弘」は何を持っていて、何が出来て、お客さんにどういうことを与えられ、お客さんがどういう風に思ってくれるのか、再確認して自分を知るためにもやっておいた方が良いのかなって。
先ほども仰られていましたが、本公演のサンシャイン劇場や、明治座や新橋演舞場などで出演されていて、小劇場に飢えていたっていうことはありますか?
小劇場って結局、儲からないんです。
ギャラはほとんど無いので、自分の年齢を考えると出たくても出れないんですね。
稽古は1ヵ月くらいやらないといけない、でも公演数は水曜日木曜日から日曜日までとか、公演回数も6回とか8回とか。
チケット代でいうと、3000円から4000円くらいまでですよね。
掛ける客席数と公演回数で全体の収益になりますよね。
自分はもう60歳じゃないですか。
そうなった時に若い時と違うのは、結婚して嫁さんいて、家庭を持っていて、家族を食べさせていかなきゃならないので、小劇場ばかりやっていると家庭が崩壊してしまうんですよ。
あまりにも収入が少なくなってしまうから。
若い時は良いんですよ、ひとり身だし、安アパート住んで、終わったらバイトして、自分の生活費だけなんとかなれば、いくらでも出来るんです。
やっぱり家族が居て、家を守らなければいけないとなると、小さい劇場ばかり出来ないから、どうしても公演日数が多くて劇場が広い所をやっていかなくちゃいけないので、なかなか難しいんですよね。
小劇場に出たいという気持ちはあるんです!
目の前にお客さんが居て、今回の舞台だと定員80人ですし、そういう所でやる楽しさはもちろん経験しています。
僕が60歳になる前にも、小劇場でSETがやったことがありますし、それはそれでやっぱり楽しいんですよ。
逆に小劇場の方が楽しいかな。
自分の演技で融通が利く場合が多いじゃないですか。
大きい舞台になると、大看板さんがいらして、その人をお客さんは観に来て下さるので、自分が目立つためにやっちゃいけない訳ですよね。
色んな決まりごとがあったりとか、もらった役の中でどれだけ上手くやるかなので、そういう意味で言うと小劇場の少ない人数で出ている方が、羽を広げてやれる楽しさがあるんです。大きいところは大きいところで、楽しさはあるんですけど、魅力が全然違うんですね、小劇場と大きな劇場とでは。
だから大きな劇場ばかりで慣れてしまうのも良くないなと思うし、理想で言うと1年間舞台をやっていく中で、1本は小劇場でやって、そういう場所を忘れないって出来れば良いなって思います。
まぁでも、こればかりは分からないです。
事務所の方針です!(笑)
還暦記念一人ミュージカル・アクション・コメディー「その夜、カレーライスができるまで」について
ミュージカル・アクション・コメディーなので、おひとりで踊られるんですよね?殺陣のシーンではよく拝見しますが、ダンスシーンはあまり印象がないですね
実は今日、劇団員の服部紗弥に振付をしてもらったんです。
いまヘトヘトです(笑)
ミュージカル・アクション・コメディーの劇団にいるので、歳関係なくレベルはどうであれ、踊れなきゃいけないと思っていますし、踊る時は踊る、アクションする時はやる、歌う時は歌う。
若い劇団員たちみたいに長い時間は、60歳ですから体力的なものもとか、踊りとアクションに関しては体力的とか身体が硬くなってきたりしてますからね。
本公演では、ミュージカル・アクション・コメディーと言えど、役によっては踊らないし、アクションしないし、歌わないし、芝居だけってこともあるんです。
劇団公演全体としてはアクションシーンもあるし、歌のシーンもあるし、ダンスのシーンもありますが、でも個人的では全部やらない時もあります。
それでいうと、今回は自分ひとりしか出ていないので、全部やらなきゃいけないんです(笑)
これは自分の為にもなるけど、どれだけガッツリ踊るかって、それはねガッツリは無いですよ。
でも僕が思うのは、その年代年代で出来る踊りやアクションはあると思うんです。
若い子と同じ量をやるのではなく、ギュっと良いものを見せられれば良いなって。
SETに居る限りは、何歳になろうが踊る、歌う、アクションするっていう思いだけは持って、身体が動くようにトレーニングだけはしているつもりです。
何も無い時は、ランニングしたり、ストレッチしたり、筋トレしたりして、いつでも動けるように準備はしていますけどね。
先程言いましたが、市村正親さんはジムに行ってから稽古に行き、本番に入っても公演の前にジムに行ってトレーニングをしてから劇場に入っている姿を見てると、70歳の方がそういうことをされているのに、10歳も下の人間が「いやもう60だからさ~」なんて言ってられないでしょ!
色んな考え方があるので良いんですけど、自分的にSETに居る限りは動ける自分で居たいと思います。
歌って踊ってアクションして劇団員として何かひとつでも見せるものを提供する人間の集団がSETじゃないですか。
SETだから俺37年居ると思うんですよ。
これ、もしミュージカル・アクション・コメディーが無くて、ストレートな芝居の劇団がSETだったら、たぶん10年も居なかったと思うんですよ。
飽きちゃって辞めてると思います。
色んなパフォーマンスが入っていて、色んなお客さんを楽しませることが出来るから楽しくて、舞台を続けている気がします。
喜劇だけの劇団でも、続いてないでしょうね。
歌ったり踊ったりアクションしたり、色んなことをワーッとやって、エンターテイメントでやっているのが自分は楽しいんじゃないかなと思います。
別にストレートプレイが嫌いな訳では無いんですよ。
やる時はやるし、呼ばれたらやりますけど、ベースはエンタメ系ですね。
昔からそうなんですよ、身体を動かすのが好きで、勉強が嫌いだったので、それが未だに続いてるんです。
これだけ色々とやっている劇団って、いまはあまり無いでしょ?
劇団でオリジナルのメンバーで、長い間やっているところ。
ゲストを入れて歌ったり踊ったりするところはあるけど、劇団員だけでやっている組織は今だとそんなに無いんじゃないかな。
そういうことを言ってますけど、今後のSETも分からないですからね。
三宅さんもあと少しで70歳になりますし、劇団SETがあと10年続くのかっていうのも三宅さん次第ですから。
オリジナルの劇団員だけで2週間なり公演を打って、そこで歌って踊ってアクションして、エンターテイメントを見せている劇団というのは未だにそんなに無いと思うので、そこはやっぱりSETって凄いなって思いますね。
それを守っていきたいから、下の劇団員たちに頑張ってほしいです。
僕らが30年近く守ってきた劇団を、今後30年をお前らが守ってくれよみたいに思い出は要るんですけど、なかなかね(笑)
ひとりでアクションって何をするのですか?
ひとりでアクションをやるんです(笑)
まだ詳しくはお話できませんので、観てのお楽しみです。
でも、なんとなく想像していただければいいかなと思います。
チラシの裏にも書いていますが「雨音だけが聞こえる夜、部屋に返って来る一人の中年男性。手にはスーパーの袋、頭は濡れている。ドライヤーで乾かす髪は・・・もうほとんどない」
だからひとりの男が自分の部屋に帰ってきた後の話です。
自分の部屋で起こる事でひとりでアクションをすると(笑)
なので、敵は居る訳ですね。それが何なのか。
誰かが部屋に乱入してくるのか、でもひとり芝居ですからね。他の俳優さんが来るわけでもなく。
まぁ、どうでしょうね(笑)
出ているのは僕ひとりなので、そこでSETの掲げている旗印の「ミュージカル・アクション・コメディー」というものをやってみようかなと。
だから、踊りますし、白土直子とか丸山優子みたいに聞かせるほどね僕は上手くないですけど歌のシーンも入れて、ひとりでミュージカル・アクション・コメディーをやるなかのひとつにアクションがあるということです。
小倉久寛さんが「ひとり立ち公演」を行った時、いつも最後にブレイクダンスを披露していましたが、野添さんも負けられないですよね?
負けられないです!
でも、ミュージカル・アクション・コメディーという劇団の先輩としてチャレンジしている姿には尊敬をしています。
小倉さんも身体を動かすのが好きなんですよ。
体操もやってたし、空手もやっていたので、学習院ですけどね(笑)
すごく嬉しかったのが、何年か前の本公演でアクションの振付をしている時に「今回は小倉さんにも動いてもらいますよ」って振りを付けたら「これくらいだったら、まだまだ出来る」って言ってくれたんです。
自分より3~4歳上なんですけど、そういう先輩が居てくれると嬉しいですよね。
元々ダンスが得意ではない先輩がブレイクダンスにチャレンジをしている訳じゃないですか。
しかも、小倉さんの横で踊っているのがPaniCrewの植木豪で、ブレイクダンスの世界チャンピオンですよ!
そんな彼と肩を並べている訳では無いですけど(笑)、一緒に踊ってるって。
稽古中は植木豪君から色んな技を盗みたいと思ったりとか、植木豪君みたいに踊ってみたいとか、色んな思いを持ちながら一生懸命に踊ってやってると思うんですよ。
それに関しては、SETの先輩として嬉しいです。
だから、それに負けてられないですよ!
後輩としては、先輩の上をいかないと。
役者としてはあの人の個性には勝てないですから、勝ち目は無いですけど、パフォーマンスでは上を目指していかないといけないので、小倉さんよりもキレのあるダンス、そしてアクションをやっていけるようにしないといけないです。
これが小倉さんの耳に入ると、また身体を鍛えだしたりするから、小倉さんに伝わらないようにしてもらないと(笑)
この公演が終わった後、野添さんはどのようになっていきたいですか?
わからないです!
全っ然、わからないです!
この舞台をやる時に、ファンクラブの会報にも「とにかくやってみます。やらないよりやってみます。何かがあるかもしれない、変わらないかもしれない、どうなるか分からない」って書いたんですけど、終わった後にこういうことをまたやりたいと思うのか、もうやらないと思うのか、まだ分からないです。
やると決めたこの舞台の6ステージをちゃんと責任もってお客さんに楽しんでもらえるようにやらなきゃいけないなっていうことで、いまは頭の中がいっぱいです。
その後どうしようななんていうことは、まったく今は考えられないです。
若いころから、将来的なことを考えられないんですよ。
その時その時ばかりなんです。
その時に一生懸命やるしかないことの連続で37年生きているので、「将来こうだな」とか無くて必死ですよ。
だからたぶん、この職業は合ってないと思うんですよ。
みんなは「役者を37年もやってて、役者が合ってないとか悩む方がおかしいですよ。37年続けていることが証拠じゃないですか」って言われるんですよ。
違うんです。
迷ってるからダラダラきて37年経ってるんです。
なので、役者は天職では無いと思います。
でも「好きな仕事とやれる仕事は違う」って誰かが言ってました。
それで言うと、自分の中で役者は、やれてる仕事なのかなって感じですかね。
好きじゃなくはないですよ。
大好きか?って聞かれたら、んー、大好きでもないですね。
だって、セリフを覚えるの辛いじゃないですか。
人前でセリフを忘れちゃったりもするし、間違えたりするの、恥ずかしいでしょ。
周りの人にも迷惑を掛けるし。
本来の自分は、人見知りなんですよ、昔から。
学生時代も、黒板の前に来て発表しなさいって先生に言われると、まったく出来なかったんです、人前で喋れない。
内弁慶なところがあって、身内ではバカやったりもするんですけど、知らない人の前に出ると何も出来ない人間なんです。
いまもそうなんです。
台本があって役になってストーリーがある中の人物を演じているからやれているんです。
いまだに困るのは、ドラマとかの打ち上げパーティーで撮影では見た事がない関係者もいっぱい集まってるんですよ。
「こんなにいっぱい関係者が居たの?」ってくらい、会場に居る訳です。
そこで、出演者だからちょっと挨拶をするんですよね。
「野添さんはSETですから、ちょっと盛り上げて下さいよ」って言われるんですけど、素でしゃべるとまったく何も出来ないのでクソ真面目に「お疲れ様でした。本当に楽しい撮影期間で、また呼んでいただけたらと思います。ありがとうございました」で終わっちゃうんです。
まわりから「野添さん、それだけですか!?」って言われちゃうんですけど、そういう所で面白いことを言うことが出来ないんですよね。
三宅さんなんて凄いじゃないですか!
そんなに人とは自分はレベルが違うので、基本的には恥ずかしがりで人前では何も出来ないので、なんでこんな仕事をしてるんだろ?って自分でも思うんですよ(笑)
では最後に、作品の宣伝をお願いします
この作品では、歌って踊ってアクションをしながら、前半はお客さんに笑っていただいて、後半にはちょっとホッコリしてもらえるような作品作りをしています。
観終わった時に、心が温かい気持ちになってもらえたらと思います。
最後に「観に来てよかったね」って思ってもらえるようにしたいです。
時間的にはひとりなので、90分も行かない短い時間ですけど、その分ギュッと面白さを詰め込んでいければと思っています。
一生懸命頑張りますので、是非観に来ていただけたらと思います。---長い時間、ありがとうございました。
アフタートーク開催決定!
◆6月27日(木)19:00 終演後
ゲストに堤幸彦監督を迎え、演出を担当した金沢知樹と野添義弘が登壇予定
◆6月28日(木)19:00 終演後
ドラマ「ワカコ酒」で共演している主演女優の武田梨奈をゲストに迎える
◆6月29日(土)17:00 終演後
様々な舞台やドラマ・映画などで活躍し、自身も舞台、そして映画の演出も手がけている福士誠治をゲストに迎える
◆6月30日(土)12:00 終演後
キバコの会第2回公演「フォトジェニック」で初共演して以来、堤監督作品などで関わりの深い、女優の真野恵里菜をゲストに迎える
平日公演は、おSET隊による前説が行われる
同劇団員「小倉久寛」プロデュースの笑いと癒しをお届けするおもてなしユニット「おSET隊(おせったい)」が6月27日(木)、6月28日(金)の2日間、5分前・前説に登場する。
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還暦記念Tシャツも発売
野添義弘の還暦を記念し、オリジナル公演Tシャツを発売する。
野球好きな野添のアイディア満載の、「60」がまるで背番号のようなデザインで、価格は2,500円(税込)
白黒2色、サイズはS・M・L・LLのレパートリーになっている。
野添義弘還暦記念 一人ミュージカル・アクション・コメディー「その夜、カレーライスができるまで」
脚本
金沢知樹 いちかわニャー
演出
金沢知樹
出演
野添義弘
公演スケジュール
2019年6月27日(木)~6月30日(日)<全6ステージ>
6月27日(木) 19:00
6月28日(金) 19:00
6月29日(土) 13:00 / 17:00
6月30日(日) 12:00 / 16:00
※開場は、開演の30分前です。
会場
OFF・OFFシアター
料金
前売:4,000円
当日:4,500円(自由席・税込)
チケット
一般発売日:2019年5月11日(土)
カンフェティ:0120-240-540(平日10:00~18:00)
http://confetti-web.com/y_nozoe
お問い合わせ
SETインフォメーション:03-6433-1669(平日11:00~18:00)
ストーリー
雨音だけが聞こえる夜、部屋に帰ってくる一人の中年男。
手にはスーパーの袋、頭は濡れている。ドライヤーで乾かす髪は…もうほとんどない。
還暦を迎えた野添義弘が贈る、ミュージカル・アクション・コメディ全ての要素を盛り込んだ、男の哀愁と優しさの物語。
プロフィール
野添 義弘(のぞえ よしひろ)
1958年7月3日 大阪府出身
1982年 劇団スーパー・エキセントリック・シアター入団
多数の映画やドラマで、味のある脇役として活躍している。
劇団ではその朴訥とした持ち味とは裏腹なキレキレのアクションに定評があり、殺陣師としても活躍している。
主な出演作は、舞台「真田十勇士」「魔界転生」「夫婦漫才」「志村魂」など多数。
TV「ワカコ酒」、TV「アオゾラカット」、TV「TRICK」他。
LINKS
公式サイト:まいど!!野添義弘です!
Twitter:@73zoesan_set