<インタビュー2>演出家:わかぎゑふ談「この舞台は『10段重ね幕の内弁当』って感じ」オフィスPSCプロデュース第一弾 「殺人ラヂヲ」

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演出のわかぎさんから、皆さんのご紹介をお願いします

■■■津村知与支について■■■
わかぎ)起用だけど、ちょっと浅墓。

朝倉)褒めてるんですかね?(笑)

津村)「ちょっと」ってのもなんかねー!(爆笑)

わかぎ)起用だけど、ちょっと浅墓で、そこを今回の役では絶対に見せてはいけない役です。■■■鈴木健介について■■■
わかぎ)健ちゃんは、男気があって優しいんですけど、完全に詰めが甘いバカなんです。
私がコンビニに行くって言ったら「僕も一緒に行きましょ」って付いてきてくれるんですけど財布を忘れてる。
そんな人が今回は貴族の役をやっているんです。
教養もあるし基本的には人に寛容だし政治を変えようと思ってたと思うんですけど、まずはそういう人種になってもらわないと。
昨日、イスの座り方を教えたところなので、2週間で慣れるかどうか私もまだ謎ですね。■■■石倉良信について■■■
わかぎ)石倉君は、カッコイイし何でも親切にしてくれるし、全体を達観して見る目があってすごくいいんですけど、自分のことを置いてけぼりにするパターンが多いです(笑)

一同)おー!

わかぎ)自分のことに熱くなりなさいよ!

石倉)ほんとそれ!まさに!

鈴木)本末転倒ってやつや

わかぎ)苔の話しをしてる時ぐらいしか自己主張しない。
彼は苔の連載をしてるんです。

鈴木)だから苔を見るといつも踏みつぶしてます。

石倉)だけど、苔は踏むと良いのよ。

わかぎ)こういうこと!
だから、今回はわざと陸軍の冷酷な将校の役を振ったんですけど、そこをストイックになりなさいよっていう気持ちはありますね。
でも、公演のチラシを作ってくれたり、パンフレットを作ってくれたりしてくれているのは彼で、そういう意味では全体を達観して見てバランスを取ろうとしてくれるばかりに「お前、自分のことを先にしろ」ってお姉ちゃんは言いたくなる。■■■朝倉伸二について■■■
わかぎ)朝倉君はズルイんですよ。

朝倉)俺の場合は否定から入るんだ。

津村)ここから上がっていきますから。

朝倉)上がっていくのか。ありがとう!

わかぎ)ズルイでしょ!
華があるし、ズルイ容姿だし、ズルイ芝居をするんですけど、実は割と甘えん坊なんですよね。

朝倉)(うつむいて、おでこを叩く)

一同)爆笑

鈴木)ズルイな!ズルイわ!

わかぎ)甘えん坊なところが上手く出ればいいなと思ってるんですけど、普段はあまり出さないから、でも「こいつかなり甘えたやな」って。大阪弁で言うと。

朝倉)女性ファンを増やしたい。

一同)爆笑

わかぎ)ほら、こうやってはぐらかしてズルイでしょ。
こうやって生きてきたんだなって思うのね。
だからこの甘えん坊な素顔をもうちょっと見せてもらおうかって思ってるんですけど、それがね今回は詩人の役だから「海潮音って詩だけでも読んだら?」って勧めたら「何が書いてあるかまったく分からない」って(笑)

朝倉)僕にはダメです。素養は無いってことが分かりました。

わかぎ)セリフで「アラベスク」「デカダンス」って言葉が出てこなくて、昨日なんだっけ?「アラベスク」のことを何て言ったんだっけ?

津村)アデランス!

わかぎ)「アデランスじゃねーや、なんだっけ?」って言いましたからね。

朝倉)違うなってのは分かってたんだけど、出てこなかったんだよ。

わかぎ)今日もその場面で「アラベスク」ってセリフですごい間があるんだよ(笑)

朝倉)思い入れですよ!演技ですよ!

わかぎ)ちげーよ!(笑)

一同)爆笑

朝倉)思い出してる間じゃなくて、思い入れですから!

逆に皆さんは、わかぎさんのことをどんな印象をお持ちですか?

朝倉)博識ですよね

鈴木)頭いいですね!

朝倉)ダメ出ししてるうちに、うんちくを聞いてる時間がどんどん長くなっていきますね。

鈴木)この企画も普通は立ち消えになるんですけど、それを絶対にさせない行動力で、それに僕らが慌てるんです。
小屋を押さえたりとかとにかく動くんですね。
いつ寝てるのかっていうくらい、脚本を書いたり忙しい方なのに絶対に一緒に飲みに行くし。

わかぎ)だって寂しいじゃんね。

鈴木)口はすごく悪いんですけど、ずっと面倒を見てくれる。

わかぎ)コイツが面倒を掛けてるんですよ。

鈴木)僕が大阪で仕事があると「泊まりに来い、泊まりに来い」って言うんですよ。

わかぎ)嘘つけ!!お前が勝手に来んねや!

一同)爆笑わかぎ)気が付いたら、あんたがうちの事務所で勝手に寝てんねやんか。

鈴木)まぁ、僕以外にもそういう人たちがいっぱい来るんですよね。
今日のこの中では、芙紀子さんと僕が一番関係が長いのかな?

わかぎ)だって、朝倉君なんて京都の河原で飲んだだけなんだもん(笑)

朝倉)南座でやっているのを観に来てくださって、知り合い同士で飲みに行って。

わかぎ)河原で飲んだらえぇやんって私が引っ張って。

石倉)え?本当の河原?

朝倉)本当の!
河原で飲んで、ベロベロになったの。
だから、出会った時は全然知らなかったんだけど、もう5分後には上下関係が出来てたよね。

一同)爆笑朝倉)コンビニに買い物に行った時は、カゴを持ってたもん!

鈴木)小さな巨人ですよ。

石倉)ほんとに、このパワーとバイタリティーは、この小っちゃな体からどんだけ出てくるんだって。

津村)下に飛び込んでくる人は多いですけど、上に飛び込まれる感じですよね。

一同)爆笑

朝倉)そうだよね!知らない人に下手から行く人は多いけど、上から来るもんね。

津村)これは新しいですよね!

朝倉)新しい!わかぎ)チビやから気が付かれへんもん。
上から行ってんねんけど、見てる時は下から見てるから、下から来てる感じがするんだよ。

石倉)でも威圧感がある訳じゃないんだよね。

朝倉)また、うんちくがあるから勝てないんだよ。

鈴木)でね、芝居では論破されるから身体を動かすのも殺陣とかそこは勝とうと思ったら、誰よりも動けるんですよ!
だからもう「ハイ」っていう。

石倉)懐に入ってくるというか、懐を広げてくれちゃってるんです。
俺らが入りやすいように。

鈴木)ずっと「(泊まりに)来い、来い」言うからさ。

わかぎ)よー、洗濯物干してたら知らんパンツがあんねん。
「誰のや?これ」って。

石倉)え?入れてるの?

わかぎ)みんな入れんねんけど、でも、よー見るわこのパンツ。

鈴木)色んな役者がお世話になってますね。

わかぎさんの台本を読んで、どんな感想をお持ちになりましたか?

石倉)本当に芙紀子さんの作・演出の作品に出てみたかったですし、リライト前の本も読んでいたので、「こう変わるんだ!」っていうワクワクしかなかったです。
しかも、稽古する1か月前に書き上がってるんですよ!
それにも驚いて、そうしたらもうセリフ入れるしかないじゃないですか。
以外と入らないのね!(笑)

一同)爆笑

石倉)ちょっと前まで、結構入ってるわって思ってたのに、(稽古場に)立ってみたら全然出てこないのね。
それって、入ってないって事なのよ。
この世界観を、僕ら同じ事務所とは言え、歳も全然違うし初共演の人もたくさん居るので、それでどうにか料理して完成出来たら最高かなって思ってます。
でも芙紀子さんが居るから安心感はあります。

鈴木)安心感はあるけど、難しい本ね。
役者が本気にならないと、ちょっとっていう。
芙紀子さんの現場って毎回そうなんですけども、(芙紀子さんの中にイメージが)あるんですよね。
その安心感はすごくあって、かと言って甘えるでもなく、役者がどんどん発信していかなければいけないんですけども。

わかぎ)無いですよ、何にも。

朝倉)みんなのひとり芝居の部分がちょっとずつあるので、そこで自分たちのキャラクターをどんどん面白く作っていって、それが合わさって揃っていくことが面白くなるだろうなって思いますね。

わかぎ)昨日ね、稽古初めだったから全員でじゃんけんをしてもらって、勝った人からひとり芝居のシーンだけ全部やったんですよ。
ボロボロだった(笑)

石倉)しかも、芙紀子さんさんが「みんなじゃんけんして」しか言わないんですよ。
勝った方も負けた方も何も言わないんです。何も分からないままじゃんけんしてました。

鈴木)俺はもう勝たなきゃって思った。絶対に負けた奴から何かやらされるんだと思って。

津村)嫌な予感だけはしましたよね。

石倉)そうしたら、勝った順からだった(笑)

鈴木)えーっ!ってね(笑)

先ほど仰ってた台本にキャスティングを書かずに読ませたり、じゃんけんで決めたり、その場の反応を見たいっていう気持ちがあるのでしょうか?

わかぎ)基本的にこの9人のバランスを取るのが私の仕事で、演出の仕事なんてそれだけなので、バランスの良い船にしてあげて、本番という海に放り込めば、後はお前らが頑張れよって。

本番には私は出られないので、バランスを取るためには、一緒に作品をやっている人も居れば、よく飲みに行く人も居れば、よく連絡をする人も居るけど、そうじゃない人も居るじゃないですか。
そこをどうやって仲良しにするかなって、この人たちが幼稚園の子供であろうが人間国宝さんたちであろうが、私の中では一緒なんですね。

この現場でどれくらいのカンパニーになるか、いわゆる稽古場というところで船のバランスをどう取っているかだけなので、別に何をどうしている訳では無いです。
この子とこの事をもうちょっと知っておかないとダメが出せないとか、そういう事しか見てない感じではあります。

昨日から稽古を始めたとのことですが、同じ事務所のメンバーなので和気藹々なのか、こんなギャップがあるのかなど、稽古を始めてみてどうですか?

津村)事務所のメンバーと共演するのが以外と初めてだったり、健介さんもそうですし、石倉さんも、朝倉さんもそうですよね?

朝倉)はじめてだね。

石倉)健介とやったことないの?

鈴木)無いです。

わかぎ)ただの飲み友達だもんね。

津村)(健介は)ただ物をくれる人。

わかぎ)服をくれる人だね。

鈴木)服をくれる人って、ヒドイ!(笑)

津村)このメンバーだったら佐久間さんだけですね。

わかぎ)そうなの!?ツム、こんなに芝居してるのにみんなとやったことないの?

鈴木)意外と同じ事務所ってあまり無いかもしれないですね。

津村)だからまだ2日目ですけど、新鮮ですが、和気藹々と言うよりヒリヒリするというか、うかうか出来ないなって思いますし、ビシビシ感じるし、自分のケツも叩きつつ、みんなで楽しくやっていくと言うよりは緊張感が早くも出てきてるなって感じだから。
表面上はワキワキと。
ワキワキじゃない、和気藹々と(笑)

一同)爆笑石倉)新しい言葉が出来上がっちゃったじゃないかよ!(笑)

わかぎ)浅墓でしょ!

朝倉)この芝居を作るために制作的なことをみんなで話し合って仲は良くなっているんだけど、芝居を初めて一緒にやる人もいるし、あまりやらないキャラクターにキャスティングされているし、稽古2日目で「これってどうやって来るんだろう?」とか、想像付かないことがいっぱいあるので、いま本当に探っている状態で、これが1週間くらい経つと少しは落ち着くのかもしれないですね。

鈴木)でも同じ事務所だからこそ余計に役者同士厳しくなっていくでしょうね。お互いに良い意味で。

わかぎ)一番びっくりしたのは、私は生まれて初めて事務所というものに入ったんですね。ここの。
なんだけど、事務所に所属してる俳優さんの数を数えたら5分の1位がこの芝居に出てて、「これで事務所が成り立つのかな?」って思って一番笑ったというかびっくりしましたね。
こんなことしてて良いのかなって思いましたけど。

石倉)ありがたいことですよね。

わかぎ)変な事務所って思いました(笑)
普通に考えたら反乱だよね。あらゆる意味で。