<コメント&舞台写真>堤真一、森田剛、西野七瀬、大東駿介、山崎一、伊藤蘭ら実力派キャストで上演する家族の物語!『みんな我が子』-All My Sons-がついに開幕!

ステージBunkamura, 劇場, 渋谷, 舞台

伊藤蘭 森田剛 堤真一

堤真一、森田剛、伊藤蘭ら豪華出演者で、アーサー・ミラーの傑作戯曲

『セールスマンの死』(ピューリッツァー賞・トニー賞受賞)、『るつぼ』などで有名な、20世紀を代表するアメリカの劇作家アーサー・ミラーの代表作の1つとされる戯曲『みんな我が子』。
1947年にアメリカ・ブロードウェイで初演され、第1回トニー賞を受賞、その後世界各国で上演、1948年と87年には映画化もされた。

近年では、2019年にイギリス・ロンドンのオールド・ヴィック・シアターで上演され、ナショナル・シアター・ライブで上映。
同年ブロードウェイでのリバイバル公演は、第73回トニー賞の演劇リバイバル作品賞を受賞するなど、初演から70年以上の時を経ても色褪せることなく、世界中で上演され続けており、シアターコクーンでは、2016年にDISCOVER WORLD THEATREシリーズ(以降DWT)の第一弾公演として上演した『るつぼ』以来のアーサー・ミラー作品となる。

演出は、リモートながらも高い完成度で上演した2020年のDWT vol.9『十二人の怒れる男』から、2度目の登場となるリンゼイ・ポズナー。
1991年に上演した『死と乙女』にてイギリス演劇の最高峰ローレンス・オリヴィエ賞作品賞を受賞し、多彩な現代劇作家作品の演出で評価を得ているポズナーが、2009年にイギリスで手掛けた『橋からの眺め』以来となる。

堤真一、森田剛、西野七瀬、大東駿介、山崎一、伊藤蘭ら実力派キャストで上演する家族の物語

幸せをつかむためのとある選択が、人生を狂わせ、家族を崩壊させる。アメリカの片田舎に暮らす家族と隣人、そして友人家族に起こるたった一日の物語を実力派キャストが演じる。

家族のためにただひたすらに生きる父ジョー・ケラーには、DWT vol.1『るつぼ』から5作目の出演となり、舞台に留まらず、ドラマ・映画と映像でも作品ごとに独特の存在感を放つ堤真一。

戦争から戻らない次男ラリーの無事を信じ、家族を愛する母ケイトには、舞台・ドラマ・映像で女優として活躍、近年はアーティスト活動も再開し2021年に開催したコンサートも大成功させた伊藤蘭。

ケラー家の長男クリスには、2021年に長年活動してきたアイドルグループV6の解散という人生の大きな選択から、新たな俳優人生の第一歩として2年ぶりの舞台出演となる森田剛。

ラリーの婚約者アンには、本格的な舞台には劇団☆新感線の『月影花之丞大逆転』に続き2作目、近年活躍目覚ましい若手女優・西野七瀬。

アンの兄ジョージには、シリアスからコメディまで多彩な役を演じ分ける実力派俳優・大東駿介。

そして、ケリー家の隣人ドクター・ジムには、『十二人の怒れる男』にてポズナーが信頼を寄せるベテラン山崎一。

文化や言葉の壁を乗り越えて、上演され続ける家族の物語が、5月10日(火)Bunkamuraシアターコクーンにて幕を開けた。 

西野七瀬 森田剛 大東駿介 伊藤蘭
森田剛 堤真一
堤真一 山崎一
森田剛 堤真一 伊藤蘭

コメント

堤真一(つつみ・しんいち)

やればやるほど難しい台本だなと感じます。
ジョーは学もなく単純な人間で、想像力もない。
戦場は経験しておらず、戦争はあくまで“外”で行われていることで、人の命に対する感覚が薄れている。
最初に台本を読んだ時は「なんて酷い父親だ!」と憤りを感じましたけど、役柄を理解すると、そのどこがいけないんだ?という彼の主張もわからないではないんです。
ジョーを演じる上で、落ち着いた強い父親でありたいとは思うものの、声や身体の使い方も含めて、今までにない挑戦です。
この強烈な自己主張に満ちた人間を、一見“正しく見える人間”にできるように創り上げたいと思います。

それにしてもアーサー・ミラーはやっぱりすごいなと。
いかに人間が完璧じゃないかということを突きつけられますね。
人は時に自分を正当化しながら生きるものであり、直接・間接に人を巻き込む戦争がいかに馬鹿げたものかも痛感させられる。
この父親も観る人によって意見はさまざまでしょうけど、ひと色ではない思いを持ち帰っていただけたらと思います。

森田剛(もりた・ごう)

会話のスピード感、人物たちの思考がものすごい速さで動いているので、その言葉のキャッチボールはとても演劇的だなと思います。
言葉と腹の中で思ってることが全然違う、そんな人がいっぱい出てくる話なので、観る人によって解釈も違ってきますよね。笑っている人の腹の中には絶対にその反対があるな、と思って見ちゃうけど(笑)、意外にそのまんまの笑顔の人だったり。
また、怒りの感覚を相手に向けて発散するのと、自分に向けて発散するのでも、見え方がずいぶん違って来る。
そういう意味では、クリスはどう見られるんだろうな、という楽しみもあります。

稽古が苦しくて逃げ出したくもなりましたが、でも忘れちゃうんですよ。
舞台ってそんなものかもしれない。
いいことばかり残って嫌なことは忘れちゃう。
クリスとして生き生きと、真っ直ぐに立つ自分を想像して、そこを信じてやるしかないなと思っています。

西野七瀬(にしの・ななせ)

海外の戯曲、海外の演出家さん、共演させていただく皆さんも初めての方が多く、初めての経験ばかりです。
自分の幸せを実現するために、やむを得ずとはいえケラーを追い詰めるきっかけを作るのはアンです。
台本を読む前までは、こんなに物語の鍵を握る役割があるとは想像していませんでした。

どうしてこれほど贅沢で素晴らしいお話をいただけたのだろう?と思う一方で、難しい挑戦の方がやりがいがあるということは今までの経験上わかっていました。
毎回葛藤しますが、安定の道には行きたくないタイプで、どうしても難しそうな方に興味を引かれてしまう。
挑戦は大好きですね。
実際はめちゃめちゃ弱音を吐いていますが(笑)、とても充実しています。

生の声でちゃんと客席に届けられるのか、もっと細かくリンゼイさんのリクエストに応えたいのに全然できていないところなど、考えなければいけないことばかりで頭が一杯一杯ですが、挫けずにこの壁を乗り越えていきたいです。

大東駿介(だいとう・しゅんすけ)

リンゼイさんの演出は面白いです。
丁寧に、丁寧に進めていくので、発見がすごく多いんです。
こうしてとことん繊細に台本と向き合える時間をもらえたことは本当にありがたいし、演劇はこうして作られるんだ!という楽しさを実感できて、すごく嬉しいですね。

この戯曲を最初に読んだ時、いち家族の出来事のなかに、その時代の痛みや悲しみ、そこから先に進もうとする人間の強さみたいなものをすべて見せていると思って、とんでもない重圧を心に感じたんです。
その圧の強さをしっかりと舞台の上に表せられるようにしたいですね。
ちゃんとその時代の風が、劇場に吹けばいいなと。
今、本当に戦争の最中であるという現実、ニュースの映像に対して、どこまで僕らがリアリティを感じられるのか…といったことも考えずにはいられません。
それでも僕たちは生きていく、そうした小さな、灯火みたいな命のエネルギーに、向き合える時間になればいいなと思っています。

山崎一(やまざき・はじめ)

ミラー作品は「これでもか!」としつこいぐらいに打ちのめされるようなところが面白いと思える人と、そこが苦手な人と、二手に分かれる気がします。
僕はこのヒリヒリする感覚が好きですね(笑)。
それにやっぱり構成が上手いんですよ。サスペンスめいた部分もありつつ、でも全てが理詰めで成立しているわけじゃない。
すごく曖昧な部分も残されている。

おそらくケラー家っていい家族だと思うんです。
でも一つの嘘だけが重くのしかかっている。
もちろんそれは許されないことだけれど、寛容な心を持って見るならば、その一点のみで友達関係を壊すことをしなかったんじゃないかな。
加えて、戦場を経験しながらピュアな心を持ち続けているクリスの存在もジムの心を動かしたんじゃないか…と、勝手に解釈しています(笑)。
ジムは知的で、ちょっと皮肉ったジョークも言い、周りが見える人物。
ユーモアがありつつも視野が広く、やさしい眼差しを持っている、そんな風にできればいいなと思っています。

奇しくも今、ウクライナで戦争が起きて、現実と作品がリンクしています。
戦争で犠牲になるのは誰にとっても「我が子」なのにと思ってしまいますね。

伊藤蘭(いとう・らん)

繰り返し台本を読んでみると、登場人物一人一人の悩みや葛藤に改めて惹きつけられます。
一日に凝縮された中で濃密すぎる出来事が起きていきますが、時に滑稽でもある人物たちが愛おしくなってくるんです。
心理的サスペンスのような側面もありつつ、そんな風にそれぞれの人間らしさが浮き出てくるところが、このお芝居が長く愛されてきた理由ではないかなと思っています。

強烈な個性の母親役は色々と経験してきましたが、ケイトはひときわアップダウンが激しくて、まるでジェットコースターみたい(笑)。
精神的に不安定な人のように見えて、並外れてエネルギーが大きい人だと思います。
彼女の判断や深謀は自分でも言う通り愚かかもしれませんが、最後まで揺るがない夫婦の結束、夫に対する愛情という一点は大切にしたいです。

ケイトとしては子供たちに愛情を分け与える一面と、感情が沸騰して心の奥底が覗く部分と、メリハリをつけて表現できればと思います。

演出:リンゼイ・ポズナー

私のプロセスは、まずかなり長い時間をかけて俳優の皆さんとひとつひとつの台詞について1行ずつ、ト書きも含めて心理的動機や社会・歴史的背景を話し合います。
それからきめ細かく、何度も短いセクションを繰り返しながら立ち稽古をし、最終段階になったら通し稽古を行います。
このような進め方が初めての方もいらっしゃったと思いますが、皆さんとてもオープンで私のやり方をすぐに理解し対応してくださり、クリエイティブで心がひとつになる関係を築くことができたと強く感じています。

個人、そして社会全体に対する罪の意識と責任というテーマを扱っているアーサー・ミラーの素晴らしい戯曲を日本で演出できることは本当に名誉なことですし、学びの多い経験となりました。
またこの戯曲は、家族の肖像と家族が抱える問題を見事に描いており、これは普遍的に理解されるものであると信じています。
私たちのプロダクションが、ご覧になる観客の皆様の心を深く動かし、そして個人と社会における責任の本質について問い直すものになることを願っています。

美術・衣裳:ピーター・マッキントッシュ

来日することができなかった「十二人の怒れる男」(20年上演)を、コロナ禍の最中にもかかわらず上演できたこと、困難を乗り越えてやり遂げたことは、信じられないほど感動的でした。
あの経験も、かけがえのないものだったと思います。

今回の「みんな我が子」においても、創作過程の一部はリモートで行いましたが、来日できて非常に嬉しく思っています。
もし来日が叶っていなかったら、成し遂げることができなかったことも出てきていたことと思います。
リモートで行った作業を、来日後にやり直さざるを得なかった部分もありますが、皆さん果敢にチャレンジしてくださっているので、とても充実しています。
日本のカンパニーの皆さんは本当に全力を尽くしてくださっていて、共に楽しい時間を過ごすことができています。
全ての要素が極めて美しく仕上がり、素敵な作品を創り上げることができました。

俳優の皆さんの演技には目を見張るものがあり、ご来場いただく皆様には素晴らしいひと時をお過ごしいただけると思います。どうぞお楽しみください。

あらすじ

第二次世界大戦後のアメリカ。
戦争特需で財をなしていたジョー・ケラー(堤真一)は、一家で幸せそうに暮らしていた。
隣人の医師ジム(山崎一)とも良好な関係だ。
しかし妻ケイト(伊藤蘭)は戦場から戻らぬ次男の帰りを今も待っている。
そこへ次男の婚約者アン(西野七瀬)が訪ねて来た。
ケラー家の長男(森田剛)は密かに彼女に想いを寄せている。
さらに現れたのはアンの兄ジョージ(大東駿介)。
彼の訪問はケラー家が抱える過去の闇を焙り出し-。

COCOON PRODUCTION 2022 DISCOVER WORLD THEATRE vol.12『みんな我が子』-All My Sons-

アーサー・ミラー

翻訳

広田敦郎

演出

リンゼイ・ポズナー

美術・衣裳

ピーター・マッキントッシュ

出演

堤真一 森田剛 西野七瀬 大東駿介 栗田桃子 金子岳憲 穴田有里 山崎一 伊藤蘭 他

東京公演

公演期間:2022年5月10日(火)~30日(月) 全25回
会場:Bunkamuraシアターコクーン
チケット発売日:2022年3月27日(日) AM10:00~
チケット料金:S席11,000円 A席9,000円 コクーンシート5,500円(全席指定・税込)
 ※コクーンシートは、特にご覧になりにくいお席です。ご了承の上、ご購入ください。
 ※未就学児童の入場はご遠慮いただいております。
主催/企画・製作:Bunkamura

大阪公演

公演期間:2022年6月3日(金)~8日(水)
会場:森ノ宮ピロティホール
チケット発売日:2022年5月8日(日) AM10:00~
チケット料金:11,500円(全席指定・税込)
主催:サンライズプロモーション大阪