「STAR WARS浮世絵」で大反響を呼んだ気鋭の画家・石川真澄が中村獅童、中村勘九郎、中村七之助出演の新作歌舞伎『怪談 牡丹燈籠』にてビジュアルを手掛ける

ステージ劇場, 舞台, 赤坂


2008年9月、十八代目中村勘三郎の“芸能の街・赤坂で歌舞伎を!”という一言から始まった「赤坂大歌舞伎」。
世話物の傑作『狐狸狐狸ばなし』/松羽目物『棒しばり』は、これまで歌舞伎を観たことがなかった方々の関心をも喚起し、客席からは絶賛の嵐で大成功を収めた。

そして今回、約3年の時を経て「赤坂大歌舞伎」が帰ってくる。
6度目となる今回は、三大怪談噺の一つと呼ばれ、明治25年に歌舞伎化されこれまで何度も公演されてきた人気の演目『怪談 牡丹燈籠』を中村獅童、中村勘九郎、中村七之助が出演して上演する。

そのビジュアルを手掛けるのは、2015 年映画『STAR WARS』浮世絵「星間大戦絵巻」で世間の大反響を呼び、『KISS』『David Bowie』など世界的ミュージシャンとのコラボレーションでも知られる気鋭の画家、石川真澄。
約3ヵ月の製作期間を経て「怪談 牡丹燈籠」の浮世絵が完成させた。

画家:石川真澄 / MASUMI ISHIKAWA

コメント

日本三大幽霊の一人、お露で有名な「怪談 牡丹燈籠」。
タイトルに「怪談」とついていますが、その要素は全体の一部の描写にすぎず、物語本来のテーマは、やはり「人間の業」でしょう。

今回のビジュアルは、象徴としてのお露に、人間のもつ業の深さ、怖さを込めて制作しました。
手に持つ団扇の柄は、美しいお露の霊を牡丹に見立てているのと同時に、美しい花に引き寄せられる蝿も、惑わす方の牡丹もまた業である、という意味合いも含めています。

「幽霊より、人間の方が恐ろしい」・・・一見、幽霊として描かれたお露の絵から、そんなイメージを感じて取っていただけたら幸いです。

プロフィール

1978年東京生まれ。
2000 年に六代目歌川豊国に師事。
まもなく六代目が他界したため、独学で浮世絵表現を習得し画家、絵師として独立。

近作に『DAVID BOWIE』浮世絵(ロンドンの大英博物館に所蔵)、『New Era』とのプロダクトコラボレーション、『STAR WARS 歌舞伎』メインヴィジュアルほか多数。
2020年待望の『STAR WARS』浮世絵新作『星間大戦絵巻 侍第師範 擁懦』(ヨーダ)発売。
そして作品集『石川真澄 作品集 IMAGINATOR』発売予定。
今昔ラボ主宰。

Official Site

http://www.konjakulabo.com

赤坂大歌舞伎『怪談 牡丹燈籠』

演目

怪談 牡丹燈籠

原作

三遊亭圓朝

脚本・演出

源孝志

出演

中村獅童、中村勘九郎、中村七之助 他

会場

TBS赤坂ACTシアター

日程

2020年5月5日(火・祝)~5月24日(日)【全26回公演】

料金

S席13,500 円、A席8,000 円、B席4,000 円(全席指定・税込)

チケット発売日

発売中

チケット取扱

・ACTオンラインチケット:http://www.tbs.co.jp/act/event/ookabuki/

・チケットweb松竹:http://www1.ticket-web-shochiku.com/pc/

・チケットぴあ:http://w.pia.jp/t/a-kabuki2020/

・ローソンチケット:http://l-tike.com/a-kabuki/

・イープラス:http://eplus.jp/a-kabuki2020/

・サンライズプロモーション東京:http://sunrisetokyo.com/

・CNプレイガイド:http://www.cnplayguide.com/a-kabuki2020/

問合せ

サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日 12:00~18:00)

主催

TBS/松竹株式会社/BS-TBS/TBSラジオ

企画協力

ファーンウッド/ファーンウッド 21

製作

松竹株式会社

公式サイト

https://www.tbs.co.jp/act/event/ookabuki2020/

作品紹介

日本を代表する怪談『牡丹燈籠』。原作は明治に生きた江戸落語の名人・初代三遊亭圓朝。

幕末の草子作家・浅井了意の手になる怪奇譚集『御伽婢子』(中国明代の怪奇小説集の中の『牡丹燈記』を翻案したもの)を元に、深川の米問屋に伝わる怪異談や、牛込の旗本屋敷で実際に起こったお家騒動を巧みに組み合わせて作り上げた、初代圓朝の傑作人情噺です。

講談や落語で語り継がれ、歌舞伎で上演され、幾度も映画化されて日本の夏を涼しくしてきたこの有名な怪談。
若侍の萩原新三郎に恋い焦がれて死んだ美貌の娘・お露の幽霊が、死後も牡丹の燈籠を下げて夜毎新三郎を訪れ、最後はとり殺してしまう…
「女は下手に燃え上がらせると恐ろしい」という、怖~いお話。

日本の幽霊には足がないというのが定番ですが、お露は美しい素足に下駄を履き、カラン、コロンと夜道を忍んで来るという、実に人間的で艶めいた幽霊でもあります。

しかしこの有名な『お露・新三郎』の怪談話、圓朝作の『怪談牡丹燈籠』のごく一部に過ぎません。

完全版はお露の父とその忠臣、稀代の悪女とその間男、強欲な町人夫婦…… 男と女の欲と色が交錯するドロドロの人間ドラマになっております。
むしろ最後には「幽霊より人間の方が怖い」と感じさせてしまうあたり、落語というよりは世話物文学の傑作と呼ぶべき名作。全二十二段、二十年に渡る長編愛憎劇です。
単純に勧善懲悪を諭すでもなく、人倫の道を説くでもなく、欲望に抗しきれない生身の人間の愚かさをリアルに描いていくタッチに容赦がなく、他の怪談話とは一線を画す名作と言ってよいでしょう。
各登場人物のキャラクター造形も緻密で個性的。

歌舞伎でいう「しどころ」(演じ所)が多く、役者の魅力を存分に発揮できる原作でもあります。
今回の舞台で、その物語の面白さに触れ、また歌舞伎の醍醐味を堪能していただければ幸いです。