<インタビュー>寺脇「亀山を見たいでもそれが役に立っているのであればキッカケは何でも良い」岸谷「何度も言うけどAAAはお客様、出演者そしてスタッフに感謝しかない」Act Against Anything VOL.2『THE VARIETY 28』を11月26日にパシフィコ横浜で開催!

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1993年、岸谷五朗の呼びかけにより、エイズ啓発を目的としたチャリティコンサートとして誕生し、寺脇康文とともに26年にわたり活動を続けてきた『Act Against AIDS』。

一定の役割を終えたとして、2018年の「Act Against AIDS『THE VARIETY 26』」を最後にAAA事務局が解散となった。
1年のブランクを経て、2020年に「Act Against Anything『THE VARIETY 27』」が開催された。
ただこの年からコロナウィルス感染症が世界中で影響し、日本武道館で開催を予定していたが急遽配信に切り替え、翌年も感染拡大の影響を受け、開催を断念している。

そして今年2022年、Act Against Anything VOL.2 「THE VARIETY 28」が11月26日(土)にパシフィコ横浜で4年ぶりの有観客で開催される。

MCの岸谷五朗・寺脇康文には2018年の開催前にインタビューを行なっており、今回のインタビューも4年ぶりとなった。
二人の演劇ユニット「地球ゴージャス」でもコロナの影響を受けており、インタビューでは当時の様子やチャリティーの取り組み方、今回のイベントについて話を伺った。

インタビュアープロフィール

余談であるが、インタビューの内容に関わってしまったため、インタビュアーのプロフィールを事前にお伝えさせていただく。
前回4年前のインタビューで『Act Against AIDS』の1回目からすべて参加していることや、1990年10月からTBSラジオで放送していた「岸谷五朗の東京RADIO CLUB(通称:レディクラ)」のヘビーリスナーであったことを今回のインタビューでも覚えて頂いており、インタビュー中は当時のパーソナリティとリスナーの関係に戻ったようにお二人からは話していただき、リスナーに語る口調で話されているのはご了承いただきたい。

岸谷五朗・寺脇康文インタビュー

2020年に「Act Against Anything VOL.1『THE VARIETY 27』」が開催されるも、コロナの影響で無観客となり配信での実施となりました。
地球ゴージャスでは『星の大地に降る涙 THE MUSICAL』(※1)や『The PROM』(※2)でも中止の公演がありました。
この約3年はどのように感じていらっしゃいますか?

※1:地球ゴージャス二十五周年祝祭公演「星の大地に降る涙 THE MUSICAL」
東京公演:2020年3月10日(火)~4月13日(月) @舞浜アンフィシアター
大阪公演:2020年5月3日(日・祝)~5月14日(木)@フェスティバルホール
※2:Broadway Musical「The PROM」Produced by 地球ゴージャス
東京公演:2021年3月10日(水)~4月13日(火)@TBS赤坂ACTシアター
大阪公演:2021年5月9日(日)~5月16日(日)@フェスティバルホール
東京公演は全ステージ免れるも、大阪公演は全ての日程が中止となってしまった。

岸谷)「星の大地」は8ステージしか出来てなかったからね。(※3)
※3:東京公演の中盤3月22日~3月27日のみ開催でき、大阪公演は全ての日程が中止となってしまった。

寺脇)初日も遅れちゃったんだよね。

岸谷)コロナに関しては、我々地球ゴージャスは徹底的に影響を受けてしまいました。
稽古が始まったばかりで、この頃にコロナの感染が広まった時期だったんだよね。
エイズと言うものが30数年前に日本に上陸したころ、謎の病気で怖い未知のものっていうところは、今回のコロナもスタート時点は似てたよね。
「何だろう?この病気」ってね。

『Act Against AIDS』は「知るワクチン」をスローガンにしていたんだけど、コロナも知っていかないと今後どうやって防いでいけばよいか分からないって言う怖さがありましたね。
だから残念ながら、我々の『星の大地』も中止せざるを得ない状況が続いてしまいました。
『星の大地』の初日はみんなで衣装を着てスタンバイしていたけど「今日は出来ません次の日に初日をずらします」って言われて、次の日も全部準備をしていたけど「出来ません」っていう日が続いたんだよね。

9日目にして初日を迎えられて、演技をしている時は夢中で分からないからカーテンコールで確認出来たんだけど、過去にあんな客席は見たことはなかった。
2000人が入る劇場に、ポツン、ポツンって集団があるだけなのね。
もちろん来ていただいたお客様には「ありがとう」なんだけど、ちょっと戦慄が走ったかな。

寺脇)こればかりは責められないしね。

岸谷)これから演劇界がやばくなるぞっていう予感がそこでしていて、それからまだ続いているけどね・・・。

寺脇)僕らだけではなく、他のところもだけどね。
稽古だけして本番が出来なかったところもあるし。
さっきの怖さでいうと、「星の大地」の稽古が始まって少しした時にメンバーが稽古場に来て「マスクを買おうとしたらお店にないんですよ!」って言ったから「そんなことないだろう!」って言ったのを覚えてます。
だってマスクが無くなるわけないじゃんって思ってたんですけど、帰りにお店に寄ったら本当に無かったんです。
あれから始まったよね。

岸谷)マスクが売り切れるなんて、思ってないもんね。

寺脇)外に出てる人も少なくなって、ゴーストタウンみたいになってたもんね。

あの頃は、人が集まってはいけないって感じでしたよね

寺脇)演劇界にとっては、それはもう辛いことだった。
人を集めたい、人に集まって欲しい僕らが全てダメって言われたら、どうすればいいんだ?って。

岸谷)一番大事なところを失った訳だからね。

寺脇)まだ終わってないしね。

『Act Against AIDS』から『Act Against Anything』にタイトルが変わり、くしくも日本でもコロナでたくさんの人が影響を受けてしまいました。
コロナ感染症や災害なども含め、海外だけではなく、最近では日本でも色んなサポートが必要になる状況が増えてきているように思えます。
改めて今後のチャリティーの方針などをお聞かせください

岸谷)我々のやっている地球ゴージャスは、その年に起きた出来事を振り返って「何があっただろうか?」って考えて、テーマを決めてオリジナル作品を作っています。
過去に上演した地球ゴージャスの作品群を見返すと、「だからこの脚本を書いたんだな」ってその年代に何があったのかが自分の中では明確に思い出せるんです。

『Act Against AIDS』で行ってきた、エイズに対しての啓蒙啓発がひと段落して、改めて『Act Against Anything』では地球ゴージャスの作品を作る時のように、その年その年で世界の情勢がどうなっていたか、日本国内がどうなっていたかを捉えることによって、チャリティーの方針や寄付先も変わってくると思います。
ライブの内容はこれまでと変わらず、来てくださったお客様を楽しませて、お客様からいただいくチケット代でチャリティーをしていくことに変わりはないです。

以前、東日本大震災が起きてしまった年には集まったお金の一部を被災地に寄付しているし、2012年は2days開催して1日目は東日本大震災の被災地に寄付をして、2日目はエイズチャリティーの目的で開催しました。
恐らく今後はもっとそうなっていく気がしていて、スタッフ達と一緒に考えてどこで寄付が必要なのか、我々はどこを支援すべきなのかを慎重に考えていきます。
寄付先が変わったとしても「涙している子供たちに笑顔を与えようよ」っていうテーマは変わらずやっていこうと思っています。

寺脇)1年に1度のイベントでチャリティーとして寄付できる金額ってそんなに大したことではないと思っているんですね。
すべての困っている人、全員のことを考えると。
だけれどやらなきゃゼロだけど、1日だけとはいえ、やれば何かしらに寄付は出来るって考えると、いただいたお金を僕らが考える「お金を必要としているところ」に、チャリティーに賛同してくれたみんなが納得する形でお渡ししたいって思ってます。
微々たるものですけど、出来ることを出来る範囲で無理なくやっていくという、チャリティーの方針は変わらないと思います。

『Act Against Anything』に変わった事で、自由度が広がった感じでしょうか?

岸谷)そうですね。
思いとしては、もっと広く社会貢献をすることもそうだし、もっと広く子供たちの支援をする意識を、我々作る側もそうだし、お客様にも持ってもらうことは大きいかもしれませんね。

2020年から、舞台やライブが軒並み中止に追い込まれ、多くのエンタメは、配信を活用されるようになりました。
コロナ以前、2018年のAAAでは、ライブビューイングで全国の映画館で上映し、この頃から配信の原点が採用されていました。
お二人は舞台という生の環境を主に活動されてきましたが、配信というものをどうとらえられていますか?

岸谷)大きく、二つあります。

最初に配信を行ったのは、2020年の『Act Against Anything』で、日本武道館で開催を予定していたのを急遽配信のみに切り替えて、すでに販売していたチケットは全て払い戻しになってしまったんですけど、配信でも寄付することが出来たんですよ。
これはたくさんの皆さんが見てくれたお陰で、とても感謝をしています。
配信というものが出来たお陰で、お客さんを入れている時と同じではないですけど、チャリティーを実現することが出来ました。

演劇も配信を行う事によって、大赤字になるものが少し助かりました。
生のお客さんと対峙して作る演劇と言うものが、コロナという状況に巻き込まれた時に、大きな助けになったのが配信でした。それが一つ目です。

そしてもう一つは、コロナは関係なく、場所が遠かったり都合が合わなかったりして劇場に足を運ぶことが出来ない方、そういう方たちに我々の思いである「こういうことでチャリティーをしてます」ということを配信によって伝えることが出来るようになりました。
我々が必死になってやっているチャリティーの姿を多くの人に届けられるのは、配信に感謝ですね。

コロナの影響の副産物として『配信』というものがエンタメ界で一般的となり、遠方や都合で行けない方にも楽しんでもらえるツールになったのではないかと思います。
2020年の『Act Against Anything』では五朗さんが誰もいない日本武道館の客席からキックボードに乗って登場したり、WOWOWですが『星の大地に降る涙 THE MUSICAL』では、普段の公演では見られない画角での映像だったり、無観客配信だから出来ることにもチャレンジしていたと思うのですが、いかがですか?

岸谷)制限されてしまったことを逆手にとって良いものを作ろうってことは、もちろん企みましたね。

『星の大地』ではステージにカメラを置いたり、ステディカムで演者を追ったり、普段では出来ないことを、短い準備時間だったけど考えついて、配信だったから出来たことでした。
エンタメをなるべく面白いものにするため、逆手にとった作戦だったけど、それらは随所に必要だと思いますね。

だけど、やっぱり客席にお客さんが居てね、笑いたい時に大声で笑って、マスクをしていないお客さんの顔が僕らも見たいですけどね。

見る側も客席を満席にすることは出来ても、声を出したり笑ったりすることが憚られるので、もどかしいです

岸谷)日本のお客様は、ちゃんとルールを守ってくれるから我々は上演出来るし、みんな我慢してくれてるんだって思います。