Blue Print主宰JUNさんと作・演出の福島カツシゲさんに聞いた次回作『父親参観日』のこと<後編>

福島さんが劇団SETと関わるキッカケは?

福島)2005年に結成した猿王(サルキング)ですね。
<猿王メンバー:野崎数馬(元SET)、長谷川紀子(元SET)、西秋元喜、西海健二郎(現SET)、福島カツシゲ>

あれはもう長谷川紀子が天才なので、長谷川紀子ショーみたいな感じではあるんですけど。
野崎がやりたいって言って、初めてSETのプロデュースとしては外部の人間を使ってやるっていうものでした。

メンバーを見た時に健二郎も居たし個性が強いなって思いましたけど、ここはもう長谷川紀子がど真ん中にいるお芝居が面白いだろうなって言うのを感じましたね。
その時に稽古とか、仕込みとかやる時にSETの劇団員が手伝ってくれて、それこそ大関だったり大竹だったり手伝ってくれたりしていて、そこからやり取りをするようになりました。

ダンスのプロ集団と『父親参観日』との言葉が、あまりにもミスマッチな感じですが

福島)それが正しく狙いというかw
それまでに考えていたタイトルは色々とあったんですよ、「あっちむいてホイ」とか。
ちょっとカッコよく「あっちむいてホォ~イ」って英語で書くとかw

色々と話をしている時にメンバーから、ブルプリの面白さって言うのは「え?ここで踊るの?」とか、「このタイミングでくる?」っていうのが良いんですよねって言われて。

それでそこから一度全部捨ててひっくり返して考えたのが今回の「父親参観日」なんですよね。
 
 

BluePrintからオファーを受けた時の感想は?

福島)今回の話を受ける前にも、大関から何回か言ってもらっていたんですよ。
書いてもらえませんか?とか、演出してもらえませんか?って。
ただ、タイミングが合わなくて中々出来なくて。

ブルプリは身体能力が凄いっていうのはもうイメージとしてあったので、そこにお芝居としてセリフや会話ではなく身体で表現出来るようなものがあると、自分の発想的にも次の違う段階に行けるし、新しい武器みたいなものは出来るなって言う感じです。

ただ、全員ダンスが出来る人たちでしょ。
最初の顔合わせをする前は、なんか個性強くてワガママなんちゃうかなーっていう思いはありましたw
芝居の稽古をやってる時に、嫌な顔とかされたらどうしようとか思ったりしたこともありましたけど、みんなと初めて会った時に「これは楽しいもんが出来るな」って感じましたね。

『父親参観日』のチラシがだんだんシンプルになって、写っているものが無くなっていきましたね。
ブログを拝見すると、今年の頭から徐々に内容が変わっていったみたいな事が書かれていましたが

福島)内容自体は変わってないです。
ただ、最初に写真を撮った時に父親参観日だから教室の後ろに並んでる姿を撮りたいなって思ってまして、全員が集まって撮影出来る日がなかなか無いから、とりあえずどういう父親なのか決めないといけなかったんですね。
でも、本を書き進めると「こういう奴がいる方が良いな」とか「この役は突飛すぎるな」って言うので省いていったり変えていったりしたら最初の写真が成立しない訳ですよ、チラシ自体が。

第1弾WEBチラシ
福島)2つ目の黒板のやつは、オフショットで撮ったものなんですけど、黒板の写真に後から文字を入れて、一回ちょっとクールダウンしようと。
そこでもう一回考えてみるからって。
第2弾WEBチラシ
福島)そしていよいよチラシを作りましょうって時に、いくつか案は出たんですよね。
椅子は今回象徴的に使うので入れてあって「このシンプルなやつはどうですか?」ってまわりから言われたときに、
最初のビジュアルは使えないから「みんなが気に入ったもんであれば良いんじゃない」って感じで3つ目のやつに決まりました。
完成チラシ
福島)物語自体は多少変わっていますけど、3月末にプロット上げた時のやつからはほとんど変わっていないです。

福島さんの父親像ってどんなものですか?

福島)うちはちょっと家庭が複雑だったんで、小学校の時に新しいお父さんが来たんですよ。
それまで「お父さん」という人と接することが無かったから、突然現れた時は変な感じだったのは覚えてます。

大人になれば色んな家庭の形があるんだなって分かってくるんですけど、一番感じたのは「親父って悲しいな」って思ったんですよ。
お母さんと子供の関係って切れないんですよね、がっちり繋がって。
でも親父って小学校3年生位になると離れていくようにみえて。
男の子だったらまだしも、女の子だったらどんどん離れていくの色々見てると「あぁ親父ってこうやって萎んで死んでくねんな」ってなんか感じたんですよね。

今回の作品は、皆さんが思っている「父親参観日」とはガラッと変わると思います。
最初の10分で「あ!そういうこと」ってなると思います。
なので今、最初のパフォーマンスを入れてもらっていて、最初はみんなに笑ってもらおうと思ってて、徐々に「なるほど、お父さんって・・・」って感じてもらえるような作品になるんじゃないかな。

今は学校で「父親参観」って言わないですもんね。「保護者会」って。「父兄参観日」とかも言わないし。
小学校で話を聞いたら「お父さん、お母さん」って言わないらしいですもんね。
「保護者の方」って言い方するから。
それは家庭の形が色々と変わってきているからでしょうね。

JUNさんの「父親参観日」のイメージは?

JUN)息子の参観日に行きましたよ。
お父さんがいっぱい居たなー。すごい居た。
授業が面白かった。理科の授業だったかな。

話聞いてないやつも居るし、前の方はちゃんと聞いてるし、しゃべってるやつも居るし。
先生、大変だなーって思ったよ。

福島)それは何年生なの?

JUN)中学生

福島)中学!?中学生でしゃべったり話聞いてなかったりしてるの?参観日なのに?

JUN)参観日なのに。目立ちたいやつとか居て。

福島)へぇ~

ビジュアルの2つ目で「自習」ってありましたが、今回の作品で関係しているんですか?

福島)関係ないです!w
ビジュアルを変えていったって言うのは、舞台の宣伝って1ヵ月とか早いところだと2ヵ月前とかからやり始めるじゃないですか。
それよりはもっと長いスパンでワクワクしてもらいたいなって思っていて、チケットを手にした人が観に行くのを楽しみにちょっと頑張れるみたいなものが出来ればなって。
だからホームページでストーリーが変わったとか役者を一人変えるとか、極端な話ですけどそんなんも含めてワクワクしてもらえたらなっていうのが今回の変えていった感じなんですね。

ものすごくシンプルに「父親参観日」を捉えて、大体イメージ出来るじゃないですか。
でも、たぶん皆さんのイメージがガラッと変わるんですよ。
ガラッと変わるから、ほんとは稽古の風景とかも動画でちょっと見せるとか考えてたんですけど、なかなか出せるシーンが無いんですよね。
全部バレてしまうというか。

JUN)あー、そうだね。

福島)ですよね。
なので写真で撮る分にはいけるなって思うんで、今後HPも変えていこうかなって思ってるんですけど。

ビジュアルがどんどんシンプルになっていったので、逆にインパクトがありますね

福島)あはははは
普通なら逆ですよね。だんだんオープンになっていくのが普通で。
3月にここまで役が決まってるのかって感じで見てたら、どんどんシンプルになって、役居るの?ってなっちゃいますよねw

JUN)椅子だけじゃ何も分からないよね。

福島)大半の人はHPを見てビジュアルの移り変わりを知ってる訳では無いので、この椅子のチラシを見てイメージすることになると思うので。
そういう意味では、チラシだけを手にした人がどういう印象を持つのかなっていうのは、聞いてみたいなって思いますけどね。

小劇団の公演だったらよくあるチラシだと思うんですが、ダンスグループの舞台でこのチラシだと何をするんだろうって思うかもしれないですね

福島)ここに一人でも座っていればね、そしたらまた違うんでしょうけど。

メッセージ

福島)すごく時間を掛けて作り上げてきました。
イメージとして、BluePrintはダンスが踊れる人たちで身体能力も凄いです。
それをお芝居と融合させるというよりは、表現の方法が二つあって、
それぞれの表現方法でセリフだったり、まったく喋らず踊りだけだったり。
その両方でこの「父親参観日」っていうのが意外と良くできた物語になってるとは思うんです。

お父さんが居ようが居まいが、自分がお父さんであろうが無かろうが、何かしら感じてもらえる作品だろうなって。
現時点で、最初の10分が出来上がって「これ面白いな」「ずっと観てられるな」って感じられました。

JUN)ほのぼのするよね。

福島)そうですね。
ご覧になる方が最初の10分を観てダメだと思ったら、席を立ってくださいw
うそうそ!もうちょっと我慢して!

これからダンスのシーンを入れてブラッシュアップして出来上がっていきますが、きっとほのぼのなんですよ。
物語の根底になるのが「ほのぼの」なんですけど、それをダンスで表現することによって、さらに奥にある例えば「怒り」だったりとか「喜び」「悲しみ」が普通のセリフではないもので観てもらえるっていうのは、このブルプリの素敵なところだろうなとは思いますね。

JUN)両方でアプローチできるんですよね。芝居と踊りと。ちゃんと表現ができる。
両方ともうまく出せるから飽きないで観れると思います。

福島)JUNさんのひとり舞台はいつやったんでしたっけ?

JUN)50歳の時だから、1年半前だね。

福島)僕はその公演を観に行かせてもらいました。
「父親参観日」を作っている段階で、JUNさんはこういう役が良いなって考えていたんですが、JUNさんの公演を観てから大きく変わったんです。
JUNさんに請け負ってもらう、背負ってもらう部分が大きく変わったんですよ。

「父親参観日」の構想を書いた後に、JUNさんの公演を観たら「あ、大丈夫だ。この人にこの役をやってもらいたいな」ってすごい思いました。

JUN)この舞台を観てくれたらホントに楽しんでもらえると思うんですよ。
1回だまされたと思って観に来てほしいなっていうのは素直な意見で、ハマる人はハマってくれるかな。
一度観てほしいなってのはありますね。

新しい感覚を味わってもらえたらなって。

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