Act Against AIDS「THE VARIETY」に感謝!フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN代表 赤尾和美さんインタビュー<後編>

ActAgainstAIDS/Anthing, 三浦春馬, 寺脇康文, 岸谷五朗, 日本武道館

Act Against AIDS「THE VARIETY」チームの寄付金は、ラオ・フレンズ小児病院でどのように使われていますか?

支援いただいた当初は、まだ「ラオ・フレンズ小児病院」が出来ていませんでした。
Act Against AIDSの寄付金は、エイズに特化との事でしたが、現状としてまだ患者さんを診始めていなかったんですね。
また、ラオスの場合、HIV感染症になっている人の数はカンボジアと比べて多くは無かったんですね。
支援していただいた物もすべてHIV感染症の子供だけと言う訳ではありませんでした。
ですのでAAA運営事務局と相談しまして、ゆくゆくはHIVに感染している子供たちもこの病院に来るかもしれないと見越して、病院の「入院病棟」の建築費と病棟の中に設置するベットや備品の購入に充てさせてもらいました。
昨年は、村に行って患者さんを診るために移動する車の購入をしました。

これまでHIV感染症の子供たちの数は少なかったのですが、今年に入ってからすごく増えてきているんです。
そのため検査薬が足りなった分を補ったり、こちらから出向いていくための交通費だったり、患者さんが病院に通院してもらわないといけないのですが、お金が無くて出来なくなっていたりするのでそのための交通費ですとか、栄養状態のサポートのために使わせてもらっています。

最近になって「検査をしていないので感染をしたと分かっていない子供」「感染していなくてもいつ感染するか分からない子供」がたくさん居ることが分かってきました。
これまで何度もうちの病院に通院をしている大人でもHIVに感染しているかどうかという事を診ていなかったので、その時点の症状改善のために抗生物質を渡しただけで終わったりしていました。
現在「ラオ・フレンズ小児病院」が開院して2年が経ちますが、最初の1年はそんな状況でした。

院内のスタッフを教育することに力を入れることによって、いままで何度も通院していた人たちにも「あれ?これはおかしいぞ」と疑う事が出来るようになりまして、HIVに感染してたってことがポロポロと出てきました。
AAA運営事務局からは「スタッフの教育に関しても寄付金を使ってもらって構わない」と仰っていただきまして、それは私たちにとってとても大きなことでした。

私たち「フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダー」の最終目標は、2024年にラオ・フレンズ小児病院の運営をラオス政府に受け渡すことです。
それまでに質の高い心のこもったケアが提供できるように、スタッフを育成することがとても重要なことになります。

スタッフの教育が一番大事なことなのですが、これまでなかなかそこに支援が回ってくることがありませんでした。
ですので、AAA運営事務局から「スタッフ教育は重要である」と認めて頂いたことはとてもありがたいです。
教育することで、いままで見えてこなかったHIVに感染している子供たちが陽性だと分かったりしてきました。

ただ、陽性だと分かった後に患者が居なくなってしまう事がよくあるんですね。
カンボジアと比べてラオスの人たちは「事実を直面したくない」と思う人が多いようです。
ですが、家庭でフォローアップしたり、どこに住んでいるのか私たちが情報を得て患者を見つけに行くことが出来たりしています。
まだ「ラオ・フレンズ小児病院」が開院して2年なので、まだまだ途上ですけれども、色々と改善は出来てきています。
それはAct Against AIDS「THE VARIETY」チームの支援があったからこそですね。

Against AIDS「THE VARIETY」チームの支援は、スタッフの教育にも使われているんですね

スタッフの教育が一番重要だと思います。
お薬があってもお薬を出す側のスタッフが使えなきゃいけない。
また、お薬を提供した後に提供しっぱなしで良いのかと言ったら、そうではない。
実際に多くの所で、薬を提供してもきちんと飲まれていなかったりしています。
医療機器が備わっていても使われていなかったり。使わなければならないところでも使われていない。
そんなことが多々ありました。

寄付をする側にしてみれば、目に見えるもので例えば「テーブル」なんかの目に見える形のあるものになりがちです。
人材育成となると「何をもって育成となるか」ってなってしまうんです。
私たちにとっては「スタッフの教育」が一番重要なのですが、そこが一番お金が出ないところなんですね。
ですので「スタッフ教育にお金を使っていい」って言っていただけるのは、すごく助かります。

三浦春馬さんがラオ・フレンズ小児病院に来てくださって、「人を教育していくこと」「人材を育成していくこと」がとても重要だと認識していただいたので良かったかなと思います。

三浦春馬が今年10月にラオスの施設、ラオ・フレンズ小児病院に足を運んで、現地の状況を視察してきたと報告。
昨年の収益金で悪路も走行できる車を購入し、これまで訪問できなかった場所に向かうことが出来るようになり、1か月で30件程度の訪問数が購入した車によって3倍近い訪問数に増加できたと話した。
「現状は、主に海外のスタッフが病院運営をしている状態だが、僕たちが支援しているフレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーの目指しているところは、この10年で現地スタッフだけでこの病院を運営できるようにすること」「その目的のために、まだまだ人材育成を必要としている」と訴えた。

【AAA2016】岸谷五朗&岸谷香 初共演、三浦春馬&小池徹平 大熱唱、大黒摩季 総立ち「ら・ら・ら」より

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人材育成は時間が掛かりますし、途中で止められませんね

育成は途中で止められないのですが、私たちは区切りをしないといけないのでこの先ずっと育成支援することは出来ないんです。
次のステップでは「人の質の教育」、もうひとつは「自分たちで管理が出来るように自立をしていく」との視点でアプローチをしていくことになります。

2024年に「はい、さようなら」って私たちが居なくなった時に医療が出来ないとなってしまっては困るので、病院の運営も出来るようにしていきます。
あとは医療従事者とかノンメディカルの人たちであっても、あの病院の中で働くにふさわしい質を持つということですね。
この2つを自立のゴールとして目標を立てています。

Act Against AIDS「THE VARIETY」に関わった皆さまへ

本当に感謝をしています!
私も毎年日本武道館に行かせてもらっていますが、たぶん、現実的に日本武道館にいらっしゃる皆さんが、岸谷五朗さん寺脇康文さんからの「AAA報告」や、三浦春馬さんからラオスの報告を聞いていても、自分のチケット代がこの活動に一部になっているとの実感が無いかもしれません。

しかし私たち側からすると、日本武道館に集まっている皆さんが支えてくれているという実感がものすごくあるので、とても感謝しています。

イベントの中で行われている「AAA報告」は短い時間かもしれないですけど、それでもご報告することが毎年ありますので、それも「THE VARIETY」に関わる皆さんに感謝しています。

出演者の皆さんも日本武道館に足を運んでいただいた皆さんに伝えたいという気持ちを思っていただいているので、その点でも感謝しております。

Act Against AIDS「THE VARIETY」からの寄付金が無かったら出来なかったことがたくさんあります。
1円でもとても貴重です。
私たちが日本武道館で「ラオスで活動をします」と言ってもAct Against AIDS「THE VARIETY」からの寄付金が無かったら何も出来ていないんです。

皆さんが購入してくれたチケット1枚、というかチケットの隅っこ1mmぐらいでも、それが無いが故に命を落としてしまっている子供たちが居ますので、皆さんが購入してくれたチケット代がとても役立っていることを実感してほしいです。

ラオスの子供たちに成り代わりまして「ありがとう」と言いたいです。
ありがとうございます。

インタビューを終えて

終始にこやかに、時にキリッとした表情でお話されている姿が印象的でした。
インタビューを終えて雑談をしている時に、Act Against AIDSとの関わりを話していたところ、赤尾さんは昔からサザンオールスターズの桑田佳祐さんのファンで、桑田さんがAct Against AIDSの活動をしていることは知っており「まさか自分がそのAct Against AIDSと関わる事が出来るなんて」と驚いたそうです。
「これもきっと何かの縁ですね」と話されていました。

クラウドファンディング「難病の血液疾患・サラセミアと闘うラオスの子どもたちを救いたい」

フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPANでは現在、ラオスで遺伝性の血液疾患「サラセミア(地中海貧血)」という病気を抱える子どもたちへの支援のため、クラウドファンディングを行っています。
サラセミアは、予防が不可能かつラオスでは根治できない病気であるため、疾患を抱えている患者さんは一生治療し続ける必要があるそうです。
ラオスには、この疾患を持つ子どもたちがたくさんおり、サラセミアの子どもたちに不可欠な輸血の費用と、その輸血による鉄分過剰などの二次的問題を早期発見・治療するために必要な検査器械の購入資金として、300万円の支援を募っています。

今回挑戦するプロジェクトの外観図
(c)フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN

今回実施するプロジェクトについて

購入予定の検査器械

唯一の症状軽減方法である輸血も、繰り返すことにより過剰な鉄分蓄積が多臓器に発生し、命にも関わるような問題が体内に発生してしまいます。そのため、ただ輸血をし続けるのではなく、溜まってしまった鉄分を除去する治療も不可欠となります。

私たちはこの問題を解決するために、今回のプロジェクトでは、輸血にかかる費用を募るだけではなく、サラセミアを抱える子どもたちに、サラセミア治療によって蓄積した鉄分を除去する必要があるかどうかを検査するための器械を購入したいと考えています。

現在、ラオスでこの検査を行なうには、首都のビエンチャンの検査場へ血液を送らなければならず、その費用はサラセミアの家族の実費となっています。この検査は数か月ごとに繰り返さなければならないため、家族への負担はとても大きくなり、次第に治療へ来なくなってしまう人もいるのです。

今回、サラセミアの患者さんのための検査器械を購入できれば、患者さんの血液を私たちの病院でも測定することができます。そうすれば、蓄積した鉄分を除去する必要があるか判断できるようになり、子どもたちが長く生きていくことができるようになります。

クラウドファンディングページ:「難病の血液疾患・サラセミアと闘うラオスの子どもたちを救いたい」

Readyfor掲載ページより引用

フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダー とは

写真家の井津建郎さんが1996年にフレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーを設立し、世界中で6,000人を超す医療専門家、篤志家、芸術家、友人たちの支えにより、1999年にアンコール小児病院を開院。

井津さんは、フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーUSAの名誉会長であり、USAとJAPAN双方の理事会の理事を兼任。
2013年にアンコール小児病院は自立を迎え、現在はラオスに新プロジェクトを立ち上げ、ラオスの子どもたちのために情熱を注いでいる。

団体について

団体名:特定非営利活動法人 フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN
    (Friends Without A Border Japan)
設立年月:1996年6月1日
役員:代表 赤尾和美(看護師)
   副代表 井津建郎(写真家)
親善大使:ヨーヨー・マ氏(チェロ演奏者)

オフィシャルサイト:http://www.fwab.jp/
Twitter:@FriendsJapan
Facebook:@fwab.JAPAN

事業内容

アジアの恵まれない子どもたちの医療支援
・ラオスにおける小児医療支援
・カンボジアにおける小児医療支援
・その他 アジア地域に住む子どもたちの医療支援

関連LINKS

AAA(Act Against AIDS)運営事務局:https://www.actagainstaids.com/



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