黒澤明の名作を桐谷健太、高橋克典、佐々木希、髙嶋政宏で舞台化!演出に三池崇史、脚本に蓬莱竜太が担う!『醉いどれ天使』が9月より東京・大阪にて上演決定
黒澤明と三船敏郎の初タッグ作品
日本をはじめ世界中に大きな影響を与えた名匠・黒澤明と、その多くの作品で主演を務めた三船敏郎。
後に次々と傑作を生み出すことになる二人が初めてタッグを組んだ映画が「醉いどれ天使」。
この秋、日本映画史上最強コンビの原点ともいえる作品が、満を持して舞台に蘇る。
戦後の混沌とした時代に生きる人々の葛藤をいきいきと描いた映画「醉いどれ天使」は、黒澤明による力強く斬新な世界観と三船敏郎の荒々しくも繊細な演技が絶賛され、今なお名作として世界中で愛されている。映画史に燦然と輝くこの作品は、実は舞台化されるのは今回が初めてではない。
映画が公開された1948年4月から約半年後、ほぼ同じキャストとスタッフが集結し、舞台作品として上演されたという記録が残っている。
当時の映画界では、大規模な労働運動が起こり、多くのスタッフや俳優達が窮状に陥ってた。
彼らを救うために黒澤明を中心に劇団が編成され、全国巡業が催されたと言われている。
この時、上演作品に選ばれたのが「醉いどれ天使」だった。
近年、偶然にも三船プロダクションが長年眠っていた舞台台本を発見。
舞台台本からは、黒澤明が逆境をはねのけ、映画同様、舞台としても最高の作品を創り出そうとしたことが伝わってくる。
色あせることのない普遍性を持ち、今を生きる私たちにも強く訴えてくるメッセージ。
この黒澤明の想いを受け継ぎたいと舞台化へと動き出した。
今も傑作として語られる映画版と今や幻となった舞台版。
混沌とした現代に上演する意味を受け止め、それぞれの作品が持つ魅力を引き継ぎながら、2021年の舞台版、新生『醉いどれ天使』は誕生する。
『醉いどれ天使』が描くのは、闇市を支配する若いやくざ・松永と、酒好きで毒舌な貧乏医師・真田のぶつかり合い。
結核に侵されている松永を何とか生かそうとする真田。
自暴自棄に己を通そうとする松永。
映画で黒澤明は、松永を演じた三船敏郎の野獣のようなエネルギーに魅了されて、松永と志村喬演じる真田の対峙を物語の中心に据える変更を加えたそうだが、今回の舞台ではふたりのその熱量をさらに高めていく。
また、映画でも印象的なダンスシーンをはじめ、ライブならではのフィジカルでエネルギッシュな表現も満載。戦後の人々が命を燃やすように生きる姿を描き出す。
役にぴったりハマるキャスト陣
キャストにはこれ以上ない顔ぶれが揃った。
三船敏郎が演じた松永に挑むのは桐谷健太。
男臭くまっすぐなイメージが、松永にも三船敏郎にもすんなり重なる。
真田役には高橋克典。
歳を重ねて、なお醸し出すその天性の不良っぽさで、松永に対して対等にぶつかろうとする新しい真田像を生み出す。
松永と同郷で彼に思いを寄せるぎんを演じるのは佐々木希。
松永を見守る芯の強い女性を演じて、今作ならではとなるラブストーリーを盛り上げる。
そして、松永の兄貴分・岡田を演じるのは髙嶋政宏。
立ち姿だけで周囲を震え上がらせるような存在感で、より物語に厚みを与える。
演出に三池崇史、脚本に蓬莱竜太という新鮮な顔合わせ
演出にあたるのは、黒澤明同様海外での評価も高い三池崇史。
バイオレンスからコメディ、最近では特撮テレビドラマ「ガールズ×戦士シリーズ」まで、多岐にわたる映像制作を続けている三池は、『夜叉ヶ池』(2004年)、『座頭市』(2007年)、六本木歌舞伎シリーズと、舞台演出も手がけてきた。
黒澤映画の舞台化という挑戦にはまさにうってつけ。
三池独自の手腕が舞台の世界に新風を吹き込んでいく。
映画畑の三池に対し、脚本を手掛けるのは、演劇界のみならず映画脚本、映像作品にも活躍の場を広げている蓬莱竜太。
骨太な物語を生み出し人間を深く描き出すその力が、黒澤作品をさらに跳躍させていく。
あらすじ
ある夜、ピストルの傷の手当てを受けに、闇市の顔役の松永(桐谷健太)が真田(高橋克典)の元へやってくる。
真田は闇市の界隈に住む人々を診る町医者で、酒が好きで口は悪いが、心根は優しく一流の腕の持ち主。
顔色が悪く咳込む松永を一目見て肺病に侵されていると判断し治療を勧めるが、松永は言うことを聞かずに診療所を飛び出し、闇市の居酒屋で働く同郷の幼馴染ぎん(佐々木希)の元へと向かう。
戦後の混乱の中、松永の采配によって落ち着きを保っていた闇市だったが、松永の兄貴分の岡田(髙嶋政宏)が出所し、闇の世界の力関係に変化が起きていくのであった・・・
コメント&プロフィール
桐谷健太
醉いどれ天使、、、黒澤明監督と、新人で初主演だった三船敏郎さんの黄金タッグ。
東京に出てきて間もない頃、色んな人に目がギラついてるねと言われたあの頃、ひとりのおっちゃんに『お前の眼光は往年の三船敏郎みたいやな』と言われ、ちょっぴり嬉しく想ったことを覚えています。
そこから時も経ち、こうして三池監督とタッグを組めることを、嬉しく、本当にありがたく想います。
戦後の闇市で不器用ながらも情の深い漢たち。
この時代の漢を演じ、生きることは、とてつもないパワーとエネルギーが必要です。
無事に生きて帰れるか分からないですが(笑)、全力で入り込んでいきます。見届けていただけたら幸いです。
プロフィール
1980年2月4日生まれ 大阪府出身
2002年にドラマ「九龍で会いましょう」でデビュー。
07年「GROW 愚郎」で映画初主演し、08年のTBS系ドラマ「ROOKIES」で人気を博す。
以降、多岐にわたる映画・ドラマに出演し、野性味と繊細さを兼ね備えた演技で評価を得ている。
近年の主な出演作品にドラマは「きみが心に棲みついた」、連続テレビ小説「まんぷく」、「ケイジとケンジ~所轄と地検の24時~」、「俺の家の話」、映画は「火花」「ビジランテ」など。ミュージシャンとしても活躍し「第67回紅白歌合戦」に出場した。
舞台は09年『恋と革命』で舞台初主演をして以来となる。
高橋克典
4年ぶりに舞台に出演することとなり、嬉しさや怖さも含めて楽しみです。
そして日本映画史に残る黒澤明監督「醉いどれ天使」という作品の舞台に参加させて頂けることが光栄です。
今回演出の三池監督とは映画「サラリーマン金太郎」以来にご一緒させて頂けることも嬉しく、三池監督の世界観で“人間味の溢れる男たちの葛藤”をどう演じていくのか今後始まる稽古を楽しみに台本と向き合っています。
また桐谷健太君とはがっつりと共演したことがないので、こちらも楽しみであり一緒に素晴らしい作品を作り上げていきたいと思っております。
プロフィール
1964年12月15日生まれ 神奈川県出身
両親ともに音楽家で、小学生の頃はピアノとトランペットに親しんだ。
1993 年「抱きしめたい」で歌手デビュー。
その後、俳優としての活動も始め、 TBS ドラマ「サラリーマン金太郎」シリーズ、テレビ朝日「特命係長 只野仁」シリーズ、日本テレビ「課長島耕作」シリーズなど、主演ヒット作品を多数生み出す。
BSテレ東「ワタシが日本に住む理由」など、バラエティ番組の司会でも活躍する。
舞台の出演は『24番地の桜の園』(17年)、『十三人の刺客』(12年)などがある。
佐々木希
今回『醉いどれ天使』の舞台のお話を頂いた時は、本当に驚きました。
舞台の出演が約6年ぶりでしたので、正直怖さもあり悩みました。
ですが、台本を読ませていただき、人間の綺麗な部分だけを描いているのではなく、もがきや葛藤する姿など人間味溢れる人々の物語にとても引き込まれました。
それと同時に、この世界を三池さんがどのように演出してくださるのだろう…と考えると楽しみに変わり、自然と参加させていただきたいという気持ちが高まっていきました。
気さくながらも真っ直ぐに松永を支え寄り添う"ぎん"という女性が愛おしく、そんな女性を演じる事が今から楽しみで仕方ないです。
プロフィール
1988年2月8日生まれ 秋田県出身
2006年芸能界デビュー。
以降映画やドラマ、CM、雑誌など多岐に渡り活躍中。
現在、ワンマイルウェア「iNtimité(アンティミテ)」を手掛ける。
現在、KTV/CX「所JAPAN」にレギュラー出演中。
また最近は、TX ドラマ24「バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~」(21年)、EX「にじいろカルテ」(21年)などに出演。
2015年には『ブロッケンの妖怪』で舞台初出演をした。
髙嶋政宏
僕がもっとも敬愛する映画の神様のおふたり、黒澤監督と三船敏郎さん。
この世界を仰天させた空前絶後のゴールデンコンビの大進撃の始まりの記念すべき作品「醉いどれ天使」。
この作品の舞台化へのオファーを頂いた時、喜びのあまり、思わず家で叫んでしまったことは言うまでもありません。
僕が初めて観たのは高校生の頃。当時、VHSが擦り切れそうになるほど何度も何度も観ました。
あの衝撃はいまだに忘れません。その衝撃の作品の舞台化に出られるなんて!と今から興奮してはいますが、冷静に、そして、この興奮のエネルギーはそのままにお客さんが楽しんでもらえる舞台になるよう精進します。
プロフィール
1965年10月29日生まれ 東京都出身
1987 年に映画「トットチャンネル」で俳優デビューし、同作及び映画「BU・SU」で、第 11 回日本アカデミー賞新人俳優賞、第30回ブルーリボン賞新人賞、第61回キネマ旬報新人男優賞を受賞。
以降、映画・テレビ・舞台と幅広く活躍。
近年では個性的なキャラクターを活かし、バラエティ番組にも多数出演。
主な出演作にドラマ「裕さんの女房」(21年/NHKBSP)、「SUITS/スーツ2」(20年/CX)、映画「映像研には手を出すな!」「ぐらんぶる」(20年)、「キングダム」(19年)、【舞台】『プルガトリオ』(19年)、『俺の骨をあげる』(18年)、『クラウドナイン』(17年)などがある
脚本 蓬莱竜太
戦後の闇市に流れる『どこに向かうのか』という空気は、質は違えど今この時代に強く感じることがあります。
若くしてどう生きるのかという問題に直面した主人公のもがき苦しむ姿は、僕たちに向けられた応援歌ではないかと。
そう思って、新たな気持ちで執筆させてもらいました。
プロフィール
1976年1月7日生まれ 兵庫県出身
1999年に劇団モダンスイマーズ旗揚げに参加。
以降、全公演の作・演出を務める。
2019年の劇団公演『ビューティフルワールド』において第27回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞。
受賞歴としては、09年『まほろば』で第53回岸田國士戯曲賞、17年『母と惑星について、および自転する女たちの記録』で第20回鶴屋南北戯曲賞、19年『消えていくなら朝』で第6回ハヤカワ悲劇喜劇賞受賞。
近年の映画脚本に「劇場」(20年)。現在配信中の人形劇ムービー「しがらみ紋次郎~恋する荒野路編~」は初監督作品。
演出 三池崇史
冬の曇天。
わずかな雲の隙間から差し込む陽の暖かさに触れ、幸せを感じたことはありませんか?
「明日は晴れるかな」という小さな灯りが見えるだけで人の心は癒され、生きる喜びを感じる。
『醉いどれ天使』はそういう芝居です。
マスク越しの呼吸にも少し慣れてきた今、凍えた体と心を暖めに来て下さい。
劇場で小さな陽だまりを作ってお待ちしています。
プロフィール
1960年8月24日生まれ 大阪府出身
米国アカデミー会員。
横浜放送映画専門学院(元日本映画学校)で学び、井上梅次、野田幸男、恩地日出夫、今村昌平らの作品に演出部として参加。
1995年には『新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争』で劇場映画監督デビュー。
以降バイオレンス、アクション、ホラー、時代劇、ハードボイルド、SF、人気アニメ・コミック原作など多岐にわたるジャンルで刺激的な作品を世に送り続けている。
海外からも高い評価を受けており、『IZO』(04)、『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(07)、『十三人の刺客』(10)がヴェネツィア国際映画祭、『一命』(11)、『藁の楯 わらのたて』(13)、『無限の住人』(17)、『初恋』(19)がカンヌ国際映画祭に出品されるなど、世界で一段と高い作家的評価を受けている。
舞台演出も手がけており『夜叉ヶ池』『座頭市』『六本木歌舞伎』シリーズなどがある。
『醉いどれ天使』
原作
黒澤明 植草圭之助
脚本
蓬莱竜太
演出
三池崇史
出演
桐谷健太 高橋克典 佐々木希 髙嶋政宏
東京公演
2021年9月3日(金)~20日(月祝)/明治座
大阪公演
2021年10月1日(金)~11日(月)/新歌舞伎座