<地球ゴージャス旗揚げ25周年記念インタビュー>第2部「反戦三部作について」

岸谷五朗・寺脇康文 インタビュー第2部「反戦三部作について」

反戦三部作の1作目は、2004年のVol.7『クラウディア』を上演し、2005年5月の10周年記念アンコール公演を行う。
2作目は2009年のVol.10『星の大地に降る涙』を上演し、今回の二十五周年祝祭公演として再演します。
前回も10周年記念で『クラウディア』を再演されましたが、記念公演に再演、それも「反戦三部作」を扱う意味を教えてください。

岸谷)『星の大地に降る涙』って、俺の作品群の中では唯一「1868年」って年を限定をしているしてるんだ。

大政奉還が行われ、日本が大きく変わっていった時代の一瞬の話で、その日本の大きな流れの中でひとつの部族が消えていく話で、今のアメリカの移民政策とか世界中でまだまだいっぱいある他の文化を認めないものとか、そんなことと『星の大地』がリンクしているなと思って選んだのが理由なんだけど、テーマが今でもまったく古くなってないんだよね。

タバラ族の文化が魅力的あればあるほど、そこでどんどん滅亡していくことに対して、みんなが反戦の気持ちを紡ぐ。
迫害していくものに対して怒りをもつ。
だから、前回公演した時よりも今の方がテーマは合っているのかなって。
そういう意味でも、この作品を選んだんだけどね。

EXILEの「愛すべき未来へ」っていう主題歌も、まさに子供たちのために我々はいま考えなければいけないことだぞって思うと、今のテーマだよね。

あの頃なんて、日本と韓国がこんな関係になっているなんて思ってもなかったもんね。

反戦をテーマにエンターテイメントで観客に訴えるものとは、どんなものなのでしょうか?

岸谷)俺にはたぶん、いつもあるんだよね。
いつ壊れてしまうかもしれない平和に対する怯えみたいなものが。
だから、ちょっと注意したいのかもしれない。

Vol.14『The Love Bugs』で寺ちゃんが演じた「おじさん」って役で、おじさんがシルバーっていう特殊な虫が生まれたことに対してB29を思い浮かべる歌があるんだけど、あれが実は好きで。
虫を模してるけど、最新兵器なわけじゃない。

それは人間のエゴから生まれたもので、それをおじさんから見たら、あの関東大空襲だったり広島長崎の原爆に見えてしまう。
だから、俺の中にどこかどの作品にもあると思うんだけど、でも全面的な部族の絶望みたいなものでいうと、星の大地はジャストなテーマなんだよね。

五朗さんの中で「反戦三部作」のラストの構想はお持ちなのでしょうか?

岸谷)まだ何もないね。
記念公演って「記念」という力を持つからその時になるかもね。