河西智美「いい意味で裏切っていきたい」、花奈澪「本性を出しやすいのかもしれない」、女優のみ公演Super Eccentric Girls『華~女達よ、散り際までも美しく~』ロングインタビュー
2019年、創立40周年を迎える劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)が40年間の歴史の中で初の試みとして”女性だけ”の「ミュージカル・アクション・コメディー」を上演!
SETの女優陣に加え、ミュージカルなどで活躍する河西智美が“主演”として出演!
人気急上昇中の「夢みるアドレセンス」の小林れい、「音楽劇ヨルハ」でも人気を博した元宝塚歌劇団花組、娘役の花奈澪もあわせて出演決定!
そしてGirls Hip Hopの先駆者MIHO BROWN(RedPrint)、遊助など数々の著名アーティストのダンサーを務めるKie(RedPrint)ら豪華ゲストを迎える。
その中から、今回は河西智美さん、花奈澪さん、MIHO BROWNさん、劇団SETから安川里奈さん、そして総合プロデューサー兼演出の大関真さんにインタビューを行い、これまでの経験談やこの公演について、大いに語っていただいた。
出演者ロングインタビュー(前編)
総合プロデューサー・演出:大関真さん
―今回はじめて女性だけのSET公演を行う事になった経緯を教えてください
大関)これまでずっと「ミュージカル・アクション・コメディー」をやってきて、SETはどちらかと言うと男性の劇団と言われることが多く、これまで岸谷五朗や寺脇康文を輩出し、トップには三宅裕司と小倉久寛がいるんですけれども、男性が主役を務めていくことが非常に多かったです。
私自身、本公演を外から観ることが増えた時に、SETの女優陣に華を感じたんですね。
この女優陣だけで「ミュージカル・アクション・コメディー」を作ったら非常に面白いものが作れるんじゃないかなというところからスタートした企画です。
―2016年の本公演『土九六(どくろ)村へようこそ』 のカーテンコールで、三宅さんは「劇団の若返りをしていく」と話していた通り、2017年の本公演「カジノ・シティをぶっとばせ」の囲み会見で「今回は若手を多く出して、劇団の世代交代公演みたいにしていてる」と話しており、今回のSuper Eccentric Girlsが、ひとつの形として具現化した感じでしょうか?
大関)三宅からの指示があった訳ではありませんが、劇団は来年40周年を迎えてそれ以降存続していく為に、劇団を支えていける役者を育てなければいけないというのは大きくあるので、そこで若手の女優たちが将来に向けて活躍していくための第一歩になれば良いかなと思います。
―大関さんの主観で構いませんので、今日のインタビューメンバーをご紹介いただけますか
大関)アイドル代表の河西智美さんです。
これまで色んな経験をされてきています。
河西さんは、アイドル的な要素だったり、歌、踊り、そういう物を併せ持った華なんです。
舞台だけが本流ということではない世界で活躍されてきた方に、SETという、いわゆる演劇畑の所に飛び込んでいただき、今回は真ん中に立っていただいて、僕らでは無しえないパフォーマンスを見せていただきたいなと思っています。
花奈澪さんです。
元宝塚の娘役なので、僕はとても女性らしい方を想像してオファーしたんですけれど、さっきから話しを聞いていると割と男っぽいところもあるのかなと感じてきました。
ただそれが逆に面白くて、ビジュアルとして清楚な雰囲気の中に、強い芯を持っているのはとても魅力があります。
花奈さんとは僕が以前、別の舞台のオーディションでお会いしてるんですね。
僕が演出した舞台にオーディションで来ていただいて、その時はたまたま役柄と合わないところがあったので、ご一緒出来なかったんですけれども、その時の印象が残っていて、いつかご一緒したいなって思っていたので、今からとても楽しみです。
RedPrintのMIHO BROWNさんです。
この方は、言わずと知れたダンス界の大御所と言いますか、ずっとガールズヒップホップというジャンルをけん引されてきた方で、大ベテランなんです。
そういう方が新人と変わらない必死さ、一生懸命さで演じてくれるって言う事は、非常に魅力があると思います。
若手と一緒になって身体を動かし、声を出し、パフォーマンスをしてくれる。
そういう部分で、うちの劇団員には無い華というものを是非見せて頂きたいなと思ってオファーしました。
以上でございます。
安川)ちょちょちょ、ちょっと待ってください!紹介してもらえるのを楽しみにしてたんですけど。
大関)うちの劇団員の安川里奈です。
僕は彼女に期待してるんですよ!
事務所の社長としてもそうですし、演出家としてもそうなんですけれど、歌も歌えますし、心情の部分からしっかりお芝居をするので、そういったところで演技の本質というものをキチンと捉えつつ、「ミュージカル・アクション・コメディー」というものを彼女が引っ張ってくれたら良いなと思っています。
河西智美さん
―3月主演ミュージカル「サイト」のご出演お疲れ様でした。
つい先日、千秋楽を迎えられましたが、いかがでしたでしょうか?
河西)ミュージカル座さんの作品は3作目の出演になり、顔見知りの方も増えていたので、楽しく出来たし、リラックスして出来ました。
作品を通して、たくさん励まされました。
ラスト、カーテンコールでスタンディングオベーションを頂けて、本当に嬉しくて、すべて報われたような気持ちになりました。
―主演のお話を頂いた時は、どんな感想をお持ちでしたか?
河西)まだ本当に全てが分からなくて未知なので、ドキドキします。
でも、いままでやってきたことのないジャンルへの挑戦が出来るチャンスをいただけたので、まずは全力で頑張りたいです。
花奈澪さん
―SETのコンセプト「ミュージカル・アクション・コメディー」がありますが、得意なものと、苦手なものを教えてください
花奈)宝塚もミュージカルをやる劇団なので、ひと通りはやってきてはいるんですけど、宝塚を辞めてから実際にミュージカルと銘打ってやってる舞台ってそんなに出てないんです。
ミュージカルを作ることは、とても大変なことですし、自分が宝塚を辞めた後も舞台をたくさんやってきましたが、ミュージカルは久しぶりっていうのものありますし・・・
大関)ちょっと待って!(ミュージカルは)銘打ってない!
一回忘れてもらっていいかな。
コンセプトね!
(ミュージカルと)銘打つのは怖い、ドキドキしてきちゃたよ。
花奈)(笑い)コンセプトとしてミュージカルがあり、コメディーがありっていうので、自分がやったことがないジャンルだと思いますし、これまでストレート作品が多かったのもあるので、どういう風にミュージカル要素がコメディーとアクションと掛け合わさっていくのかがすごく楽しみです。
大関)ゴメンゴメン。俺、怖くなってきちゃって。
そんなミュージカルじゃないなって(笑)
花奈)よくあるアイドルさん舞台だと、オープニングとかエンディングでテーマソングをみんなで歌うのはあると思うんですけど、やっぱり役の心情とかを、役としてダンスだったり、歌だったりってなっていくのがミュージカルの要素のひとつだと思うし、自分はそういう作品が好きなので巡り合えて楽しみです。
―劇団員の安川さんから、SETの「ミュージカル・アクション・コメディー」ってこう言うものですって説明してもらえますか?
安川)(ミュージカルと言っても)ちょっと特殊なんですよ。
心情で歌い出すというよりは、ショー的な要素の中に盛り込まれてる感じです。
今回は心情から歌や踊りに入っていくっていうのがやりたかったことなので、すごく楽しみです。
本気で歌って、それが結局お笑いになるんですよ!
それが出来るって事ですよね?(と、大関に振る)
大関)そーだねー(上の空)
全員)(爆笑)
花奈)楽しみです!
安川)(花奈に向けて)素晴らしい歌声がお笑いになるんですよ。
―花奈さんが3/6に書かれたブログにて、「例えばこの前つまらなかったなと思った舞台(あくまで私主観の感想の話で批判しているわけではない)はチケット代が8000円だったわけだけれど(中略)自分への改めて戒めの書きなぐりです。」と書かれていました。
なかなかご自身でハードルを上げたのではないかと思うのですが、今回の作品ではどのような思いがありますか?
花奈)本当に舞台って歴史ある劇団さんだったりとか、いろんな人を集めてのプロデュース公演だったりとか、多種多様な舞台興行がある中で、今回はSETさんという伝統ある劇団さんの持つエネルギーや素晴らしさがあると思うので、そこに参加させて頂くことが凄く楽しみだし、光栄なことだと思います。
劇団員さんに負けないパッションを持って挑みたいと思います。
私のファンで来ていただく方には、客演する立場の時はその団体の素晴らしさを、今回はSETさんの素晴らしさを伝えたいと思うので、必ずどちらも橋渡しが出来るように挑みたいと思います。
MIO HANANA Official Blog「3/6 定期的脳内価値観論争」
MIHO BROWNさん
―これまでRed Printなどで芝居をされていますが、ダンスとの違いはありますか?
MIHO)やはり言葉を発するので、まず発声とかが必要ですし、でも手段を身に付ければ、あとはダンスと変わらないですね。
ダンスも踊るだけではなくて、いろんな聞いた音のFLOWを取ったりとか、リズムを刻んだりとか、そこで流れる気持ちは沢山あって、それを表現しています。
言葉の翼によって、自分の中の物が出せるというか、そういった意味では手段が違うだけで、表現するもの、感じた物を表に出すというのは一緒なのかな。
でもお芝居の魅力は、ダンスだけでは出せない細かい部分であるとか、自分の取り出す部分が違う所なので、そこに挑戦できる楽しさはありますね。
大関さんと出会ってからは、たくさんのいろんな翼を付けていただきました。
―今回のゲストの中ではRed PrintのMIHO BROWNさんとKieさんだけが大関さんの演出を受けていますが、大関さんの演出をどのように受け止めていますか?
MIHO)いやーほんとにエキサイティングですね!
ワクワクドキドキです。
あとはすごく自分が好きになりますね。「こういう自分、ちょっとやってみよう」って、「出してみよう」って。
それで良かったら拾ってくださるんです。
そうしたらさらに新しい課題を頂いて、「お!こんな自分にも挑戦してみるか」みたいな新しい自分に出会っていけるし、自分の中で一生懸命生きてきたワールドを大関さんの前だったら全てを出せるし、出してみて「どうですか?」って伺ってみたり。
大関さんも「それいいね!」ってなったり、「こういうのはどう?」って、どんどん発展していくんです。
だから新しい人生をお稽古の中から生きていけるし、お客さんの前で"新しい自分"も、"自信を持ってきた自分"も全てお客さんに出せるワクワクさがあります。
とにかく、規格外です。
全員)(笑い)
MIHO)でもこれが本当の姿なのかもしれないですね、人間本来の。
私、お笑いも大好きですし、ダンスだけではなくてミュージカルも大好きで、一度、宮本亜門さんの演出で「ウィズ」に出させていただいて、その時も奇才なダンサーがみんな集まって楽しくファミリーみたいにやってきたのですが、今回も普段お会い出来ないような素晴らしい方たちと時間を共に出来るので、ワイワイ楽しくいろんな人生をぶつかり合いながらやっていけたらなと思います。
安川里奈 さん
―今回の公演が女性だけの舞台になると聞いた時の感想を教えてください
安川)前々から「やるよ」みたいなことは聞いていたんですけど、決まった時は「きた!」ってなりました。
でも最初は嬉しかったんですけど、だんだん不安になりましたね。
それは、男子の劇団員がアクションなど、頑張ってやってる人たちが本当に凄いと思っているからです。
ヘトヘトな状態で高い所から飛び降りたり、またすぐに駆け上がったり、彼らは死と隣り合わせなんじゃないかって思いながらいつも見ていたので、今度は自分たちが挑戦するのかって・・・。
それが今回の課題ですし、頑張ったらスゴイ作品になると思っています。
いつも劇団員全員でやっている「ミュージカル・アクション・コメディー」を女子だけでやるので、新しいジャンルが生まれるんじゃないかって気もしてて。
カワイイ、キレイだけじゃなくて、観ている人に色んな魅力を見せていきたいですし、「カッコいいな」って思ってもらえたら嬉しいです。
―安川さんが外部公演に出演して新たな方と一緒に作るのではなく、今回はSETの中に多くのゲストをお招きして作り上げるのはこれまで中々無かったのではないかと思うのですが、いかがですか?
安川)まず、チラシを見てゲストさんが「うわっ、めっちゃキレイ、めっちゃカワイイ」と思って(笑)
劇団に居るとどうしても身内になってしまって、あまり気を使わなくなってしまうんですけど、劇団員の前に「女優だ」って思うようにしないといけないと思いましたね。
ゲストの皆さんは華があるので、そこをまず見て、学ぶというのがあります。
そして、歌やパフォーマンス、魅せ方など、違う物を持っていると思うので、SETの今あるものじゃないものを何とか吸収して、4月の舞台が始まるまでには身に付けていたいと思います。