気象会社が「天気じゃないイベント」を開催し、全国から人が集まるその理由⑥-ウェザーニュース「大感謝祭」レポート

インタビュー, ウェザーニュース, ソライブ, 品川, 村田泰謁(村P)

【特別付録】総合演出:村田泰謁氏(村P)独占ロングインタビュー

「ソライブ大感謝祭」開演前の忙しい時間にも関わらずSOLiVE24で見かけるいつもの様子で、ロングインタビューにご対応いただきました。

ソラトモ年末2大イベント「ソライブ大感謝祭2016」「ゴメンゴメンCLUB LIVE 今年も本当にごめんなさいSP」を開催した理由は?

一昨年「ソラトモパーティー」と言うイベントを季節ごとに年5回(ウェザーニュースでは、季節を「春」「梅雨」「夏」「秋」「冬」としている)、ソラウタを歌手の方と全国ツアーに回ったりしたイベントをやり、そこで応援してくれるファンの方の顔が見えてきたので、イベントを大きくして「そら博(※1)」をやってみました。

そら博では、意外にも半分はウェザーニュースをよく知らない一般の方が参加されてビックリしまして、これはまだまだウェザーニュースを知らない方々にアプローチするキッカケになるのではないかと思ったのですが、会社のリソースには有限なので最近は「そら博」を実験的に3年やってきました。

今年のそら博では、トータル来場者数が3万2千人をも来ていただくイベントになり、その「そら博」を支えてくれるのは、これまでパーティーに参加してくれたファンの方々がボランティアで会場設営や来場者の対応などを行っていただいて、あの方々が居なかったら本当に運営が出来ないんですよ。全然。
なんとか混乱しながらですが開催出来て、僕らもサポーターの方々と一緒に成長出来て、あのような大きいイベントが出来るようになりました。

そら博が開催出来た時に「じゃあ、ずーっとそういう風にやっていくんですか?」っていう路線もひとつあるかと思いますが、1回またその参加してくれた人たちと一緒にお祭り騒ぎをしたいなと思って、そこで中々マス向けのイベントでは内輪受けのネタがやりずらくなってきているのもあって、だったらまったく気にしないホントにいつも「SOLiVE24」っていう番組を見てくださっている方たち、チャットに参加くれたり、リポートを送ってくれたりっていう方たち向けの、もう知らない人は居ないって言う状態で皆さんの満足度を上げると言ったらおこがましくなりますが、僕らも楽しみたいと思ってるんですよ。そういう方々の反応を見るのがすごく楽しいので。何か一緒にやりたいなって言うのが今回のイベントで、だから社員もそういうモチベーションだったんですよ。
うちの運営スタッフもみんなマス向けのイベントはあれだけで出来た、ホントにサポーターのみんなには感謝をしてもしきれないくらいやってもらって、だったらそれを恩返ししたいなっていう思いで今回開催しようと。

収益的には全然、ぜんっぜん大赤字なんですけど「それでもやっぱりやろうよ」と会社に掛け合って今回漕ぎつけました。
今回東京会場はホールも大きいのでやる方はビビってたりするんですけど、こういう風にたくさんの方たちが金曜日なのに駆けつけてくれるのがすごいなと思って。

でもそういうところしっかりと見て、だからこれからはバランスですよね。
マスっていう一般の僕らを知らないっていう人たちへのアプローチと、しっかりと僕たちを支えてくれる「コア」の、そのバランスを取りながらコミュニティーを成長させていきたいって言うのが今回開催に至った動機というかキッカケでしたね。

※1:そら博とは
「そらが好きな人~大集合!世界最大お天気コミュニティー【そら博】SORA EXPO」
第1回:2014年12月23日(火・祝)10:00~20:00  場所:幕張メッセ ホール8
第2回:2015年8月1~2日(土~日)10:00~18:00  場所:幕張メッセ ホール9
第3回:2016年8月5〜7日(金~日)10:00~17:00  場所:幕張メッセ ホール5 [ママキッズフェスタ/住まいフェスタ in MAKUHARI共催]

「LINE LIVE」や「youtube LIVE」など新しく増えたプラットフォームの視聴者からしたら、SOLiVE24のファン向けイベントは初めてですよね?

imgp1492あー、そうですよね。
ソラボタン(※2)っていうアンケートをとっても、ここ1年くらいの方が非常に多くて、実際にこれまでBS910で放送をしていた頃を含めた視聴数比べると今は10倍から災害時には20倍とか30倍のアクセスに増えてるんですね。
たくさんのプラットフォーム展開をしてきたのでたくさん見る機会が増えて「SOLiVE24」って番組自体は、もしかしたらもう少し公共性のある番組に少しずつバランスを取っていくのかもしれないなって思ってるんですけど、それをやりながら、でもそっちばっかりやるとまたユーザーとかサポーターの方って物足りなくなってくるものなので、だから両極端のものをやっているのが心地いいのかなって思いますね。

※2:ソラボタンとは
テレビのリモコンにある4色のボタンを使って出来るアンケートシステム。ソラマドやスマートフォンアプリ「ソラをライブ」、WEBからも投票が可能。

年末イベントとしては、始めて東京と大阪の2か所で開催することになった経緯は?

プロジェクトicon(※3)で、全国47都道府県回った時にもう地方は熱いんですよね!
もう地方って呼び方は良くないですよね。もうエリア。天気はエリアなんですよ。
エリアがすごく大事で、そこに住んでいる人たちと直接話を出来る機会をもらえて感じることが多かったです。すごく多かったですね。
そこで、本来であれば47都道府県でこう言うことが出来たら良いんですけど、まだ会社的に体力が無いので出来る範囲でやろうと。
これまでの年末パーティーは東京のみだったが今年は頑張って大阪もやろうよって決断に至りました。

でも来年になったら各地に出向いて「天気の話が出来る場」を作っていきたいなって思っています。

※3:プロジェクトiconとは
■天気を報告するから編集するへ■
従来の天気アイコンの編集に「あなた自身」が参加するという取り組みです。目指すのは「みんなで作る天気予報」の加速です。
ウェザーニュースがサポーターと一緒に行いたいのは、天気予報をもっと開かれたものにし、より良いサービスにしていくことです。気象の専門家が作ったものだけじゃなく、それにみんなの体感や経験知を補完して、情報の精度を上げ、日々の暮らしを豊かに過ごし、いざという時の減災にもつなげていきたいと考えています。

開催前ではありますが、イベントについての意気込みをお願いします

今回のイベントはとにかく楽しんでもらいたいって思うんです。

天気は災害などを扱うものなので、公共性ってどうしても必要だと思うんですよね。
そういうメッセージあるもので、人の命を救えるものと思っているので、そういったものもありながら今回のイベントみたいな仲間たちでバカ騒ぎするみたいなものもありながら、そういう両面ですね。

僕らの世界では「M1」「M2」「M3」っていうスケールを付けて表現をしているんですけど(※4)、M3の時はM3をしっかりとやろうよと、M1の時は心から楽しもうよって言うメリハリが僕らもそうだしサポーターの中でも成長してくるんですよね。
リテラシーが高くなるって言うことだと思うんですけど。

そういうコミュニティーの接しあい方がゆっくりでも良いから出来ているともっともっと成長出来るのかって思います。
だから今日は思いっきり楽しんでもらいたいなって思います。

※4:Mスケールとは
番組では台風や大雪、地震が発生した際など緊急時に応じて体制を3段階に分けている。
これをウェザニュースでは「Mスケール(Mitigation=減災)」で表し、番組内の帯の色が変化する。
M1:(青)通常レベル
M2:(黄)生活に影響が出るレベル
M3:(赤)人命や財産に影響が出るレベル
Mスケールが上がると、気象予報士による天気解説の時間が多くなったり、気象予報士が常駐している「予報センター」からの放送になったりする。

番組でよく言う「ダイナミックレンジ」ってやつですね?

(笑)
そうです、ダイナミックレンジです!

最後に。
ウェザーニュースをほとんど知らない方に向けたメッセージをお願いします

あの、ものすごくよくその事を考えるんですよ、その事を。
うちを知らない人ってどういう事を考えていて、どう言う時に天気予報を使うのかって。
新しいプラットフォームとか情報を出した瞬間はまったく知らない人たちの声とかもダイレクトに届いてそういうものを見ながら考えてるんですけど。

やっぱり天気が当たったハズレたって言うのが一般的なんですよね。それが重要なんですよね。
こう言う会社がこういう事をやっているって言うのは、実際はそんなにメッセージとして響かないですよね。
僕らサポーターの力で天気作ってますって言ってもなかなか浸透しないですよね。
まあ、ホントに当たるの当たらないの?晴れるの?雨降るの?って極端的でライトなユーザーが多いので、でもただその中で「空が嫌い」っていう人は聞いたことが無いんですね。
季節も好き嫌いっていうのはあるかもしれないけど、日本は四季っていう季節によって豊かな生活みたいなものがあって。
少なからずみんな感じてると思うんですよね、春になって桜であんなに盛り上がれるのは日本人の特徴だと思うので。
そういう文化があるので少しずつでも浸透していくと良いなと思って、でもただそれは続けていかなければダメだと思って、メッセージを出し続けるって。
だから僕らを知らない方にはとにかく当たる天気予報を提供し続けることだと思うんですよ。
「あそこ当たるよね」って思ってもらって、先に「あ、こういう取り組みをしてるんだって」って言うのを理解してもらえるのかなって。
だからなかなか僕らの考えだけを押し付けようと思ってもちょっと難しいなって思いますね。

そして、SOLiVE24を見ているコアなサポーターの方に向けたメッセージをお願いします

imgp1488いや、コアな方にはもう、そうですね。
あの、もう「大好きです!」ってしか言えないですよね。はい。
僕自身、みんなのことが好きでホントに友達感覚で正直に思っているので、なんか号令掛けたら反応してくれるって言うのは簡単なことじゃないと思うんですよ。
皆さん生活がある中で、自分の時間を削って自分のお金を削って参加してきてくれる。
今日も京都から来るって言ってた方、沖縄から来るって言ってた方、九州から来るって言ってた方たくさんいるんですよね。
ほんとにそういう風に来てくれるっていうのを大切にしたいなって思います。

全員の言うことを聞くことは出来ないんですよ。
サービスとして成立させたりビジネスとしてやっていくっていう上ではなかなか難しいんですけど、でもなるべく多くの方に満足してもらえるような事は誠心誠意やろうかなって思っています。

なのであの、ウェザーニュースはあの人たちの事を裏切らないと思うんですよ。うん。
ホントに信じてるし。

でも色々あって、ウェザーニュースから離れてしまう人ももちろん居るんですけど、でもどっかでまた戻ってくるって言うかクロスみたいなタイミングはあると思って。
どうしても「最近見てないです」って言うのもしょうがないかなと思っているので、また大雨降ったり台風来たりとかの時に見てもらえたらなって思ってます。

これからも大切にしていきたいと思います。

今日はお忙しい中ありがとうございました。

いえいえとんでもないです。ありがとうございました。
これはネタになりそうですか?(笑)

参加して明らかになった「ウェザーニュースの思い、サポーターの思いとは」

今回イベントの取材を申し込んだ際、担当いただいた広報の須田さんから「このイベントで伝わるものはあるでしょうか?」と質問された。
ウェザーニュースの記事として扱ってもらいたい内容が今回のイベントの要素に含まれていないと思われていたのかもしれない。
インタビューで答えていただいた村田さんも「こう言う会社がこういう事をやっているって言うのは、実際はそんなにメッセージとして響かないですよね」と言った。
会場で社員さんと話をした時も「大丈夫ですかね?」と心配された。
森田さんからは「こんなくだらないイベントの記事を掲載したジャラスがうしろ指さされますよ」と微笑みながら話してくれた。

このイベントに参加したサポーターの一人ひとりが「ウェザーニュースの思い」を受け取り、理解している。共感している。私はそう思います。
そして、このイベントに参加出来なかったサポーターの方々も同じだと思う。

「自分のほんの少しの行動」が誰かのためになる。もしかしたら命を救うことも出来る。

そんなに重く感じながら参加している方は少ないかもしれないが、行動する気持ちのどこかで「役にたちたい」と言った気持ちがあるのではないか。

台風や大雪になると、報告数が平時の20倍から50倍になることが良くある。
穏やかな天気の時、困ることはほとんどない。故に報告しなくても大丈夫とどこか安心しているのだろう。
だが有事になると一変し、いまの状況を報告するサポーターの数が一気に増える。
それが証拠だ。

サポーターが率先して撤収作業を手伝っている
スタッフと一緒にサポーターが撤収作業を手伝っている

インタビューの中で「そら博は、ウェザーニュースファンの方々がボランティアで会場設営や来場者の対応などを行っていただいて、あの方々が居なかったら本当に運営が出来ない」と語っている。
今回のイベントは終了時間が予定より大幅に押してしまった。
イベント終了と共にどこからともなく「撤収手伝いますよ」「またやっちゃいましょうよ!」とあちこちからサポーターの声が聞こえてきた。
そしてすぐに行動に移す。椅子を運び、機材を片付ける。会場全体で社員スタッフの誰かが号令をかけた訳でもなく、みな率先して動いている。
なんなら、撤収作業をもイベントの一つとして楽しんでいる様子も伺えた。

これはきっと日ごろの天気を報告している行動と同じで、「自分のほんの少しの行動」が役に立てればと思っていからではないだろうか。

今年の「そら博」トータル来場者数が3万2千人、番組視聴数は以前と比べ通常で10倍に、災害時には20倍~30倍にアクセスが増えている。
ウェザニュースが伝えたい事がきちんと伝わっているからこその数字だろう。

コーポレートサイトに掲載されている草開社長のメッセージで、
【「いざというときに人の役に立ちたい」を合い言葉に】
とあるが、番組などで「みんなの役に立つので報告してください」などと言った訴えは聞いたことがない。
既存サポーターはもちろん、新しくサポーターになった人たちの中でも自然に芽生えている。

そう思わるもの、突き動かせるのは何故だろう。
それはみんなに平等な「ソラ」だったからかもしれない。
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2ページ:これがスゴイ!24時間365日生放送し続けるお天気番組「SOLiVE24」

3ページ:ソライブ大感謝祭〜東京ソライブランド〜ブース紹介

4ページ:シンガーソングライター見田村千晴、シェアーのライブ披露、そして伝説のゴメンゴメンCLUBへ

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6ページ:【特別付録】総合演出:村田泰謁氏(村P)独占ロングインタビュー