<地球ゴージャス旗揚げ25周年記念インタビュー>観客動員100万人突破&800回を超える公演数も「別に数字に思い入れはない。800通りの芝居をやって800回みんなに楽しんでもらったっていうことかな」次作『星の大地に降る涙 THE MUSICAL』についても熱く語る

地球ゴージャスとは岸谷五朗と寺脇康文による演劇ユニット。

1994年結成。
“劇団”というスタイルをとらず、岸谷と寺脇以外のメンバーは固定せずにゲストを迎えて公演するプロデュース公演というスタイルをとる。

旗揚げ公演は1995年。
演出を岸谷と寺脇が自ら務め、まだホールになっていなかった多目的空間を入口から創り込み、舞台も客席も砂で埋め尽くすという新たな試みを行った意欲作『瓶詰の地獄 ~いつまでもたえることなくともだちでいよう~』。

地球ゴージャス 公式サイトより

地球ゴージャスが2020年に旗揚げ25周年を記念し、2020年3月10日より舞浜アンフィシアターを皮切りに、5月14日の大阪・フェスティバルホールまで全49公演の、ダイワハウスSpecial 地球ゴージャス二十五周年祝祭公演『星の大地に降る涙 THE MUSICAL』が上演される。

この公演は、2009年に地球ゴージャス10作目の公演として上演された「星の大地に降る涙」のリメイクで、新たな内容に書き換えられ、岸谷・寺脇以外は全キャストを新たにし、オールスターの新演出版として上演する。

前回、主演のシャチ役の三浦春馬に代わって今回の主役は、舞台初主演となる新田真剣佑。

シャチが出会う神の子を宿した女性・ステラを演じるのは、数々の大作ミュージカルでヒロインを務め演劇賞も多く受賞し、TBS日曜劇場「ノーサイド・ゲーム」に出演していた笹本玲奈となっている。

この度、岸谷五朗と寺脇康文によるインタビュー会が行われ、弊誌も参加。
岸谷五朗・寺脇康文ウォッチャーであるインタビュアーが、地球ゴージャスの旗揚げ当時に関する内容や、古巣の劇団スーパー・エキセントリック・シアター(劇団SET)について、さらに次回作『星の大地に降る涙 THE MUSICAL』への思いなどを伺った。

そして、前作の『ZEROTOPIA』出演に続き、次回作では初主演を新田真剣佑に託した理由を、熱く語ってもらった。

岸谷五朗・寺脇康文 インタビュー第1部「地球ゴージャスの旗揚げ」

25周年おめでとうございます!

岸谷・寺脇)どうもありがとう!

25周年を迎える節目ですので、劇団SET時代から振り返りをさせてください。
劇団員時代に、岸谷五朗プロデュース公演を2つ上演(※1)していました、これがキッカケで劇団の退団、そして独立へ進んだ感じだったのでしょうか?

岸谷)その2つではなく、その前にやった「ゲボ・ハハハ」(※2)が一番はじめに俺たちが命を掛けて始めた公演なんだけど、当時は劇団の若手だけで公演を行うことが出来なかったんだよね。
それでも、劇団の先輩や幹部にお願いをして「失敗したらクビだぞ」っていう言葉をもらいながらも公演を打ったんだ。
あの「ゲボ・ハハハ」が無かったら今はないね。


※1:
▼岸谷五朗プロデュース公演Vol.1「ドヘネケヘキシン」
公演日:1992年2月23日~3月1日
東京芸術劇場中ホール

▼岸谷五朗プロデュース公演Vol.2「隔世遺伝シャーベット」
公演日:1993年4月16日~25日
天王洲アイル


※2:
スーパー・エキセントリック・シアター オフ・SET公演Vol.1
ミュージカル・アクション・コメディ「体温系第三惑星 ゲボ・ハハハ」
演出:岸谷五朗、寺脇康文
出演:劇団スーパー・エキセントリック・シアター
公演日:1987年9月22日~27日
劇場:六本木アトリエフォンテーヌ


寺脇)そうだね。

岸谷)その後の、


スーパー・エキセントリック・シアター オフSET公演vol.3
「2008年サイレント・ストーリー B.C.UNIT 再び、オフの風が吹く!」
作:尾西兼一
演出:岸谷五朗、寺脇康文
公演日:1988年6月14日~19日
劇場:アゴラ劇場


があって、


スーパー・エキセントリック・シアター オフSET「Dirt」
作:藤永貴司
演出:岸谷五朗、寺脇康文
公演日:1989年6月22日~7月2日
劇場:新宿シアターサンモール


などを経てプロデュース公演の「ドヘネケヘキシン」に繋がっていくんだけど、初めの「ゲボ・ハハハ」からはある意味、地球ゴージャスの前身だったかもしれないね。

寺脇)まぁ、やっていることは同じというか、あの時に出演しているのは劇団のメンバーで、今は全員客演だけど、精神的なものは何も変わってないよね。

1995年4月のVol.1『瓶詰の地獄 ~いつまでもたえることなくともだちでいよう~』で旗揚げをされましたが、この時お二人はどんな思いでしたか?

岸谷)これはもう劇団を辞めるって言って三宅さんともちゃんと話をしていたので、新しいユニットを作るのはあとはもう時間の問題だったんだけど。
そこで劇団とユニットの一番大きな違いは、劇団に10年いたからこそ、劇団の良さを学んだんだよね。
だから、その劇団の良さから新しい形の演劇を作ろうと立ち上げたのが「地球ゴージャス」。

それは、ひとつの脚本を劇団員で割るんじゃなくて、ひとつの脚本から役に合ったあらゆる人たちを世界中からブッキングするくらいの気持ちで作る。
そうすると、その脚本がより生きるんじゃないかっていう発想のもと、その準備だけがちょっと時間が掛かっちゃっただけで、しかも俺たちのどん底でもあったけどスタートでもあった小劇場で打つ。

その小劇場を、何でもないただの空間に客席を作り、舞台装置を入り口から組んで、そういうスタートを、ある種アングラ的な芝居から入っていったっていうのは、俺らにしたら良いスタートだったんじゃないかなって思ってるんだけどね。
そこでのロングラン、約2ヶ月くらいだったんじゃないかな。(※3)

寺脇)動員1万人いったもんね。

岸谷)あのキャパでね。
手作りで始めるのは僕たちには良いスタートだったのかもしれない。

寺脇)今でも覚えているのは、てんとう虫の形のポータブルレコードプレーヤーがあって、それをいつも持ってきて、針を落としては「この場面にはこの曲が良いと思うんだけど」みたいなことを話したりね、そういう風に全てがすごく手作りな感じであったし、三宅さんが観に来てくれた時に「お前ら、こう言うことがしたくて劇団を辞めたのか?」って言われたけど、そうじゃない。
今回はこれで始まっただけであって「これがやりたくて辞めた訳じゃないですよ」って説明したけどね。

僕らがSETを辞めると言うのは、”辞める・辞めない”が最初の問題ではなくて、僕らがやりたい芝居をするにはどうするかというところで、劇団を退団する形になっただけ。
だからSETが嫌だとか、そういうことじゃない。

より良い、理想的な芝居を作るためにはどうするのが良いのか。
なので、辞める辞めないというのは、すごく大きな問題というよりは、ひとつの選択肢。
次に進むには必要な選択だった。


※3:
Vol.1『瓶詰の地獄 ~いつまでもたえることなくともだちでいよう~』
出演:岸谷五朗、寺脇康文、石塚英彦、大寶智子、黒谷友香 他
会場:スフィアMEX (天王洲アイル)
期間:1995年4月7日~5月21日
公演回数 : 50回


1995年4月7日スフィアMEXで地球ゴージャスの幕を開けたVol.1『瓶詰の地獄』から2018年7月6日に大阪で幕を閉じた『ZEROTOPIA』までの23年3ヵ月の間に、のべ800公演以上行ってきましたが、改めて振り返って、いかがでしょうか?

岸谷)今回の25周年もそうなんだけど、一生懸命ひとつずつやってきただけであって、別に数字に何も思い入れはないんだよね。
ひとつひとつやってきただけだから、何も目指してない。

寺脇)そうだね。
野球選手だって「俺は2000本安打を打つために頑張るぞ」ってと思ってないでしょ。
その日に1打席目、打てた。2打席目、三振した。
その積み重ねが2000本なだけであって。

だから僕らも「何公演やるぞ!」ってことではなくて、より多くのお客様に観てもらいたいという思いでやってきたことが重なってそうなっていっただけかな。

なので数字というのはやってきた事の軌跡なだけであって、あまり「すごいでしょ」とは思わないし、800通りの芝居をやって、800回みんなに楽しんでもらったっていうことかな。岸谷)この間さ、ZEROTOPIAの時に広島公演で動員100万人を迎えたんだ。
でも俺たちはただの過程だから気にしてなかったんだけど、周りが祝ってくれて100万人突破記念のTシャツを頂いたのね。
貰えるものはみんなもらいたい(笑)

寺脇)そりゃそうだ!


岸谷)100万人ですよって言われたら「100万人だぞ」って言いまくって、なんかいただく(笑)
それでいいと思っていて、だから25周年もせっかくだし、何か出来るかもしれないなって思った今回の祝祭公演なのね。

地球ゴージャスは再演をしないけど、25周年だからしてもいいのよ、お祭り公演で。
お祭りを意識してなかったら今回の公演はスタートしてなくて、俺ら二人以外は全員新キャストじゃない、(三浦)春馬がやった役を(新田)真剣佑がやったりとか、笹本玲奈さんが(木村)佳乃の役をやってくれたりとか、色んな楽しみが俺たちの中で生まれるんだよね。
それでまた作品が蘇り、新たに呼吸をしだすから。

今回のものはもちろん前回と脚本は書き換えてて『星の大地に降る涙』なんだけどまったく違う形、『THE MUSICAL』として蘇ったのは、「あ、25周年やってよかったな」って。
25年やってなかったら、今回やらない訳じゃない。
そういう意味では嬉しいかな。

寺脇)いつも「じゃあ何を再演する?」っていう頭は今まで一切無いから、それが25周年のお祭りだよってなった時に「過去の可愛い作品たちから何かやってもいいよね」っていう発想が生まれてくる。
まぁ、懐かしんでもいいんじゃない(笑)

岸谷)俺らは必死だけどね。
10年前のあの役をやるって、肉体的には。
再演することでもうひとつ楽しみなのは、あの時の肉体を復元することが出来るかとか、あの時の動きが出来るかとか、それも俳優として楽しみなんだよね。

だから市村正親さんの気持ちが分かる気がするんだよ。

寺脇)(ミス・サイゴンの)エンジニアをいつまでやるんだ!(笑)

岸谷)何度か再演して、でも他のキャストはみんな変わる訳じゃない。
なんか、すこし分かった。

寺脇)自分への挑戦でもあるし、自分が11年経って今ある肉体はどんな感じなのかって。

岸谷)寺ちゃんは大太鼓を叩いてたから、あの時ものすごい体だったんだよ!

寺脇)あの頃はムキムキだったね。

岸谷)しかも大太鼓で付いている筋肉だから、無駄が無いんだよ。
今回、そうなるかどうか(笑)