<囲み取材&公開稽古>日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した芳根京子が初主演!鈴木杏、田畑智子、キムラ緑子を迎えた舞台「母と惑星について、 および自転する女たちの記録」が明日初日を迎える

ステージ劇場, 新宿, 舞台


「第42回日本アカデミー賞」の新人俳優賞を受賞した芳根京子が舞台初主演を務める、パルコ・プロデュース 2019「母と惑星について、および自転する女たちの記録」が5日に初日を迎え、新宿・紀伊國屋ホールにて公開稽古と囲み会見を行った。

出演するキムラ緑子は、娘たちを演じる芳根京子、鈴木杏、田畑智子を見て、稽古場からすでに「本当の姉妹のようだ」と表現するなど、舞台の内容にリンクして家族の絆が芽生えたと語った。

公開稽古

登場人物

 

■辻 シオ(三女)―芳根京子

母親のことがわからない。
自分のこともわからない。
妊娠しているが産むべきかどうかもわからない。
母親の優しい記憶と母親が自分を置き去りにしようとした記憶が混在して混乱する。
「母」いうものに恐怖を持っている。

■辻 優(次女)―鈴木 杏

新婚。
夫を愛し、愛されている。
母親のように結婚を失敗するまいと思い、専業主婦願望が非常に強い。
しかし収入の安定しない夫と借金を抱えており、思い悩んでいる。

■辻 美咲(長女)―田畑智子

未婚。
現実主義である。
母親のようには絶対になるまいと思っている。
しかし気が多く、新たに恋をするたびに別れてしまう、交際期間の長い恋人との結婚に踏み切れないでいる。

■辻 峰子(母)―キムラ緑子

三姉妹の記憶のイメージの中で色んな顔を見せる。
時には荒ぶり、時には穏やかに、海のように大きくもあれば、路地裏のネズミのように矮小であったりもする。

囲み会見

先ほど公開フォトコールを行いましたが、感触は如何でしたか?

田畑)今回は稽古期間がギュッとしていて、稽古時間も短く1日3~4時間だったので、ちょっと不安もありますけど、明日の初日が楽しみですね。

明日初日ですが、いまの心境は如何ですか?

キムラ)私と京子ちゃんがこの舞台に初参加ですし、稽古期間が短かったのと、演出家の栗山さんが「あまり稽古をしない方がいい」と、「生で生まれるものを大事にしたい」と稽古中に仰っていたので、賭けですね。
明日はどうなるかって。
みんなと一緒にどういう会話ができるのだろうって感じなので、すごくドキドキですけど、まぁ楽しみかな。

芳根さんは初主演ですね

芳根)本当に稽古期間がギュッとしていて、みなさんに「(舞台の稽古って)こんな感じなんですか?」ってお聞きしたら、「いや、これは詰まった方だ」って伺ったので、だからこそ短期集中型でここまでこれたかなと思いますので、あとはセリフが飛ばなければいいなと祈りながら。
本当に賭けですね。
皆さんとのお芝居を楽しく出来たらいいなと思います。

鈴木さんは同じ役で再演されますが

鈴木)稽古をしていて、こういう感じだったなって思い出すところと、緑子さんと京子ちゃんと向き合うと全然違う物が出てきたりして、楽しく稽古をしてました。
この舞台は4人ともほぼ出ずっぱりで、舞台装置もとてもシンプルなものなので、逃げ場が無いんですね。
だからあとは如何に開き直るかが重要になってくるかなって、さっき舞台に立って思い出しました。

初日は緊張しますが、まだぼんやりしていますが、「ついにはじまるんだな」っていう気持ちと、稽古の時間が好きなので初日が開いてしまうと後は楽日に向かって行ってしまうので、寂しくなるなっていう気持ちの両方があったりします。

破天荒な花親を中心とする家族の話でもありますが、稽古中に家族の絆が芽生えたりしましたか?

キムラ)私なんかが見てて、3人が楽しく喋っていると本当の兄弟みたいだなって。
役がそうなっているからなのか、どうなんだろうね?
普段喋っているのを聞いてたら、本当に役のままだなって思いますね。

芳根)先日、日本アカデミー賞の式典に登壇させて頂いたのですけど、出演者の皆さんから連絡をいただいて、すごく緊張して「はやく皆さんに会いたい」って思って、家族のような安心感をいただいています。

杏ちゃんがLINEで「今日だよね?頑張って」ってエールをいただいて、(式典の)翌日から稽古だったので「早く明日になってほしい」「皆さんに会いたい」って思ってました。

キムラ)楽屋に行くと第一声が「早く会いたかった」って。すごい緊張してたから「呼吸が止まってた」とか言ってたよね(笑)

芳根)心臓が止まってたんじゃないかなって思うくらい、音が聞こえなかったので、皆さんと会ってやっと心臓が動き出しました。

栗山さんの演出は如何ですか?

芳根)色んな先輩方から事前に栗山さんのお話をきいていたんですけど、栗山さんは自らお芝居をして「こういう風にやってごらん」って見せてくださるからすごく分かりやすいよって伺っていて、本当に栗山さんってお芝居がお上手ですよね。
あの栗山さんがやってくださったものをやりたいのに、上手く出来ないのがすごくもどかしくて。
ある意味、栗山さんの真似をする訳では無いですけど、栗山さんからも色々と吸収出来るように稽古期間は観察をしていました。

キムラ)ヒントとかアイディアみたいなものを栗山さんから頂くことが多くて、すごく楽しいですね。
安心して自分をさらけ出せるというか、楽ですね。
出せば何か返してくれる。「違う」「もっと、こうしろ」とか色々言ってもらったり。

田畑さんはお子さんが産まれてから、初めての舞台になりますが、如何ですか?

田畑)自分の身体が前回とは違うなっていうのはあって。
体力面とか、そこは自分との戦いだなって思っています。

育児との両立は如何ですか?

田畑)その辺は旦那さん(岡田義徳)が協力をしてくれるので、安心して現場に来ています。

鈴木)吹っ切れたというか、パーンとしたエネルギーがある気がします。
強さみたいなものは、お母さんになったんだなって、なんとなく感じています。

では最後に見どころを含めてメッセージをお願いします

芳根)私個人としては初めて主演をやらせていただく舞台なので、本当に色んな思いが籠っていますし、本当に何より素敵なチームに出会えた事に心から感謝しています。
何だかもうすでに良いお芝居になったんじゃないかなと勝手に予感がしていますので、全力でこの舞台を立たせて頂きます。
皆さん、ぜひお時間がある方は劇場に起こしいただけたらなと思います。
よろしくお願いいたします。

パルコ・プロデュース 2019「母と惑星について、および自転する女たちの記録」

蓬莱竜太

演出

栗山民也

出演

芳根京子、鈴木杏、田畑智子・キムラ緑子

公演スケジュール

【東京公演】2019年3月5日(火)~3月26日(火) 紀伊國屋ホール
【高知公演】2019年4月2日(火)、3日(水)  高知市文化プラザかるぽーと 大ホール
【北九州公演】2019年4月6日(土)、7日(日) 北九州芸術劇場 中劇場
【京都公演】2019年4月12日(金)~14日(日) ロームシアター京都 サウスホール
【豊橋公演】2019年4月20日(土)、21日(日) 穂の国とよはし芸術劇場 PLAT
【長崎公演】2019年4月25日(木)、26日(金) 長崎市民会館 文化ホール

STAFF

【美術】松井るみ
【照明】小笠原 純
【衣裳】黒須はな子
【音楽】国広和毅
【音響】井上正弘
【映像】上田大樹
【ヘアメイク】鎌田直樹
【長崎弁方言指導】柄澤りつ子
【演出助手】田中麻衣子・坪井彰宏  
【舞台監督】榎 太郎・木崎宏司
【宣伝】る・ひまわり
【プロデューサー】佐藤 玄
【制作】山口 萌
【製作】井上 肇

企画・製作

株式会社パルコ

あらすじ

三人姉妹は異国を旅行している。
三人姉妹の母親が死んで1ヶ月が経とうとしている。
三姉妹が文字通り、放浪してから1週間を超えていた。
彼女たちは、母の遺骨を抱えていた。

父親を知らない三人姉妹。母親は男を取っ替え引っ替えしては家を空けていた。酒、タバコ、博打が好きな母親だった。三人姉妹は幼い頃からおよそ母親らしい愛情を受けた覚えがない。裕福でもない。徹底的に放任されていた。

「 私には重石が三つ必要なのー。 」それが母親の口癖だった。
三人姉妹はその母親と闘うため、いつもよりそって生きてきた。

そんな母親の突然死。三人姉妹はどういう気持ちになっていいのか解らず、母親の生命保険の給付金で異国を旅行している。あてのない旅だった。目的もない、帰国の予定もない、特にやるべきこともない、そんな旅だった。

長女の辻美咲は未婚で、子供はいない。結婚はしたくないと思っている。
次女の辻優は結婚したばかりだ。子供がなかなか出来ない。愛に生きると思っている。
三女の辻シオは妊娠していることを隠している。自分だけは父親が違うのではと思っている。三人姉妹は母親の遺伝子を受け継いでいること、母親と同じ血が流れていることに無意識の恐れのような感覚を抱いている。

そしてある日。異国の市場に風が吹き荒れる中、死んだはずの母、辻峰子が立っているのを見る。あの母親は自分にとって何であったのか。母親の突然死は何であったのか――

過去初演時データ

2016年7月7日 (木) ~2016年7月31日 (日) パルコ劇場 他

作:蓬莱竜太 演出:栗山民也
出演:志田未来【辻 シオ(三女)】、鈴木 杏【辻 優(次女)】、田畑智子【辻 美咲(長女)】・斉藤由貴【辻 峰子(母)】

【本作受賞歴】
蓬莱竜太:第20回鶴屋南北戯曲賞 受賞
鈴木杏:第24回読売演劇大賞最優秀女優賞 受賞