<公開リハ&囲み会見>舞台に映画が融合か?プロジェクションマッピングやフライングを駆使した誰も見たことが無いエンターテインメント時代劇「魔界転生」が3日から明治座で上演

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『魔界転生』は、1967年(昭和42年)に『おぼろ忍法帖』として単行本化された、山田風太郎の人気伝奇小説で、壮大なスケール、雄大な歴史ロマン、そして、奇抜かつ摩訶不思議な展開、時空を超えたアクション・エンターテインメントの最高傑作と云われ、1981年の映画化以降、舞台、漫画・アニメ、ゲームなど、数多くのジャンルでリメイクされた、山田作品の最大のヒット作となっている。

その『魔界転生』を、ドラマ『SPEC シリーズ』、映画『20 世紀少年』等、多くの名作を手がけた堤幸彦が演出。
演劇界の重鎮・マキノノゾミが脚本を担当し、新たなるスペクタクル時代劇として再び甦らせた!

10月6日からの博多座1ヵ月公演を皮切りに、いよいよ明治座にやってきた。公開稽古の前に報道陣の囲み会見が行われたが、博多で長きにわたって一緒に過ごしてきただけあってすでに一座は出来上がっており、終始笑顔が溢れる場となっていた。

囲み会見

博多座の公演を終え、東京公演が始まります。感想と意気込みをお聞かせください

上川)博多座の公演ではとても手ごたえがあり、福岡の皆さん、そして九州の皆さんにとても歓迎と暖かい歓待をいただけて、お喜びいただけたのではないかなと、実感を我々が持てるようなひと月でした。
ですので、その勢いをそのままに東京に持ち込みつつ、よりこの物語を育んでいきたい思っております。溝端)僕は「天草四郎」役をやらせてもらうのですが、島原の乱が発端となった作品を九州・博多から出発出来たという事が本当にありがたいことで、お客様は暖かく、31ステージを乗り切る事ができました。
そして、歴史ある明治座の舞台に立てることは非常に光栄なことですし、お芝居は生ものですから、日々成長して変化を恐れず、かと言って、きっちり〆るところは〆て、良いものをお客様にお届けしたいなと思います。

高岡)博多の皆さんは、本当に暖かくて毎回毎回大きな拍手と声援で迎えてくださり、毎日とても充実した日々を過ごしました。
博多で1ヵ月公演をした中で、全体的にもそうですが、私自身も「お品」という役に対して試行錯誤しながら日々成長出来たらいいなと思っていました。
そして、明治座は今回が初めて出演させて頂くのですけども、歴史ある劇場に立たせていただける喜びというのを心から感じております。
さらに、東京で進化を遂げていけたらいいなと思います。浅野)皆さま仰っていた通り、博多座に足をお運びいただきましたお客様は本当に暖かくて大きなご声援をいただけて、私の役は「魔物(淀殿)」ですけど、少しリアクションをいただくと魔物力が増していきまして、メイクもかなり魔物的になってまいりました。
1カ所『淀殿が化けて出そうなお方だから』というセリフがあるのですが、そこで初日からお客様に笑っていただいたんですね(笑)
まさかそこで笑いがくるとは思ってませんでしたので、淀殿というより浅野ゆう子が化けて出るというイメージなのかと思い、ちょっと魔物力に力が入っておりまして、明治座さんでは更に魔物を極めたいと思います。松平)新しい試みと言うのでしょうか、映像と芝居を合致させて、こうした新しい舞台が博多座で皆さんに喜んで頂けたと思います。
ひと月で上川さんを筆頭に、我々一座もチームワークが固まってきたと思います。
その成果をぜひ、この明治座で観て頂きたいと思います。

堤)明治から始まったこの明治座で仕事をさせていただくのは誠に光栄で、しかも平成最後の年にこの大作を皆さんにお届け出来るのは、誠に光栄なことだと思っております。
かなり斬新な試みも多々入れ込みつつ、ここに並ぶ役者の皆さんには相当な負担をお掛けしたかなと思いつつも、ここにいらっしゃる皆さんは軽々と乗り越えまして、博多座においては、皆さん役どころを真の底から掴んでいただいて非常に楽しい見応えのある舞台になっておりました。
私は途中、博多座を中座して千秋楽直前にまた戻って観たんですけど、稽古時とはほとんど違う内容になっているところも若干ありつつ、「あ、皆さん役を掴まれたんだな」と大きくステップアップして魔界転生東京バージョンをお届けできると思います。

役の見どころを教えてください

柳生十兵衛役:上川隆也)この物語が一見タイトルからして、ちょっとおどろおどろしいイメージを持ってしまわれガチかもしれないのですが、私が演じる「柳生十兵衛」をはじめとして、決してそれには留まらない人間らしさに溢れたキャラクター達が数多く登場する物語ですし、そこには笑いもあれば涙もあるような、そんな物語に仕上がっております。
その人間味こそが、敢えて言うならば見どころになるのかもしれません。

天草四郎役:溝端淳平)史実として島原の乱で3万7千人のキリシタンの方が虐殺されて、それを背負って若干16歳で無くなっていた天草四郎が本当に可哀そうな少年なんですね。
その少年が現世に蘇って復讐して、最終的な目的は何だったのか、四郎は何を求めていたのか、それがこの作品のキーポイントだと思います。
そこにお客様がグッと共感いただける。
今までの作品にあった天草四郎は、妖艶で神秘的だけじゃない、ひとりの青年としての四郎の人となりが出る所が、この作品の見どころだと思うので、そこを注目していただければと思います。

お品役:高岡早紀)私は四郎の姉なんですけど、大きな愛が見えればいいなと思います。

堤)本当にすごい愛ですよね。淀殿役:浅野ゆう子)私は魔物です。自分のことではなく、本当に近くで毎日拝見させていただいていて素晴らしいと思うのは、上川さんと松平さんのクライマックスの殺陣。
若輩者の私が言うのは大変失礼と思うのですけど、松平さんの美しさ!感動します。ドキドキしちゃいます。
本当に美しくて、そこに立ち向かっていく十兵衛、上川さんの凛々しさとキレのよさ、このお二方の殺陣は一番の見どころだと思います。
そして、可愛らしい四郎が切なく儚く消えていくところも見どころです。

柳生十兵衛の父・柳生但馬守宗矩役:松平健)私は人間と魔界と、両方やらせていただいておりますので、楽しませていただいてます。

上川さんとの殺陣はいかがでしたか?

松平)人間の時の殺陣と、魔界の時の殺陣と、違いもございますし、そんなところを楽しんでもらえたらと思います。上川)言葉ではちょっと表現が難しいものかなと思います。
是非、劇場にいらしていただいて、目の当たりにしていただけたらこそ思います。

浅野さんは、大きくなったり小さくなったり変幻自在な姿になりますが、演じてみられていかがですか?

浅野)とても楽しく過ごさせて頂いております。
色んなことをさせていただいて、すごく嬉しいです。
堤監督は、映像の監督さんでいらっしゃいますので、映像で色んなものを撮っていただいて、そちらでも表現させていただいております。

博多で皆さんずっと過ごされてきて、始めた頃とお互いに印象が変わったりしていますか?

上川)僕がお芝居で共演させていただくのが初めてなのは、松平さんだけなんですね。
意外な事と言うよりは、なるほどと思わせていただける事の方が多くてですね、懐の深さやお芝居の変幻さも含めて、僕が想像していた以上のものがそこにあったのは確かですけれども、松平さんとご一緒するときっと楽しくて色んな事が学べるだろうなと思っていたことがまさにそこに人の形をして立ってらした感じです。

松平)そんなに変わらないですよ(笑)

上川)いやいやいや!
先ほど殺陣の話も出ましたけども、ご一緒させていただいている時間で色々なものを吸収したいですし、背中を見ていたいと思います。

意外な方はむしろ、居ないですね。
納得させていただく方ばかりが、この座には集まってらっしゃるように思います。

溝端)僕も上川さんと同じ気持ちですね。
ギャップという言い方で合っているか分からないですけど、松平さんの殺陣はものすごい殺気で客席もピンと糸が張るような緊張感があるなと感じます。
でも、いざ舞台裏とか舞台袖で会った時の健さんは、とても大らかで優しく包み込んでいただけるので、そこの変化は・・・

松平)ありがとう!

溝端)あ、すみません。ありがとうって止めてもらえますか。

一同)(笑)

溝端)意外な一面は、皆さん無いですね。
皆さんが思い描いている方々だと思います。

今回の物語が時空を超えたエンタテインメントなのですが、皆さんが時空を超えられるとしたらやりたいことはありますか?

上川)この物語は微妙なんですよね。
そういう意味では、人間が転生することによって、己の持っていた欲望をあからさまにしていく様を、魔物になって生前の姿とはまったく違った様になっていくのが今回の時空、命をも超えて描いていく物語なので。
皆さん、たぶん転生したいかというと、どこか微妙な顔になってしまうんだと思うんですよ。
そこまで、自分の中で律しているものをあからさまにしたいと思っているかどうか。

溝端)さっき明治座さんの歴史の年表を見ていて、勝新太郎さんの座頭市、映画は大好きで何度も拝見しているんですけど、舞台でされていることを知らなくて、以前に明治座さんで公演されたことを知り、もし戻れるなら客席で観たいなと思いました。

今回の舞台で、プロジェクションマッピングがひとつの見どころになっていますが、舞台装置としてどのように使われていますか?

堤)ほぼ全編に渡って使っておりまして、プロジェクションマッピングを使っていないのは暗転の時だけでして。
プロジェクションマッピングという言い方は正確ではないかもしれませんが、映像を舞台装置の大きな柱として使っているのがひとつですね。

ちょっと面白い所では、役者のカツラにセンサーを付けていまして、これを舞台の上にあるバトンにセンサーを感知する機械を付けて、四郎が右を向くと光の玉が右に動いたり。
ある忍法では、映像的な罠を仕掛けたり、色んなアイディアを駆使してやっています。
「あれはどうなっているんだろうな?」って思う事を楽しみにしていただけたらと思います。
なかなかちょっと苦労しましたけど、なんとか形になりました。

最後にひと言お願いします

上川)とても良い熱量をもって博多の舞台を終えることが出来ましたので、それを失うことなくそのままの勢いで東京・明治座で魔界転生という物語を繰り広げていきたいと思います。
笑いあり、涙あり、アクションありという盛りだくさんの舞台ですので、ぜひ劇場で体感していただけたらと思います。


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