ユーザーからの報告と新予測モデル開発で天気予報精度大幅アップ!データ量は1,800倍に!1kmメッシュ&5分更新の超細密天気予報を配信開始<ウェザーニュース>

プロダクトウェザーニュース, 丹羽祐久, 天気, 減災・防災

© Weathernews Inc.

株式会社ウェザーニューズ(本社:千葉市美浜区、代表取締役社長:草開千仁)は24日、気象予測の精度向上を狙い、超局地的な予測モデルを新たに開発し、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」にて提供を開始したことを発表。

新たな予測モデルの解像度は1kmメッシュ、更新は5分毎と、高解像度・高頻度の超細密天気予報を実現。
従来運用されてきた予測モデル(最詳で5kmメッシュ/1時間更新)と比較すると、メッシュ数は25倍、計算するデータ量としては1,800倍になる。

新しい予測モデルが、天気予報の可能性を広げ、気象予測の未来の進化につながると期待している。

超細密天気予報により、予報精度は3~4%向上

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今回提供を開始した新たな気象予測モデルは、全国1.3万地点の独自観測機による気象観測データやひまわり8号の衛星画像、現地ユーザーからの実況報告やフィードバックおよび過去10年のデータを解析してマシーンラーニングを行うなど、ウェザーニューズが持つあらゆる気象データを活用して開発された超局地的な予測モデルになっている。

その解像度は1kmメッシュ、更新は5分毎と、高解像度・高頻度での超細密天気予報が実現した。
今年3月より試験運用を行い、3~6月の予報精度(速報値)は運用開始以前より平均して3.3%向上し、高い所で4.0%向上した所もあった。

この超細密天気予報は、スマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」など、ウェザーニュースの一般向け天気予報で利用ができる。

予報精度『3.3%向上』の凄さ

一見、3.3%との数字を見ると微々たるものに思えるかもしれないが、この3%という数字はとてつもない事だと聞いたことがある。
以前に、ウェザーニューズの気象予報士である丹羽祐久さんにインタビューを行った際に、この予報精度向上の難しさについて語ってくれていた。

(c)気象庁
丹羽さん)気象庁さんが予報精度を発表していてそのグラフを見ると一目瞭然なのですが、この10年位で予報精度が1~2%上がったかどうかって感じなんですね。

「この32年間の予報精度(東京地方)」
<降水の有無の的中率>
2004年:85%程度
2016年:87%程度
(青線:過去5年の平均的中率)

気象庁:「天気予報の精度の例年値とその特徴」

丹羽さん)いまでは予報精度が良くなってきていまして、気象予測は80%は当たると言われてきている時代なんです。
80%に到達するまでにも1%~2%上げるのに5年~10年のスケールなんですね。
50%から55%の5%と、80%から85%の5%は同じ5%でも意味合いが違ってきます。
いまからこれをさらにコンピュータで5%上げようとすると、私がもうこの世から居なくなってると思います。
 
 

気象庁が過去10年位で予報精度1~2%上がったかどうかというものを、この新しい予測モデルを使う事で利用前と比べ平均3.3%の向上を成し遂げた。
このインタビューを行ったのは今年3月で、新予測モデルの試験運用を始めたばかりになる。
向上の成果は、ウェザーニューズの丹羽さん本人が一番驚いているかもしれない。

インタビューの詳しい内容は以下の記事を参照ください。
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予報精度向上に貢献する、「ウェザーリポート」と「プロジェクトicon」

小型気象観測機「WxBeacon2」
©Weathernews Inc.
ウェザーニューズでは、常にユーザーから現地の天気の写真(ウェザーリポート)が数多く届いている。
その数は、1日3万通(台風など多い時は5万通)届き、簡易な天気リポートを含めるとその数は1日13万通に。

ユーザーはウェザーリポートを送るとポイントが付与され、一定のポイントが貯まると小型気象観測機をプレゼント。
これまでに3.5万台配布しており、これにより小型気象観測機で計測された風速や気圧など、さらに詳細な天気データを受け取る事が出来ている。
 
 

©Weathernews Inc.
2015年11月から始まった、ユーザーが天気予報の改善案を提案できる取り組み「プロジェクトicon」。
現在では、全国約7,000名が参加し、常時天気予報へのフィードバックを行っています。

2015年11月から2016年2月にかけて、全国47都道府県でお天気セミナーを開催し、「プロジェクトicon」の参加方法や天気の読み方などを伝えていた。
また、2年目に入った今年は4月からは全国6カ所で「お天気キャラバン」と題して、セミナーを開催。
多くのセミナー受講者に、より深く、精度の高い天気予報が出来る方法を伝えていた。

「プロジェクトicon」による成果は、予報精度向上に大きく貢献していると「お天気キャラバン」の中で話している。
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ゲリラ豪雨や熱中症など従来困難だった局地的な現象の予報が飛躍的に向上へ

新たな予測モデルの導入により、毎日の天気予報の精度向上だけでなく、従来の予測モデルでは反映が困難だった現象や地域への天気予報がより正確に行えるようになっている。

例えば、ゲリラ豪雨のような“局地的”かつ“突発的”に短時間の集中豪雨をもたらす現象では、雨雲の大きさは数~十数kmと影響範囲が狭いため、従来の予測モデルでは、予報センターの意図を予報に反映しきなかったが、今夏以降はゲリラ豪雨や竜巻などをもたらす積乱雲の予測が改善し、予報精度の大幅な向上が見込まれる。

また、従来の予測モデルでは、標高差を反映しきれない地域があったが、1kmメッシュの解像度により詳細な標高差を反映できるように。
これにより天気だけでなく、気温についても飛躍的な予報精度の向上が見込まれる。

今夏、熱中症の警戒情報はこれまで以上に正確な気温の予報を元に発表できるようになるため、熱中症による救急搬送者の軽減につなげていきたいと伝えている。

ウェザーニューズの日本最大の気象観測網により新予測モデルの開発が実現

今回の高解像度の予測モデルの開発は、ただ単にデータの計算処理を高速化したから実現できたのではなく、ウェザーニューズの日本最大の気象観測網と、全国のウェザーリポーターとの気象情報を通じたネットワークがあるからこそ実現することが可能になっている。

ウェザーニューズは全国に約1.3万地点の独自の気象観測網を備え、ユーザーからは現地の天気の写真(ウェザーリポート)や簡易な天気リポートが1日13万通届き、ウェザーニューズには、利用者に提供した天気予報に対して、現地からフィードバックを得て予報の改善に生かす仕組みが整っている。

ウェザーニューズは、今後も観測データや現地ユーザーからのフィードバックを元に、本予測モデルの継続的なバージョンアップに努め、日本一信頼できる気象情報の提供を目指していくと伝えた。


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