【スペシャルインタビュー】お天気キャラバン オープニングセレモニー

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3月20日に開催されたウェザーニューズ「お天気キャラバン オープニングセレモニー」のあと、気象予報士の丹羽祐久さん、キャスターの江川清音さん、そして総合プロデューサーの村田泰謁さんに同席いただき、インタビューを行いました。

丹羽予報士の熱い思いや、江川キャスターが毎日行っている「お天気ダービー」、村田さんにはお天気コミュニティーについてなど、お伺いいたしました。

スペシャルインタビュー

「プロジェクトicon」を始めた経緯を教えてください

村田)元々天気予報は気象庁が発表していましたが、気象予報士の免許ができて一般の人でも予報して良いことになりました。
でも、気象予報士の免許が無くても地元に住んでいる人が地元の天気を当てられる「観天望気」と言う言葉があるように天気予報は地元に根付いているんですね。

ウェザーニューズは気象予報を業務としている立場ですが、自分の頭の上の天気は自分がよく分かっているので多くの皆さんと一緒に天気予報が出来たら、データを基にする数値予報の限界を超えたり、新しいアプローチが出来るのではないかと思いました。
スーパーコンピューターとかサーバーをどんどん増やしていくのではなく、人の力で。

気象予報に詳しい専門家に話を聞けば聞くほど、予報は実況値が必要だと言ってました。
観測機を置いたらお金が掛かる、ネットワーク代も掛かる。
でも人が写真を送ってくれる方法で観測機の代行ができて、アプローチが画期的だなと思ったんですね。

最終的にはそのノウハウが一人一人に浸透して、それが文化になり、空を見上げたらこの先の天気が分かり、データの見方も分かるようになると、毎日の天気もそうですが防災減災の観点でも生かされてくるかなと。
そんな世の中なっていけば良いかなと思っています。

前回、全国セミナーで47都道府県を回られてどのような収穫がありましたか?

江川)はじめは私たちが現地に行って私たちから「伝えることや教えること」が目的でしたが、それがいつの間にか皆さんから「教わる」ようになりました。
現地に住んでいる方の「ソラヨミ」がそれぞれあるので、それを教わったことが一番大きいかったです。

村田)半分ぐらいの時間はみんなから教えてもらってたよね?

江川)そうですね。森田さんも途中から「教えられる快感」を得始めていて。

村田)あはは

江川)現地の方の意見は非常に大きいなって思いましたね。

これまで何十年と天気予報がされてきながら、まだ現地の情報を得られることが不思議に思いましたが

村田)GSMとMSMという気象予測モデル(※)があってなんとなく概念は知っていましたが、私はプロジェクトiconをやるまでは詳しく分かっていなかったんですね。
実際、GSMに富士山が無いと知って「え?日本一高い山が計算に入っていないの?」って驚愕でした。

風が強いと富士山に笠雲が出来ちゃうくらい天気に関わりがあるはずなのに、たぶん一般の人は予測のシステムに富士山が計算されてないものがあるなんて知らないし、自分も「そうだったんだ!」っていう驚きがあって。
それって全国の土地土地で現地感覚ってこんなに違うんだっなて感じましたね。

江川)群馬県では「赤城おろし」っていう風が吹くことは知ってましたが、現地の方に聞くと赤城山の隣の山からの風が吹いていてこっちも影響して天気が複雑になってるんだよって教えてもらいました。
細かいことなんですが、天気予報を作っていくうえで重要な要素なんだなって。富士山から小さな山まで。

※GSM:全球モデル(Global Spetral Model)気象庁の気象予測モデル
 MSM:メソ数値予報モデル(MesoScale Model)気象庁の気象予測モデル

くしくも先日、IBMがAIのワトソンで「気象予報情報サービス」を開始するとニュースになって「予報士の仕事がなくなるのではないか」と世間の意見がありました。
しかしこの「プロジェクトicon」は人間に頼る真逆な方法かと思うのですが、ワトソンの感想はいかがですか?

村田)色々と面白いなって思いました。
テクノロジーは人間が設定をしてあげなければいけないじゃないですか。
システムは、初期値とか実況値のデータなどを投入してはじめて結果が出力されます。
僕らがチャレンジしようと思っているのは、その実況値すらもみんなで作っていこうとっていうアプローチなので、ワトソンなどのAIとは違うと思うんですよね。

ただ天気予報の世界がもっと良くなるんじゃないかなっていう期待はありますね。
ちょっと先に何かが起こるかもしれないし、マシンラーニングはそのようなものなので、出来るなら一緒にやっていきたいなって思ってます。
ですから、競合して仕事が取られちゃうとかは今の所考えてはいないですね。

しかし、ある程度はAIに仕事が取られるところだとも思っています。
それはいま努力をしていないところで、例えば簡単に計算が出来るところなどはどんどんマシンに頼るところだと思いますし、人の仕事をAIが取っていくっていうのもきっとそういうところなんだと思います。
だから、自分たちももっともっと努力をしていかなければいかないんだろうなって感じています。
テクノロジーって意味ではAIをはじめ、すごく期待しているところは大きいです。

最近よく気象予測モデルの「GSM」と「MSM」などで全然違う予測になっていると「SOLiVE24」の番組内で予報士さんが話されることがありますが、どのモデルを採用するといった判断基準は、どういったものなのでしょうか?
こここそが、気象予報士の本領発揮なのかなと思うのですが

丹羽)例えば、関東で18時に雨が降り出すモデルと21時から降り出すモデルがあった場合、実況で静岡で何時に雨が降り出したからこちらのモデルを使おうって感じですね。
実況天気の分布を見て、サポーターからの報告や雨雲レーダーの様子などを組み合わせて面的に判断してます。

ただ、雨雲レーダーに写っていないけれど実は雨が降っているということがあるんですね。
観測データだけだと分からず、リポートじゃないと分からないことなんです。
そんな時は、よりウェザーリポートや10分天気予報を見て、どの予測モデルのストーリーが合っているかを決めるのに役立っています。

村田)僕はMSMの方が細かいから制度が良いのかなって単純に思うんだけど、GSMがMSMを凌駕する時ってあるの?

丹羽)あります!
MSMはより短い時間を計算するんですけど、目先のところは単純外挿しか出来ないんですね。
一方GSMはモデルの計算でやっているので目先一瞬は当たるんですが、その先は全然当たらないってことが起こりうんです。

村田)なるほど!

丹羽)あとGSMはスケールの大きいところから見てるんですね。MSMは細かいところから見ています。
上空の寒気とか風の流れなど、大きなスケールによって天気現象が依存している時は、GSMは目先一瞬は当たったりするんですがその後に全然違ったりするんですよね。

村田)GSMをもっと細かくしたらどうなの?

丹羽)GSMは先までの計算が出来ないんです。
MSMは目先の現象に特化して予測をしていて、GSMは1週間先とか10日先の予測と分けて使っているんですよ。

村田)細かくしちゃうと良さがGSMの良さが無くなる?

丹羽)観測した気温とか雨の量などを初期値として入れるのですが、でも「その先の計算結果」と「実際の観測値」で誤差が絶対に生じてしまうんですよ。
MSMだと短い時間で極端に差が広がっていくんですが、GSMはなだらかに差が広がるんです。
なのでMSMで計算すると、後半はメチャクチャになります。

「プロジェクトicon」を始めてから予報精度が5%向上したとオープニングセレモニーでおっしゃてましたが、実際にはどれくらい凄い事なのでしょうか?

(c)気象庁

丹羽)ぜひ気象庁さんが予報精度を発表していてそのグラフを見ると一目瞭然なのですが、この10年位で1~2%上がったかどうかって感じなんですね。

「この32年間の予報精度(東京地方)」
<降水の有無の的中率>
2004年:85%程度
2016年:87%程度
(青線:過去5年の平均的中率)

気象庁:「天気予報の精度の例年値とその特徴」
 
丹羽)いまでは予報精度が良くなってきていまして、気象予測は80%は当たると言われてきている時代なんです。
80%に到達するまでにも1%~2%上げるのに5年~10年のスケールなんですね。
50%から55%の5%と、80%から85%の5%は同じ5%でも意味合いが違ってきます。
いまからこれをさらにコンピュータで5%上げようとすると、私がもうこの世から居なくなってると思います。笑

雨と雪の境目にみぞれ(ピンク色)の報告がある
© Weathernews Inc.
それぐらい凄い事が起きました。

村田)革命だ!

丹羽)革命ですね!

革命と言えば、これまでで一番革命って感じたのは、雨と雪の境目が分かったことですね。
皆さんからリポートをもらうようになる前は、雨と雪の判別が分からなかったんです。
 

© Weathernews Inc.
それまでは気温などを見て予報士が悩んでるんですよ。「これは雨なのかな?雪降ってるのかな?」って。
リポートをもらうようになってからは、はっきりと境目があって、しかもその境界線ではちゃんとみぞれまであるという。
そこまで見えたことは驚きました。
実況が分からないと、その後絶対に当たらないんですよね。

その実況をそこまで正確に把握できるのは皆さんからのリポートや10分天気予報があるからことだと思っています。

プロジェクトiconを始めるにあたって、目標などは設定されていたのでしょうか?

村田)そんな設定してた?

丹羽)してなかったですね。

村田)良い感じになるんじゃないかなとは思ってました。笑
少なくても今よりは良くなるだろうって感覚はあって、だったらやってみようって感じでした。

丹羽)常に最新の情報を更新して出していく側としては、どんなに頑張っても正直追いつかない部分がありまして。
どんなに人がいてシステムがあってもズレてきてしまうんですね。天気って。
そのズレてきた部分がハズレてしまうので、悔しいしいつも申し訳ないと感じています。

先ほど話が出ましたが、プロジェクトiconやリポートで参加してくださってる現地の方々が、いまの空を見たら雨が降りそうかこのまま晴れてそうかって言うのは一番分かっていらっしゃるんですね。
その状況によって天気iconを変えてくれているので、私たちと一緒に天気予報を作っているんですけれど、情報を発表する側からするととても心強いです。

月曜日のSOLiVEムーンのコーナー「予報フィードバックHYPER」で丹羽さんのお話を聞くと、凄いところに着目してるなと驚かされます。
「お天気キャラバン」を始める意気込みもとても熱くて感動しました。
丹羽さんがお天気キャラバンで参加者に伝えたい事はどのようなことでしょうか?

丹羽)プロジェクトiconを始めて分かってきた事は、皆さん忙しくてあまり時間が無いんですよね。
仕事の最中とかに参加をしてくれていたりするので、そんなに細かく予測モデルを見られないんです。
ですので、そのことは踏まえていこうと思っています。

後は、これまでプロジェクトiconに参加してくださった方々の統計データを取っておりまして、何時間先の天気予報が得意なのか、どの天気iconへの変更が得意なのかなど、情報を持っております。
そのデータを基に、皆さんがもっとも活躍するにはどういうソラヨミの仕方すれば良いか、どういう情報を使うのが一番適しているのかをしっかり共有していきたいと思います。

今年、もうひとつチャレンジしたいことがあります。

強い雨が降って災害が起きてしまうのは、エリアそれぞれで基準が全然違うんですね。
皆さんの感覚でその基準に達すると、「危なそう」とか「災害が起きそう」などと言ったレポートが届くようになるんです。
私たちは、その違う基準をそれぞれのエリアの人たちの「ざわざわ感」って呼んでます。

以前、熊本県の阿蘇地方で深夜に300mmの大雨が降って土砂災害が発生したことがありました。
普段はその時間帯にレポートが来ないような場所だったのに、深夜にも関わらず沢山のリポートが届いんたんです。
その時は、皆さんが不安とか天気への注目度が非常に高くなって「ざわざわ」してるんですね。
いままでのプロジェクトiconではただ予報を変えるだけでしたが、今回のプロジェクトiconではそういう情報を特にコアな方々と共有することによって、半歩くらい踏み込んで「減災の目線」で一緒に参加出来たらなって考えています。

そうなりますと、そのエリアが危なくなった時に、普段参加してくださっている方がきっと救ってくれるんじゃないかって。
もちろん私たちも見ているのですが、どうしても限界があります。
私たちが危ないですよって言い過ぎてもダメですし、そこは現地の方の「この辺りは危険な状態になっている」との報告によって、そのエリアの方々が「減災モード」のなっていけるかなと。
こんな感じで情報発信をしていただければ、より効果的な減災に繋がっていくのではないかと考えています。

セレモニーの中で木島さんが予報を変えたら直ぐに更新されるとありましたが、エリアの中でプライオリティが高い方を設定されるって事ですか?

村田)そうですね。
情報の信頼度というのは公開する事は無いと思うのですが、その方達は採用率が上がっていく感じになると思います。

この方の情報は確からしいって事ですか?

村田)そうですね。確からしいって感じですね。
ネットの情報ってすべてそうだと思っていて、公式の情報だからといってすべて正しいとは限らないじゃないですか。
一般の人も含めてそのような情報があった中で、自分がどう判断するかって事だと思います。
「確からしい」をたくさん集めれば、さらに確からしくなるのかなと。


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