<地球ゴージャス旗揚げ25周年記念インタビュー>第3部「劇団SET、そして個人の思い」

岸谷五朗・寺脇康文 インタビュー第3部「劇団SET、そして個人の思い」

今年5月の熱海五郎一座で、VOL.6「KARTE(カルテ)」に出演されていた高島礼子さんが制作発表の際に、地球ゴージャスのエピソードを話すと、三宅さんが「地球ゴージャス?もうレベルが違う!センスはこっちの方が上、上!岸谷と寺脇でしょ?全然!全然!」とコメントして会場を沸かしていました。
ここ最近になって、三宅さんからお二人の名前が聞こえるようになったなと感じるのですが、感想はいかがですか?

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岸谷)今回のSET本公演のチラシにも名前が書かれてて、俺らが「方向性の違いから辞めた」って三宅さんのコメントに出てて、地球ゴージャスの公演にも何回か観に来ていただいているんだけど、三宅さんが思っているものとゴージャスの舞台は「違うんだな」って思っているのかもしれないね。

それはね、25年経って芝居が大きく違っているんだよね。
俺たちは劇団が大好きだったけど、違うやり方をしたら演劇というものがもっと深くなると考えていて、それには劇団組織ではないなっていう理由。
それが二人ぼっちのユニットだったんだけど、それでどんどん走り出していったことが今に繋がっているんだと思うんだよね。

お客様の期待もそうだし、動員数も含めて。
だからそれはそれで何が正しいか分からないけど、必然的にそうなったんだと思うんだよね。

寺脇)演劇に関してだけは自分たちを誤魔化してはいけないっていう思いが二人にはあったから、ステージに立っているのに100%納得していない事があってはいけない世界だと思っていて。

三宅さんとか劇団に腹を立てている訳ではまったく無くて、逆に腹を立てているのはそこで不満を持っている自分たちに対してというのがあって、「こんな思いのまま舞台に立って良いのか、俺たちは!」っていうところから、芝居をするのであれば自分たちで全ての責任をとるべきなんじゃないのって。

それが成功するか失敗するか分からないけど、僕らの思い通りにやった結果が失敗だったとしても良いんじゃないのと。
僕らがやりたかったのはこれだよねっていう思いでやれるのであれば、そっちの方がいいんじゃないかな。

だから大好きな劇団を辞めるのはすごく迷ったけど、でも自分たちを誤魔化すことは出来なかった。
100%じゃなかったらやってはいけない世界というか、そんな思いだね。

僕らにもよく言ってもらえる言葉があって「本当に楽しそうにやってますね」って言われるんだけど、でも本当に楽しいから!
それは苦しんだ上での楽しさだけど、だけど苦しさも含めて楽しいから。
楽チンだけでは楽しいと思わないしね。

苦しんで精一杯やっての楽しさは、それが出来ているからこそ、今でも続けているし、三宅さんも僕らが失敗していたら名前なんても出してもらえないだろうから、名前を出してもらえるのは僕らも認めてもらっているのかなって気がします。

話しが変わりますが、いま劇団SETの中にお二人がやられていた「SET隊」を継承して「おSET隊」という女の子三人で活動されているのはご存知ですか?

寺脇)小倉(久寛)さんが俺に相談してきたのね。「SET隊」の名前を使っていいかって。
どうぞどうぞ、って。
「五朗にも言っておいてくれる?」って言うから「わかりました」って。

岸谷)「SET隊」って寺ちゃんが付けたんだよ、名前。
番組の前説をやってたから、接待をもじって。
お客さんを接待する意味も込めて「SET隊」って。

これ、(三谷)悦代姉さんと、杉野なつ美さんと、おぐち(えりこ)でやったらいいのに(笑)

寺脇)「おせっかい」ってね(笑)

左から木下桜、安川里奈、山城屋理紗
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寺脇さんは外部公演にも多数出演されていますが、いち出演者として、地球ゴージャスはどのように写りますか?

寺脇)発想として逆になっていて。
ホームのゴージャスがあって、そこには僕らの理想形がある。

五朗が本を書いて、僕は五朗にとって最高の役者で居たいという思いがあるので、ものすごい失礼な言い方とすると、ゴージャス以外に出演するのは舞台感を絶やさないためで、ゴージャスで最高の芝居をするために舞台の生の感覚を維持している。

外部で出演するのももちろん全力でやってますし、やってるけど感覚としては舞台感を絶やさないためかな。
だって、ゴージャスは2年に1回しかやらないからね。
その分、俺は舞台役者としての力を維持する努力をしている。

だから、いち出演者としてゴージャスを見ることはなく、いち出演者として外部公演を見ているかな。寺脇)普段自分の家でご飯を食べてて、ある時に友達の家でご飯を食べた時に「へぇ!ひとの家のご飯ってこんなになってるのか」って気がつくことがあるでしょ。

岸谷)カレーの味が違うのよ!

2人)(爆笑)

逆に岸谷さんは外部で演出されているものの、外部公演に出演されてない理由はあるのでしょうか?

岸谷)なんだろうね。
何も決めていないんだけど、自分の中でガシッと交わるものがないんだよね。
「俺は外部出演はしません」なんて誓ってないんだけど。
海外作品とかで俺にオファーが来た時は、演出も一緒にやってるのかもしれないね。
演出もやって翻訳も自分でやって出演する、そこまでやってになっちゃうのかな。

例えばキンキーブーツは、まったく出ようとは思ってなかったけど、やっぱり脚本を書いて日本側の演出に立つ。
演劇=作るものになっていってるのかもしれないな。

すごく大きい役の話をいただいたりするんだけど、タイミングとか感覚とかで出来てないんだな。